櫻井翔主演ドラマ 『先に生まれただけの僕』、奨学金以外のお金の話

人気グループ・嵐の櫻井翔が主演する連続ドラマ『先に生まれただけの僕』第1話で、偏差値44の私立京命館高校に校長として就任したエリート商社マン・鳴海涼介（櫻井）が、父親が、くも膜下出血で倒れた特進クラスの成績優秀な生徒・加瀬に奨学金で大学に進学する上での心構えを説いていました。

奨学金以外のお金のポイントについて考えてみましょう。

 

「高額療養費」制度

 
加瀬の父親が、病院で治療を受けた場合の窓口で支払う金額は、実際にかかった医療費の3割負担です。

ただし、3割負担といっても、長期入院したときなどは、自己負担が高額になることがあります。このような場合に自己負担を軽減するしくみが「高額療養費」制度です。

自己負担限度額は所得や年齢によって異なります。

たとえば、月収が28万円～50万円であれば自己負担額は80,100円＋（医療費－267,000円）×1％となります。医療費が100万円であれば、窓口での支払いは30万円になりますが、自己負担限度額は、87,430円になりますので、後日、手続きをすることで、212,570円が高額療養費として払い戻されます。

なお、「限度額適用認定証」を取得すれば、「限度額適用認定証」と「保険証」を病院の窓口で提示することで、支払いを自己負担限度額とすることができます。

さらに、同一世帯で1年間に3ヵ月以上、高額療養費が支給されていると、4か月目以降の自己負担額が軽減されます（多数該当の負担軽減）。

また、「1年間の医療費と介護の負担軽減」や健康保険組合等の付加給付による負担軽減もあります。なお、入院中の差額ベッド代や食事代等の一部負担金、入院雑費は高額療養費の対象外です。

 

傷病手当金

 
加瀬が父親の入院で収入がなくなることを心配していましたが、父親が会社員等であれば健康保険等から傷病手当金が支給されます。自営業者等が加入する国民健康保険では、傷病手当金は任意給付ですが、実際にはありません。

病気やケガで働けなくなり（労務不能）、連続して3日（待期期間）休むと、4日目から最長1年6ヵ月傷病手当金が健康保険等から支給されます。

休んでいる間、給料がゼロになった場合、日額（原則、直近1年間の標準報酬月額の30分の1）の3分の2が健康保険等から支給されます。

たとえば、月給30万円の方は、日額は1万円ですので、その3分の２の6,667円が、休み1日につき支給されます。給料が支払われる場合でも、日額の3分の２より少なければ差額が支払われます。

なお、労務不能の原因が、業務上のケガや通勤途上でのケガの場合は健康保険等からの給付ではなく、労災からの給付になります。

 

介護保険

 
加瀬の父親が退院後、リハビリなどの機能訓練が必要な場合、介護保険を利用できる可能性があります。介護保険は原則65歳以上から利用できます。

40歳以上65歳未満の方が介護サービスを利用できるのは、要介護状態になった原因が16種類の特定疾病による場合のみです。

この特定疾病のひとつに脳血管疾患（くも膜下出血など）があります。介護サービスは介護認定を受けなければ利用できません。入院中に申請、訪問調査を受けることができます。

 

就学支援金・授業料軽減助成金

 
加瀬家（世帯）の年収が高く、高等学校等就学支援金（授業料の無償化）や自治体独自の私立高校の授業料軽減助成金を受けていないのであれば、加瀬の父親の収入減により、これら教育費支援策を利用できる可能性があります。

東京都の場合、就学支援金と私立高校の授業料軽減助成金を合わせて、年収760万円未満（4人世帯）であれば、442,000円の授業料軽減が受けられます。
 

 
Text：新美 昌也（にいみ まさや）
ファイナンシャル・プランナー。