父が近所の人に月「5000円」で貸していた実家の土地を相続。契約書は見つかりませんが、相手は今も駐車場として利用しています。私が土地を使いたい場合、返してもらうことはできるのでしょうか?
そこで今回の記事では、相続した土地が他人に貸し出されていたが、それを自分で使うために返してほしいとき、それが可能なのか考えていきます。
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
土地の賃貸借は有効に成立しているとみるべき
実は契約書がないからといって、正式に物の貸し借り、いわゆる賃貸借契約が成立していないとは限りません。契約書の有無は裁判や話し合いでの証拠の1つになりうるものではありますが、法律上貸し借りが成立する要件とはされていないからです。
例えば、相手が駐車場として使い、父がその対価として5000円を受け取っていたのであれば、物の貸し借りは存在し、それを裏付けるお金の支払いもあったということで、有償での賃貸借契約が成立していると考えてよいでしょう。
加えて、貸し出されていた土地を相続した場合、その土地の所有者としての立場だけでなく、貸主としての立場も引き継ぎます。そのため、相続したからといって、急に自分の都合で土地を返してもらうことは、基本的にできないと考えるべきなのです。
解約の申し入れをすれば返してもらえる可能性がある
とはいえ、土地を返してもらう方法がまったくないわけではありません。状況を整理したうえで適切な手続きを進めることで、返還につながる可能性があります。
なぜなら、期間の定めのない土地の賃貸借は貸主から解約を申し入れることができ、原則として解約申し入れから1年を経過して終了するとされているからです。
「来週から使いたいので、すぐ出て行ってください」と、すぐ返してもらうことはできませんが、「土地が必要だから法に則って1年後に返してください」と、解約を申し入れることはできます。
ただ、これは契約期間の定めがない場合です。もし、父と借主との間で契約期間が決まっていたり、解約の条件や契約期間延長の条件などが決まっていたりすれば、それに従うことになります。
なお、余談ですが、借主が駐車場ではなく建物所有を目的として土地を借りて使っていた場合は、借地借家法という法律の保護があるため、正当事由などがない限り、貸主からの解約や更新拒絶が認められないためご注意ください。
土地を返してもらうなら話し合いが原則
平穏に土地を返してもらいたいのであれば、一方的に権利を行使するのではなく、話し合いが原則になります。
そのためにまず確認したいのは、いつから貸していたのか、月5000円は何の名目だったのか、駐車できる範囲はどこまでか、父との間で「いつでも返す」などの約束があったのかなど、当事者間での認識です。
なぜなら、自分が把握していないだけで、当事者間では何かしらの取り決めがあったり、契約書内容を確認できる書類やメールなどが残っていたりする可能性もあるからです。
そのうえで、こちらが土地を必要とする理由を説明して理解を求めたり、場合によっては立ち退きに当たり別の土地を手配したり、金銭的に補償したりするなど、話し合いを進めていくのがひとつの方法になります。
認識があいまいな点や双方の意見が合致しない部分は、ひとつずつ整理しながら話し合うことが大切です。必要に応じて代替案を検討し、お互い納得できる着地点を探ることで、土地の返還に向けて円滑に進められる可能性があります。
間違っても実力行使をしてはいけません。別のトラブルが生じる原因となります。
まとめ
父が月5000円を受け取り、その相手が借りた土地を駐車場として使っている場合、契約書がなくても有効に賃貸借が成立していると考えるべきです。そのため、相続したからといって、話し合いによる合意なく一方的に追い出すのは避けるべきでしょう。
駐車場として土地を貸している場合は、建物所有を目的とする借地のような借地借家法上の保護を受けないため、契約内容などに応じて土地の返還を求めることができます。
焦らず、相手を思いやりながら、父と相手との間にある約束の内容や入金履歴などを確認し、書面で期限を示して返還を求めるようにしてください。
執筆者 : 柘植輝
行政書士
