「将来“NISA貧乏”になったら生活保護を受ければいい」と考える40代独身会社員。手取りは「18万円」前後ですが、老後資金のNISAを取り崩さずに受給できるのでしょうか?
本記事では、NISAでの運用資産がある状態で生活保護を受けられるのか解説するとともに、その際の資産の扱いについて紹介します。
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近年“NISA貧乏”という言葉が話題に
「NISA貧乏」は近年みられるようになった造語で、将来の不安からNISAでの積立を優先しすぎるあまり、家計が圧迫されて暮らしに余裕がなくなる状況を指します。身の丈に合わない投資額や相場下落時の不安から、積立停止や売却を余儀なくされるケースもあるようです。
株式会社NEXER Groupと企業型確定拠出年金導入支援・人材・コンサルティング「株式会社フューチャー・デザイン・ラボ」の調査によると、40代の75.0パーセントが老後の生活資金に「不安を感じる」と回答し、半数以上の53.0パーセントが老後資金の準備を「もっと早く始めればよかった」と感じています。
また、老後に必要だと思う金額は「2000万円以上~3000万円未満」が29.0パーセントで最多となった一方、実際に貯められると思う金額は「1000万円未満」が55.0パーセントを占めています。
老後に必要と考える金額と、実際に準備できそうな金額のギャップが不安の一因になっているようです。
生活保護受給中はNISA資産の保有が原則認められない
NISAは運用益が税法上で非課税となる制度ですが、生活保護制度における「保有資産」「収入」から除外されるわけではありません。
厚生労働省は生活保護の受給にあたり、世帯員全員が利用し得る資産や働ける能力などあらゆるものを活用することを前提としています。NISA口座で株式や投資信託などを保有している場合、保有資産の活用・処分を求められる可能性が高く、保有したまま生活保護を受け続けることは原則として難しいようです。
また、生活保護を申請する際は事前に資産の調査が行われ、収入や資産について福祉事務所への定期的な報告が義務付けられており、NISAなどで得られる分配金・配当金もすべて申告が必要な「収入」に該当します。
仮に、NISAの資産や、運用で得た利益を申告せずに受給した場合は不正受給とみなされ、生活保護費の返還を求められる可能性があります。また、配当などの収入や資産の売却によって得た金銭により、生活保護の停止につながるおそれもあります。
なお、生活保護費は最低限度の生活を維持するための制度であるため、受給中に保護費をNISAの積立投資に充てることは、制度の趣旨に照らして認められないと考えるのが基本です。
生活保護下でも持てる可能性のある資産とは?
東京都福祉局によると、生活保護制度における「資産」には現金・預貯金・有価証券・不動産・自動車・バイク・生命保険などが含まれ、生活維持のための活用や処分が求められます。
ただし、処分することが現実的でない場合や自立更生に資すると判断されるなど、特定の要件を満たす場合は、例外的に保有が認められるケースもあるようです。
・自動車、バイク
原則として保有が認められませんが、障害がある人の通勤・通院や、公共交通機関の利用が困難な地域での通勤などやむを得ない事情がある場合は保有が認められることがあります。
・持ち家
現に居住しており、一般的な住宅であればそのまま保有して住み続けることが認められる場合があります。ただし、売却価値が著しく高い場合は処分を求められることがあります。
まとめ
生活保護の制度上、NISAによる配当金や保有資産などは収入や資産の確認・認定の対象となり、申請時や受給中に申告が必要です。申告しなかった場合は不正受給として、保護費の返還を求められることもあります。
生活保護はあくまで困窮時のセーフティネットであるため、“NISA貧乏”のみを理由に受給を検討するのは避けたほうが賢明でしょう。
出典
株式会社NEXER Group 老後資金への不安と備えの実態に関する調査(PR TIMES)
株式会社フューチャー・デザイン・ラボ
厚生労働省 生活保護制度
東京都福祉局
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
