SNS「病院都合なのに個室料金取られそうになった」投稿に「自分は払っちゃった」「病院に要注意人物扱いされる」などの声が…実際“入院するなら払うべき”? 差額ベッド代がかかる条件
SNSでは、同じ場面で厚生労働省のルールを持ち出した人が、支払わずに済んだという投稿が注目を集めました。差額ベッド代を払わずに済むケースと、そう言われたときの対応を、本記事で解説します。
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「満床なので有料」と告げられた投稿に反響
投稿者は入院手続きの際、「大部屋が空いてないので有料のお部屋です」と告げられました。
そこで、厚生労働省の取り決めでは満床なら病院の都合にあたるので無料のはずではと尋ねると、有料の部屋の同意書が未提出だったこともあり、支払いは求められなかったといいます。
返信には、「空きが無いので個室です」と言われて8800円を疑わずに払ったという声がありました。
一方、断れば病院側から要注意人物としてマークされるだけだという否定的な投稿も見られました。
病院の都合で料金を取れないことと、無料で個室を用意し予定どおり入院や手術をさせる義務を負うことは別であり、その日の入院を断られる可能性もあるという指摘もあります。
差額ベッド代とはどんな料金か? 1日の平均は7026円
差額ベッド代は、病室そのものにかかる料金で、健康保険の入院料と切り離して患者が全額を負担する仕組みです。
厚生労働省の通知は、この料金を取れる病室を「特別療養環境室」と呼び、1部屋4床以下などの条件を付けています。そのため、個室に限らず2人から4人の部屋でも請求される例もあります。
同省が公表した「主な選定療養に係る報告状況」によれば、2025年8月1日時点の1日当たりの平均(推計)は7026円でした。部屋の種類ごとに見ると、図表1のとおり1人室が8710円と最も高い水準です。
図表1
厚生労働省 中央社会保険医療協議会 総会(第653回)総-4-2(令和7年)主な選定療養に係る報告状況より筆者作成
しかも、高額療養費制度(医療費の窓口負担が一定額を超えた分が戻る仕組み)は、この料金には使えません。
満床を理由に個室へ入ったらどうなる? 通知が示す線引き
通知は、有料の部屋の利用を、患者が自ら選んで同意することを前提に行うよう医療機関に求めています。同意は、料金などを書いた文書に患者側が署名して確認する決まりです。
そのうえで、料金を取ってはいけない例として、通知は次の3つを挙げています。
・同意書での確認が抜けている場合(室料の記載や署名がないなど不備がある場合を含む)
・救急や手術直後の患者などを、治療のうえで必要があって有料の部屋に入れる場合
・感染症の広がりを防ぐためなど病棟の管理のために有料の部屋を使わせ、本人が選んだとはいえない場合
3つ目の具体例には、ほかの病床がふさがっているために有料の部屋へ入れたケースが含まれています。つまり、大部屋がいっぱいという病院の都合で個室などに案内されても、原則として支払いは求められません。
とはいえ、患者自身の選択によるものといえるかは、患者側と医療機関から事情を聞いたうえで決めるとされています。なお、快適さを求めて自分の意思で個室などを望み、同意書に署名したなら、料金が発生します。
「有料の部屋になります」と言われたときの対処法
案内を断ると病院との間が気まずくなりそうで、ためらう人もいるでしょう。ただ、通知は、医療機関に、有料の部屋を希望する患者へ料金などを明確かつ丁寧に説明するよう求めています。落ち着いて確かめるのは、このルールに沿った行動です。
まず、有料の部屋を使いたくないなら、入院の予約や手続きの段階でその意向を前もって知らせておくと安心です。次に、同意書を渡されたら部屋の種類と料金を確かめ、望まない部屋なら署名を見合わせましょう。
病院側の言い分に納得がいかないなら、医療安全支援センターへ相談する方法もあります。厚生労働省によると、同センターは都道府県などが設けている窓口で、患者や住民から医療をめぐる苦情や相談を受け付けています。
差額ベッド代は「自分で選んで同意した」ときだけ払う料金
差額ベッド代は本来、十分な説明のあとに患者が自ら望み、同意書に署名して初めて払う料金です。大部屋がいっぱいという病院の都合や、治療のうえで必要とされて個室などを使わざるを得なかった場合、料金は請求されない決まりです。
案内を受けたら、署名する前に個室に案内される理由と料金の扱いを確かめましょう。納得がいかなければ、医療安全支援センターに相談してみましょう。
出典
厚生労働省 「「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項について」の一部改正について
厚生労働省 中央社会保険医療協議会 総会(第653回)総-4-2(令和7年)主な選定療養に係る報告状況
全国健康保険協会 高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)
執筆者 : 金子賢司
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