息子の予備校から「4～5校の併願受験」をすすめられた！ 交通費含め受験料で「30万円」近くかかりますが、併願校を減らすしかありませんか？ 半分くらいに抑えられないでしょうか？
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種
国公立1校と私立2校の場合、受験料だけで約10万円
はじめに、大学の基本的な受験料を確認しておきましょう（図表1）。
国公立大学の場合、大学入学共通テストの受験料が3教科以上で1万8000円、2教科以下の場合は1万2000円となっており、個別の大学で受ける2次試験は1万7000円です。
私立大学は、1校あたり3万円～3万5000円。学校推薦型選抜（旧推薦入試）や総合型選抜（旧AO入試）といった一般選抜外の方法でも、金額はほとんど変わりません。もし国立1校、私立2校受けると、受験料だけで約10万円かかります。
図表1
筆者作成
受験費用は交通費・宿泊費の違いが大きい
本命が国立大学、併願で私立を受験、私立は予備校の勧め通りに5校を受ける場合の受験費用を試算してみましょう。
大阪府に住んでいて、私立の3大学は東京にあり親が同行、国立大と私立の2大学は大阪府内にあると仮定します。受験費用は、大学の受験料が21万4500円、交通費・宿泊費等が16万9400円、合計38万3900円となりました（図表2）。
図表2
筆者作成
受ける大学の数に加えて、遠距離の大学を受験するかどうかによって費用に大きな差が生じることが分かります。もし、すべての受験先を自宅から普通電車で日帰り往復できる範囲にすれば、費用をかなり抑えられます。
先ほどと同様に本命が国立大学、併願で私立5校を受験する場合、受験料は変わりませんが交通費・宿泊費等は最小限で済むため、23万円ほどで済みます。
私大の多様な選抜方式を活用して受験料を抑える
近年、私立大学の入試方法は多様化しています。さらに費用を抑えたい場合、私立大学のお得な入試方式をじょうずに利用しましょう。金銭面だけでなく受験生の体力や時間の労費を減らせるかもしれません。代表例をいくつか紹介します。
1. 共通テスト利用方式
大学入学共通テストだけで合否を決める選抜方法です。一般には3万円から3万5000円かかる受験費用が、1万8000円程度で済みます。共通テストの受験料はかかりますが、共通テストは国立大学を含めて全体で1回受ければよいので安上がりです。
2. 全学部統一入試方式
大学の全学部・学科が、同じ問題で同じ日に試験を行う選抜方法です。複数の学部に出願する場合、2学部目からは受験料が割引になることがあります。1回受験するだけで複数の学部に出願できるので、「何が何でも○○大学に入りたい」という場合などはお勧めです。
3. 「地方受験」を活用
一部の大学では、国公立・私立を問わず、大学の所在地以外の地域で入学試験を行っています。自宅から近い受験地を選ぶことで、交通費や宿泊費の負担を抑えることができます。
4. 入学金の支払いタイミングを確認してから出願
併願先の選定には、入学金の払込期日も重要です。高額な入学金を複数の大学に払い込まなくて済むように、入学手続きの締め切り日を確認しながら併願先を選びましょう。手続きの期限を延長できる大学もあるので確認してみてください。
奨学金の活用も視野に、ゆとりを持った資金計画を
大学進学にかかる費用は年々増加傾向にあります。併願校は減らしたくない、でもどうしてもやりくりが難しいといった場合は、奨学金や教育ローンの利用を検討しましょう。
代表的なものとして、各大学はもちろんのこと、日本学生支援機構（JASSO）や地方公共団体による奨学金、金融機関による教育ローンなどが挙げられます。最近は返還の要不要や返済期限などの種類も豊富で、使い勝手のよい仕組みが増えています。保護者がこれらの情報を積極的に収集して、子どもが勉強に集中できる環境を整えられるといいですね。
出典
独立行政法人大学入試センター 令和８年度大学入学共通テスト実施要項
文部科学省 国立大学等の授業料その他の費用に関する省令 省令
執筆者 : 掛川夏
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種
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