更新日: 2019.07.24 その他暮らし
マンションの管理組合総会には出席した方がいい? 出席状況を調査してみた
管理組合の総会は毎年開催されますが、どのくらいの人が出席しているのでしょうか? 公的な調査の結果をもとに、マンションの事情をいろいろと探ってみたシリーズ第2回目は、管理組合総会への出席状況を取り上げます。
執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/
委任状や議決権行使を含めれば出席率は82%!
マンションの管理組合総会は、多くのマンションで通常毎年1回開催されます。マンションは管理状況の良しあしが住み心地や資産価値に大きく影響するので、区分所有者にとって維持管理が適切にできていることは非常に重要です。
総会はマンションの現状を確認でき、発言もできる貴重な機会なので極力出席したいところですが、諸事情により出席していない人も意外と多いようです。そこで、一般的に管理組合総会にどのくらいの割合の人が出席しているのか調べてグラフにしてみました。
上段が委任状や議決権行使書提出者を含めた出席割合、下段が委任状や議決権行使書提出者を除いた場合の出席割合です。
委任状や議決権行使書提出者を含めた総会への出席割合は平均82.1%で、特に80%超~90%のマンションが全体の3分の1を占めています。90%超のマンションも20%以上あり、全体では4分の3のマンションで出席割合が70%を超えています。
一方で出席割合が50%に満たないマンションも3.6%あります。管理組合総会は有効に成立しているのでしょうか?
委任状や議決権行使書提出者を除き、実際に総会へ足を運んで出席している人の割合は平均32.9%で、委任状等を含めた場合と比べて50%も下がっています。特に多いのは出席割合が10%超~20%(21.1%)や20%超~30%(19.8%)で、90%超は僅か0.7%しかありません。
大規模なマンションほど総会に出向いていない
マンション管理組合の総会への出席割合を、今度は完成年次別と総戸数別でさらに区分けして何か傾向がないか確認してみました。
完成年次別総会への出席割合
マンションの完成年次別に出席割合をみてみると、完成年次による大きな偏りはなく、委任状や議決権行使書提出者を含めた場合では79.6%~84.8%の狭い範囲、委任状や議決権行使書提出者を除く場合でも47.0%~51.6%の狭い範囲に全て収まっています。
総戸数規模別総会への出席割合
総会への出席割合をマンションの総戸数規模別に見てみると、委任状や議決権行使書提出者を含めた場合では、20戸以下のマンションが89.3%で比較的高いものの、特に大きな偏りはありません。
しかし、委任状や議決権行使書提出者を除いた場合では、規模による違いが明確に表れており、規模が大きくなるほど総会への出席割合が下がっています。
総戸数が20戸以下では出席割合が51.5%ですが、規模が51戸~71戸になると30.4%へ下がり、501戸以上では14.3%まで下がっています。つまり、規模が大きいマンションでは、総会へ出向かず委任状や議決権行使書の提出で済ませている人が比較的多いと言うことです。
規模が大きいマンションは、出席割合が低くても総会へ出席している人自体は多いので、総会へ出向かなくても大勢に影響はないと考え、委任状や議決権行使書の提出で済ませてしまう人が多くなるのではないかと考えられます。
例えば、総会への出席割合が20%だとすると、総戸数が500戸のマンションなら出席者は100人(1戸あたり1人と仮定)にもなりますが、50戸のマンションなら10人しかいません。
マンションは規模が小さければ小さいほど、一人一人の管理組合への積極的な参加が大事になります。総会に出れば他の居住者と交流を深めることもできるので、年に1回程度の総会くらいは委任状や議決権行使書提出で済ませるのではなく、総会に出向いてみてはいかがでしょうか。
執筆者:松浦建二
CFP(R)認定者