お隣が駐車場を「防犯になるから」と“タダで貸してくれてた”のに、相続した息子さんに「月1万円払ってください」と言われショック!「昔の口約束」は無効ですか? 使用貸借の法的な仕組みとは
しかし、法律や家計管理の観点から見ると、これまでの「タダ」がどのような契約関係に基づくものだったのかを確認することが重要です。
本記事では、無償で物を借りる「使用貸借」の法的な仕組みや、相続によって所有者が変わった場合の注意点、提示された月1万円をどう判断すべきか、そして対処ステップを解説します。
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「タダでOK」の口約束は相続人にそのまま主張できるとは限らない
民法などの法律上、お金を払わずに他人の物を借りて使用する契約のことを「使用貸借(しようたいしゃく)」と呼びます。一方、賃料を払って借りる契約は「賃貸借(ちんたいしゃく)」です。
使用貸借は、無償で使用できる点に特徴があります。ただし、賃貸借とは異なり、契約の終了時期については、契約で定めた返還時期や使用目的などが重要です。
口頭での約束であっても、当事者間で合意が成立していれば、契約として認められる場合があります。しかし、土地の所有者が亡くなり相続によって所有権が移転した場合、それまでの使用貸借がどのような形で続くのかは、契約の内容や使用目的などを踏まえて判断しなくてはなりません。
そのため、「おとなりさんとは無料の約束をしていたのだから、息子さんの相続後も当然に無料で使い続けられる」と一律に考えることは避けたほうがよいでしょう。まずは、生前の所有者との間で、どのような約束があったのかを整理することが大切です。
過去の賃料をさかのぼって請求される心配はあるか?
突然「月1万円」と言われた際、もう1つ不安になるのが「過去にタダで停めていた何年分もの賃料をさかのぼって請求されるのではないか」という点でしょう。
生前の所有者との間で「無料で車を停めてよい」といった使用貸借の合意が成立していたことを確認できるのであれば、その合意に基づいて、利用していた期間について後から一方的に賃料を請求できるとは限りません。
ただし、使用貸借がいつ終了したのか、相続後も利用を続けられるのかなどは、個別の契約内容によって判断が変わります。そのため、過去の利用分についても不安がある場合は、相続人との話し合いで、利用開始時期やこれまでの合意内容を確認しておくと安心です。
月1万円の賃料負担と近隣相場との比較
今後、月1万円を払って契約し直すべきかどうかは、「近隣の月極駐車場の相場」を比較して冷静な判断が大切です。これまで無料だったため、月1万円の出費は大きく感じられるかもしれませんが、周辺の月極駐車場の相場と比較することで、この1万円が妥当な金額なのかを判断しやすくなります。
近隣の駐車場相場が月1万5000円であれば、提示された月1万円は相場より5000円安い金額です。すぐとなりという利便性も含めれば、正式に契約を結んで月1万円を支払うことを検討する余地は十分にあります。
逆に、近隣相場が月8000円であれば、提示された月1万円は2000円高いことになります。この場合は、別の月極駐車場へ移る選択肢も含めて比較するとよいでしょう。
近隣トラブルを回避して安全に対処する3つのステップ
近隣関係を悪化させず、後々の金銭トラブルを防ぐためには、次の手順で冷静に対応を進めてください。
ステップ1:生前の感謝と「過去の利用」を確認する
まずは「生前お父さまには大変お世話になりました。防犯も兼ねて、ご好意で、無料で置かせていただいておりました」などと感謝を伝え、これまでの経緯を説明します。
ステップ2:周辺相場を調べ、契約か退去かを判断する
周辺の月極駐車場の空き状況と相場価格を調べます。「月1万円での契約」が自分にとって妥当なのか、別の駐車場へ移ったほうがよいのかを比較しましょう。
賃料だけでなく、自宅からの距離や駐車場までの移動時間、初期費用、敷金・礼金などが必要かどうかも含めて考えることが大切です。
ステップ3:文書での契約または期日を決めた退去
借り続ける場合は、口約束のままにせず「駐車場賃貸借契約書」などの書面を交わし、毎月の賃料、支払い方法、契約期間、解約条件などを明確にしておいてください。
退去する場合は「次の駐車場を探すため、○月末までに撤去します」など、具体的な期日を伝えて明け渡します。これまで長く利用してきた場所だからこそ、最後まで丁寧に話し合うことが近隣トラブルを防ぐポイントです。
口約束の限界を理解し、数字と契約内容で判断を
隣人の死亡や相続によって土地の所有者が変わった場合、それまでの「タダで借りる」という使用貸借が今後も同じ条件で続けられるとは限りません。
まずは、賃料の月1万円と近隣の月極駐車場の相場を比較し、自宅からの距離や利便性なども含めて判断してください。口約束だけでは後から認識の違いが生じる可能性があるため、今後も借り続けるのであれば、賃料や契約期間などを文書で明確にしておくことも大切です。
無用な近隣トラブルを避けるためにも、正しい知識を持ってこれまでの経緯と今後の条件を整理し、相手と誠実に話し合ってみましょう。
出典
e-Gov法令検索 民法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
