他のマンションはどうしてる? 理事会の頻度や報酬額をチェック!
配信日: 2019.07.30
そこで、公的な調査の結果から、マンションではどのようにしているのか様子を確認してみました。
執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
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3分の1のマンションでは毎月理事会を開催している
マンションの管理組合総会は、98%のマンションで年に1回以上開催しています。そして、総会では役員(理事長・副理事長・監事等)の選任をし、選任された役員は理事会を開催してマンションの維持管理に関する打ち合せ等をしています。
理事会の開催頻度はマンションによって異なるため、国土交通省の平成30年度マンション総合調査から、開催頻度に関する調査結果を完成年次別および総戸数規模別に表にしてみました。
理事会の開催頻度は月に1回が36.5%で最も多く、他に2ヶ月に1回(25.4%)や3ヶ月に1回(24.3%)開催しているマンションも多いです。
3ヶ月に1回だと年に4回しか開催しないので、理事同士でメールや理事会以外での打ち合わせをしない限り、次の総会まで主体的に何かを決めていくのは難しいかもしれません。
理事会の開催頻度が半年に1回や年に1回、ほとんどしていない、開催したことがない等は、理事会が機能しているとは言えなさそうです。
マンションの完成年次別に開催頻度を見てみると、おおよその傾向として古いマンションほど毎月開催しているマンションが多くなっています。古くなればメンテナンスが必要な個所も頻度も増え、多くのことを打ち合わせする必要が出てくるので、当然の傾向と言えます。
理事会の開催頻度をマンションの総戸数規模別にみると、大規模なマンションほど毎月開催すること多くなっており、501戸以上のマンションは97.3%の割合で毎月開催しています。
これも規模が大きいほど打ち合せ事項が増えるからでしょう。大規模になればなるほど普段顔を合わせる機会が少ないので、毎月のように開催することは重要です。ただ、理事会にどれだけの理事が参加しているかは、マンションによって差がありそうです。
4分の1のマンションでは理事に役員報酬がある
マンションによっては理事のなり手が不足しており、理事の報酬がないマンションが多い中、一部では理事に役員報酬を払って、理事を確保しているマンションもあります。理事の役員報酬の有無や相場についてグラフにしてみました。
73.3%のマンションでは理事の役員報酬はありませんが、役員全員に報酬があるマンションも23.1%、理事長のみ報酬があるマンションも1.1%あります。自分たちのマンションの維持管理をするのは当然であり、報酬をもらってするものではなく、報酬を払える余裕のないマンションが一般的です。
役員全員に報酬を払っているのは、投資用マンション等で無報酬では理事のなり手がいない場合や、なり手が特定の区分所有者に偏り、不公平感を幾分でも緩和するために報酬を払っている場合等が考えられます。理事長のみ払っているマンションは、理事長に負担が集中しているからだと考えられます。
では報酬を払っているマンションでは、報酬額の相場はどのくらいなのでしょうか?
役員報酬が全員一律の場合では、平均月額は3900円となっており、年額(月額の12倍)は4万6800円となります。報酬額で割合が最も高いのは1000円以下(30.1%)で、次が2000円以下(17.6%)となっており、報酬があると言っても半数は月額で2000円以下のかなり少額になっています。
月額1万円を超えるマンションも4.9%ありますが、当該区分所有者が納得しているのであれば、適正な額なのでしょう。
役員報酬が一律でない場合の理事長の報酬額は平均9500円となっており、一律の場合と比べるとかなり高額になっています。割合が最も高いのは1万円超の20.0%で、次が3000円以下の16.3%となっています。
マンション管理のプロ(マンション管理士等)に理事長を依頼している場合等では比較的高額になりやすいです。
マンションの適切な維持管理は資産価値にも大きく影響します。管理組合の理事になって打ち合わせに時間を割かれるのを嫌がる人も多いですが、誰かが理事となって率先して維持管理に努めていかなければ、マンションの適切な維持管理はできません。
理事会や管理組合が上手く機能していけるよう、みんなで協力していくことがとても大事です。
出典
国土交通省「平成30年度マンション総合調査」
執筆者:松浦建二
CFP(R)認定者