【函館】「注文を受けてから焼くので、しばらくお待ちください」…コンビニ弁当が“値引きシール”を貼る時代に、函館のハセガワストアが40年以上“やきとり弁当”の「作り置きなし」をやめない理由―在住の筆者が実食&解説
コンビニで弁当を頼み、「今から焼くのでお待ちください」と言われたら驚く人も多いでしょう。
函館のハセガワストアのやきとり弁当は、注文票を受け取ってから串を焼き始めます。本記事では、効率より「できたての一口目」を優先する理由を、筆者が実際に食べた印象も交えて解説します。
FP2級、北海道在住ライター
注文票を受け取ってから焼く「やきとり弁当」の仕組み
ハセガワストアは、函館市などに14店舗を構える地元のコンビニです。看板商品のやきとり弁当は1978年の発売以来、店内で焼き上げるスタイルを続けています。
注文用紙を渡すと、串が焼き台へ
函館市公式観光情報「はこぶら」によると、やきとり弁当は作り置きをせず、注文を受けてから直火の焼き台で焼き上げています。
注文方法は主に3つあり、ポイントを整理すると以下のとおりです。
・店頭の専用用紙に種類と数量を書いて、店員に手渡す
・受け取り希望時間の1時間前までに、電話で注文する
・一部の店舗では、スマホのモバイルオーダーで注文する
旅行や出張の合間なら、電話やモバイルオーダーで待ち時間を減らせるでしょう。なお、やきとり弁当(小)の価格は680.40円(税込、2026年執筆時点)です。
焼きながら吹きかける赤ワインと「豚」のやきとり
写真1
筆者撮影
焼く途中で吹きかけるのは「はこだてわいん」の赤ワインで、味をまろやかにし、肉をやわらかくする「かくし味」です。また、弁当にのっている肉は鶏肉ではなく豚肉です。一般的なイメージと道南地方の違いを比較します。
図表1
| 項目 | 一般的なイメージ | 函館を含む道南 |
|---|---|---|
| 「やきとり」の肉 | 鶏肉 | 豚肉(豚精肉) |
| 鶏肉を食べたいとき | そのまま注文する | 「鶏肉で」と伝える |
ハセガワストア やきとりなのに豚!?より筆者作成
道南は養豚場が多く、鶏より豚が安く手に入りやすかったことが理由の一つとされています。弁当のふたに描かれた「ぶたちゃん」にも注目してみてください。
注文時に5種類の味から選べる
やきとり弁当は、以下の5つの味から好みのものを選べます。
・タレ
・塩
・塩だれ
・うま辛
・みそだれ
なかでも圧倒的な人気を誇るのがタレです。私も子どものころからタレ派で、いつもタレを頼んでいました。ただ、母は塩、妹はうま辛を選ぶことが多く、結局は自分の好みで選ぶのが一番だと思います。「やきとり」そのものの味わいはもちろん、タレがご飯にしみ込んだときの美味しさまで考えると、なかなか奥深い世界です。
また、「塩1本、たれ2本の小」のように味を混ぜる「MIX」も頼めるなど、細かく選べる点は注文ごとに焼く方式ならではのメリットです。初めてなら、タレと塩のMIXで食べ比べてみてください。
「できたての一口目」を優先する理由と、実際に食べた印象
注文後に焼く方式は待ち時間が生まれるため、効率的とはいえません。それでも続く背景には、あたたかいものを届けたいという発売当時からの思いがあります。
【実録】焼きたてのやきとり弁当(中)を食べてみた
写真2
筆者撮影
待ち時間はおよそ10分ほどでした。自宅で食べるので、そこからさらに家まで10分ほど歩きます。その間も、ふたの隙間からタレの香りが漂ってきました。
家に着いたら、すぐ開けたい気持ちを抑えて、まず串を抜きます。そのほうが食べやすいからです。昔からの習慣で先に抜いていますが、そのまま開けても問題ありません。串を先に抜くと手にタレが付きにくいので、これも気に入っています。
いよいよふたを開けます。すると、暖かな湯気とタレの香ばしい匂いがふわっと広がりました。この瞬間はいつも格別です。改めて中を見ると、豚串と野菜串の下に、タレがしみ込んだ海苔が敷かれていました。
そして実食です。タレの味が口いっぱいに広がり、豚肉がなくても十分美味しいです。豚肉もしっかり火が通っているのに、とても食べやすいです。あとは、いつものように無心で食べました。
原点は「あたたかいものを食べてほしい」という思い
公式サイトによると、1978年のある夜、酒に酔った来店客から弁当はないかと聞かれた当時の社長が、ごはんとのり、やきとりを組み合わせたのが始まりです。その根底には、あたたかくおいしいものを食べてほしいという思いがあります。
まとめ
ハセガワストアのやきとり弁当は、注文を受けてから串を焼く仕組みを40年以上続けています。注文時には5種類の味から選べ、タレと塩を組み合わせるMIXも頼めます。
受け取りまで少し待ちますが、その分温かいうちに味わえるのが魅力です。函館を訪れた際は、電話やモバイルオーダーも活用して、できたての一口目を味わってみてください。
執筆者 : 木彫りグマ
FP2級、北海道在住ライター


