隣家の木の枝が「3年ほど前」からわが家へ越境…。しびれを切らした夫は「もう自分たちで切って費用を請求しよう」と言いますが、隣家の許可なく勝手に剪定できるのでしょうか? 現在のルールを確認

配信日:
この記事は約 4 分で読めます。
隣家の木の枝が「3年ほど前」からわが家へ越境…。しびれを切らした夫は「もう自分たちで切って費用を請求しよう」と言いますが、隣家の許可なく勝手に剪定できるのでしょうか? 現在のルールを確認
隣家から伸びてきた木の枝によって日当たりが悪くなったり、落ち葉の掃除に手間がかかったりして、困っている人もいるでしょう。
 
しかし、ご近所付き合いを考えると、なかなか対応を求めにくいものです。また、越境した枝だからといって、自由に切ってよいとは限りません。
 
本記事では、隣家から越境した枝を自分で切ることが認められるケースや、切除にかかった費用を請求できるのかについて分かりやすく解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

3年前から越境している枝でも自由に切れるとは限らない? 令和5年4月1日に改正された民法第233条の基本ルール

隣家の木の枝が自宅の敷地内まで伸びてくると、日当たりが悪くなったり、落ち葉の掃除に手間がかかったりすることがあります。
 
特に3年前から放置されているようなケースでは、しびれを切らして「自分たちの手で切り落とそうか」と考えるのも無理はありません。しかし、隣家の木の枝が自宅の敷地内に伸びてきていても、原則として、隣家の所有者に無断で枝を切ることは認められていません。
 
民法第233条では、「土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる」と定められています。土地の所有者であっても、他人の財産である木の枝を勝手に処分することはできないのが基本的な考え方です。
 
ただし、近年はこのルールに大きな見直しが行われました。令和5年4月1日に施行された改正民法によって、一定の条件を満たした場合に限り、越境された土地の所有者が自ら枝を切り取ることが可能になりました。
 

隣家の許可なく自分で切り取れる3つの例外条件

では、具体的にどのような場面であれば、隣家の許可を得ずに自分で枝を切ることが認められるのでしょうか。改正後の民法第233条では、土地の所有者が自ら枝を切り取ることができる例外として、次の3つの条件を定めています。
 
1つ目は、竹木の所有者に枝を切除するようお願い(催告)したにもかかわらず、相当の期間内に切除しないときです。
 
ここでいう「相当の期間」とは、相手が枝を切り取るための準備に必要な時間的猶予を与える趣旨であり、事案によって異なりますが基本的には2週間程度と考えられています。
 
2つ目は、竹木の所有者を知ることができない場合や、その所在が分からないときです。隣家が空き家になっていて誰の持ち物か分からないような事例がこれに該当します。
 
3つ目は、台風で枝が折れて倒れてきそうなど、急迫の事情があるときです。
 
さらに、竹木が複数人の共有物である場合には、共有者の1人が越境している枝を切り取ることができるルールも新設されました。切断して後からトラブルにならないよう、条件を満たしているか確認しましょう。
 

かかった費用は隣家に全額請求できる?

自分で枝を剪定した場合に最も気になるのが「作業にかかった費用を隣家に請求できるのか」というお金の問題でしょう。切り取りにかかった費用は基本的には竹木の所有者に請求できると考えられています。
 
越境した枝はご自身の土地所有権を侵害しており、本来であれば竹木の所有者が切除する義務を負っているためです。
 
ただし、費用を請求するためには、事前に適切な手順を踏んでお金や手続きの記録を残しておく必要があります。隣家の所有者が分からない場合は、法務局の窓口やオンラインで不動産の登記事項証明書を取得し、所有者を確認する方法があります。
 
なお、「市役所に頼めば代わりに無料で切ってくれるのでは」と考える方もいるかもしれませんが、自治体が個人の敷地の枝を切ることはできません。
 
越境した樹木は原則として所有者が管理するものであり、自治体が公費を使って剪定や伐採に対応できるとは限らないためです。あくまで民事上の問題として、自分たちで費用や手続きを管理しながら進める必要があります。
 

トラブルを避けてお金と枝の問題を解決するために

たとえ3年前から隣家の枝が越境している場合でも、直ちに無断で切り取ってよいとは限りません。
 
越境した枝については、竹木の所有者に切除を求めることが基本です。まずは隣家の所有者に枝の切除を催告し、対応に必要な期間を設けることが解決に向けた第一歩となります。
 
もし相続人の調査が必要であったり、相手との話し合いが難航したりする場合は、市民相談室の無料法律相談や弁護士、司法書士などの専門家に相談しながら手続きを進めると安心です。
 
正しい知識を身につけ、段階を踏んで対処することでお金と近隣関係のトラブルを最小限に抑えられるでしょう。
 

出典

e-GOV法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号) 第二編 物権 第三章 所有権 第一節 所有権の限界 第二款 相隣関係(竹木の枝の切除及び根の切取り)第二百三十三条
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

【PR】ソニー生命保険株式会社

  • line
  • hatebu

LINE