従業員から「がん検診の費用って会社で出してもらえますか?」と聞かれました。中小企業では、検診費用を補助している会社は多いのでしょうか?
中小企業を対象とした調査を見ると、従業員のがん検診を後押しするために、受診費用を補助している企業は少なくありません。一方、具体的な補助額や対象となる検診は企業によって異なると考えられます。
本記事では、中小企業におけるがん検診への取り組みをもとに、会社による費用補助の実態や、従業員が検診を受けやすい環境をつくるためのポイントを紹介します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
従業員のがん検診を実施する企業の69%が「受診費用を補助」
従業員のがん検診を会社として支援する場合、費用を補助する方法があります。
大同生命保険株式会社の「大同生命サーベイ(2024年11月度調査)」では、直近2年間に会社が従業員に対してがん検診を「実施した」と回答した企業に、受診率を向上させるための取り組みを尋ねています。
その結果、最も多かったのが「受診費用の補助」の69%でした。次いで「勤務時間内の受診許可」が54%、「がん検診の種類を個人が選択可能」が19%、「受診対象者への受診勧奨」が14%となっています。
この結果から、今回の調査で従業員のがん検診を実施した企業では、費用面から受診を後押しする取り組みが比較的多く行われていることがわかります。
ただし、「中小企業全体の69%ががん検診費用を補助している」という意味ではない点には注意が必要です。あくまで、直近2年間に従業員のがん検診を実施した企業を対象とした結果です。
2025年もがん対策に関心がある中小企業は76%
企業によるがん対策への関心そのものも、高い水準が続いています。
2024年11月度調査では、経営者自身や従業員のがん対策について「大いに関心がある」「関心がある」と回答した企業は75%でした。2025年11月度調査では76%となっており、調査開始時の2021年2月の65%から11ポイント増加しています。
一方、2025年11月度調査で、会社が従業員に対して実施したがん検診の状況を尋ねたところ、「全従業員が受診している」企業は37%、「半数以上の従業員が受診している(全従業員が受診している企業を含む)」企業は55%でした。
経営者の関心が高い一方で、実際の受診については、まだすべての企業・従業員に広く行き渡っているわけではないことがうかがえます。
費用だけでなく「会社がどこまで関与するか」も課題
がん検診の受診を後押しするうえでは、費用以外にも企業側が抱えている課題があります。
2025年11月度調査で、従業員のがん検診受診率を向上させるうえでの課題を尋ねたところ、最も多かったのは「がん検診は個人の問題なので、企業としてどの程度関与してよいかの判断が難しい」の32%でした。
「十分対応できているため、課題はない」が22%、「コストがかかる」が18%、「受診率を向上させるための方法がわからない」が7%と続いています。
会社が従業員の健康を支援することは大切ですが、検診は個人の健康に関わることでもあります。会社として支援する場合は、たとえば「どの検診を対象にするのか」「費用をどこまで補助するのか」など、自社としての支援範囲をあらかじめ整理しておくとよいでしょう。
費用の全額補助だけが支援ではない
がん検診を支援する方法は、会社が検診費用を全額補助することだけではありません。
今回の調査では具体的な補助方法までは示されていませんが、会社として制度を検討するのであれば、対象となる検診を決める、補助する金額に上限を設けるなど、自社の予算に合わせた方法も考えられます。
また、費用以外の面から受診しやすくすることも一つの方法です。
2024年11月度調査では、従業員のがん検診受診率を向上させるため、「勤務時間内の受診許可」に取り組んでいる企業が54%ありました。
従業員にとっては、検診費用だけでなく、仕事とのスケジュール調整が受診のハードルになる場合も考えられます。費用補助だけに限定せず、勤務時間内に受診できるようにするなど、自社で取り入れやすい方法から検討するのもよいでしょう。
検診への支援を「健康への投資」と考えることも大切
従業員のがん検診を支援することは、会社にとって費用負担になります。しかし、中長期的には、従業員の健康を守るための取り組みという視点も重要です。
2025年11月度調査では、「これまでにがんに罹患した従業員がいる(いた)」と回答した企業は29%でした。約3割の企業が、従業員のがん罹患を経験していることになります。
同調査の監修者は、従業員ががんに罹患して長期間休業した場合や退職に至った場合、その労働損失は企業の生産性に直結すると指摘しています。特に中小企業では代替人材の確保が難しいため、がん対策などの予防医療への投資をリスク管理の一環として考えるべきとしています。
そのため、検診費用の補助についても単なる費用負担として捉えるのではなく、従業員の健康を支える取り組みの一つとして検討することも大切でしょう。
まとめ
2024年11月度調査では、直近2年間に従業員のがん検診を実施した企業が行っている受診率向上策として、「受診費用の補助」が69%で最も多い結果となりました。
ただし、調査では具体的な補助額や補助範囲までは示されていないため、「○円まで会社が負担するのが一般的」とはいえません。
会社として支援を検討する際は、費用補助だけでなく、勤務時間内の受診を認めるなどの方法もあります。自社の予算や従業員数などを踏まえながら、従業員ががん検診を受けやすい環境を整えていくことが大切でしょう。
出典
大同生命保険株式会社 大同生命サーベイ(2024年11月度調査)
大同生命保険株式会社 大同生命サーベイ(2025年11月度調査)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
