「児童手当」が拡充され、3人兄弟の我が家は「月額5万円以上」の収入に。「高校無償化」もスタートしたいま、児童手当だけで「学費」はまかなえるでしょうか？

近年、児童手当の拡充や高校の授業料無償化がスタートし、学費に対する支援制度が充実してきました。
 
本記事では、児童手当の拡充や高校の授業料無償化に関する概要を解説します。また、例として3兄弟がいる家庭では、児童手当だけで学費をまかなえるのか見ていきましょう。

令和6年10月より「児童手当」が拡充に

令和6年10月より、児童手当が大幅に拡充しました。拡充の内容は、以下の通りです。

1.所得制限を撤廃
これまでは受給に制限が設けられていましたが、所得にかかわらず児童手当が全額支給されるようになりました。
 
2.支給期間を高校生年代まで延長
これまでの支給対象は中学生以下でしたが、高校生年代（18歳まで）も支給対象となりました。
 
3.第3子以降の児童手当額が3万円に増額
多子加算の子の数え方が見直され、多子世帯に手厚い支援を実施します。
 
4.2ヶ月ずつ、偶数月に支給
年3回の支給から、年6回の支給に変更されました。

 

令和7年4月から段階的に高校の「授業料実質無償化」もスタート

児童手当の拡充に加えて、令和7年4月から段階的に高校の「授業料実質無償化」もスタートしました。まず、令和7年4月からは、公立高校の授業料（国公私立共通の基準額）11万8800円が一律無償になります。続いて令和8年度からは、収入要件の撤廃と私立加算の増額（45万7000円）を検討しているとのことです。
 
なお、対象となる高校生は、日本国内に住所を有し、高等学校や特別支援学校（高等部）など対象の学校に通っている人です。
 

児童手当だけで「学費」はまかなえる？

まずは、児童手当の支給額について確認しておきましょう。
 
表１

児童の年齢	児童手当の額（一人あたり月額）
3歳未満	1万5000円（第3子以降は3万円）
3歳以上 高校生年代まで	1万円（第3子以降は3万円）

出典：こども家庭庁「児童手当制度のご案内」を基に筆者作成
 
では、児童手当の拡充がスタートした現在、3人兄弟の学費は児童手当だけでまかなえるのでしょうか。3人兄弟の場合、高校卒業まで最大で以下の児童手当を受け取れる可能性があります。

第一子：1万5000円×12ヶ月×3年＋1万円×12ヶ月×15年＝234万円
第二子：1万5000円×12ヶ月×3年＋1万円×12ヶ月×15年＝234万円
第三子：3万円×12ヶ月×18年＝648万円

一方、文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」によると、公立の「（学校教育費＋学校給食費）×在校年数は以下の通りです。

幼稚園：（6万9362円＋1万5235円）×3年＝25万3791円
小学校：（8万1753円＋3万8405円）×6年＝72万0948円
中学校：（15万747円＋3万5667円）×3年＝55万9242円
高校（全日制）：（35万1452円－授業料4万5194円）×3年＝91万8774円

つまり、幼稚園から高校まですべて公立に行くと、245万2755円の学費がかかるケースも考えられます。しかし、児童手当を考慮すると、学費は以下の通りとなります。

第一子・第二子：234万円－245万2755円＝－11万2755円
第三子：648万円－245万2755円＝402万7245円

よって、3人兄弟の合計で見ると、十分まかなえる可能性があります。
 

まとめ

令和6年10月から児童手当の拡充、令和7年4月から高校授業料実質無償化の施策がスタートしました。受給可能な児童手当や文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」による学費を基に計算すると、3人兄弟の場合は児童手当で学費を十分にまかなえる可能性があります。支援制度を活用する際は、申請もれのないように注意しましょう。
 

出典

文部科学省 令和5年度子供の学習費調査の結果を公表します（1、10ページ）
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー