隣家との境界にある古いブロック塀が傾き、撤去費用は「50万円」との見積もり。隣人は「まだ壊さなくていい」と言いますが、危険でも双方の同意がなければ撤去できないのでしょうか?
そこで今回の記事では、境界上のブロック塀を撤去するときに確認したいポイントを見ていきます。
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
まず「誰の塀なのか」を確認することが大事
最初に確認すべきことはブロック塀の所有者が誰かという点です。
原則として、境界線上に設置された塀などは、隣り合う土地の所有者の共有に属するものと推定されています。つまり、塀の中心がちょうど境界線上にある場合、特別な事情がなければ双方の共有物と考えられるわけです。
一方、ブロック塀が完全に自分の敷地内にあり、自分側が設置・所有していることが明らかなら、基本的には自分の所有物です。そのため、まずは境界線の位置、塀が建っている場所、設置した経緯、所有関係を確認する必要があるのです。
共有の塀なら、勝手な撤去は避けたほうがよいが、措置が必要なこともある
確認した結果、塀は隣家との共有物であると推測されるのであれば、勝手な撤去は避けるべきでしょう。共有物はその形状や効用を著しく変更するような場合、原則として他の共有者の同意が必要であるからです。
例えば、ブロック塀を完全に撤去する行為は、塀そのものをなくしてしまうことになります。とすると、たとえ危険がありそうだからという理由で、隣人の反対を無視して全面撤去するのは慎重に考えるべきでしょう。
加えて、撤去費用50万円をどうするかという問題も残ることを考えると、なおさらです。
ただし、誰が見ても確実に倒壊の危険があるような塀であれば話は別です。なぜなら、共有物を守るための行為、いわゆる保存行為は、共有者それぞれが単独で行えるとされているからです。
そのため、撤去するかどうかはともかく、倒れないよう応急補強をする、危険な距離まで近づけないようにする、などといった措置は、撤去とは分けて考える必要があります。
この判断は、緊急性や塀の状態によって異なります。隣人が反対している場合は、当事者同士だけで判断せず、自治体の相談窓口などに状況を伝え、対応方法を確認するとよいでしょう。
倒壊して事故が起きれば責任問題も
もし傾いているブロック塀が倒れ、それが通行人や隣家の車などに損害を与えれば、別の問題も生じます。
なぜなら、土地の工作物の設置や保存に問題があり、それによって他人に損害が生じた場合、占有者や所有者が損害賠償責任を負うことがあるからです。
特に、誰が見ても明らかなほど目に見えて傾いているのであれば、「隣人が撤去に同意しなかったから何もしなかった」で済むとは限りません。
まずは建築士や塀の工事を扱う施工業者などに安全性を確認してもらい、危険度を客観的に把握することが大切です。そのうえで、倒壊を防ぐために必要な補修や安全対策を検討し、隣人にも状況や今後の対応について説明しておくとよいでしょう。
まとめ
境界上のブロック塀が共有物であれば、原則として自分の判断だけで撤去するのは避けるべきです。一方、自分が所有する塀なら、基本的には所有者の判断で撤去しても問題ありません。
境界上のブロック塀に傾きがあり、倒壊の危険がある場合は、被害が発生する前に、できるだけ早く50万円の撤去費用の負担も含めて対応について話し合うべきでしょう。
自分だけでは対応に不安がある場合や、どのように進めるべきか判断が難しい場合は、建築士や施工業者、自治体の窓口などに相談し、塀の状態に応じた対応を検討しましょう。
執筆者 : 柘植輝
行政書士
