居酒屋で「こちらです」と運ばれた6000円の料理を食べ終えた直後、店員から「隣のテーブルの注文でした」と告げられました。頼んでいない料理でも、食べてしまった以上は代金を払うべきなのでしょうか?
ところが食べ終わった後で「実は隣のテーブルの料理でした」と言われ、6000円を請求されたら納得できない人もいるはずです。このケースでは、「食べた=必ずメニュー価格全額を払う」と単純に決まるわけではありません。誰のミスで料理が提供され、客が注文していないことを知っていたかなどによって考え方が変わります。
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注文していない料理なら、通常の「売買契約」が成立していたとは限らない
飲食店で代金を支払う基本的な根拠は、客が料理を注文し、店がその注文を受けて提供するという合意です。今回のように、客が料理を注文しておらず、店員が誤って別のテーブルの料理を提供したのであれば、その料理について通常の意味での注文契約が成立していたとは言いにくいケースがあります。
したがって、店が後から「メニュー価格が6000円なので6000円払ってください」と当然に請求できるとは限りません。少なくとも、注文の有無や店側の提供ミスを無視して、通常の注文と同じ扱いにするのは慎重に考える必要があります。
ただし、食べた利益について「不当利得」が問題になることはある
一方で、注文していないから何も考えず無料になるとも限りません。民法703条には、法律上の原因なく利益を受け、他人に損失を与えた場合の不当利得返還義務が定められています。料理を食べたことで客が利益を得たと評価されれば、この考え方が問題になる余地はあります。
もっとも、客が店員の案内を信じ、自分たちの注文品だと思って食べたのか、それとも明らかに注文していない高額料理だと分かりながら食べたのかでは事情が異なります。「知らずに食べた場合」と「間違いだと分かっていた場合」を同じように扱うことはできません。
店側のミスが明らかなら、まずは請求根拠を確認する
店員がテーブル番号を間違えて運んだのであれば、客側は「注文していないこと」「店員から自分たちの料理として提供されたこと」を伝えましょう。店が請求する場合には、なぜ全額を支払う必要があると考えるのか説明を求めてもよいでしょう。
その場で揉めたくないからと支払った場合でも、領収書やレシートを保管しておくと後から相談しやすくなります。金額が大きく、話し合いで解決しない場合は、消費者ホットライン188などを通じて消費生活センターに相談する方法もあります。
自分の注文と明らかに違うと気づいたら、食べる前に確認を
たとえば「焼き鳥2本しか頼んでいないのに高級刺し盛りが届いた」など、明らかに注文内容と違う場合は、食べる前に店員へ確認するのが安全です。間違いだと気づいていたのに、そのまま食べた場合には、客側の立場は弱くなりやすいでしょう。
反対に、複数人で多くの料理を注文しており、見た目だけでは注文品かどうか判断しにくかった場合などは、客側が間違いに気づけなかった事情も考慮される余地があります。
まとめ
隣のテーブルの6000円の料理を、店員から自分たちの料理として提供され、間違いに気づかず食べた場合、「食べたのだから当然6000円を支払う」とは一概にいえません。
通常の注文契約が成立していたか、不当利得としてどの範囲の返還が問題になるかなどを個別に考える必要があります。まずは店側の誤配の経緯を確認し、納得できない請求であれば根拠を尋ねましょう。
出典
e-Gov法令検索 民法
消費者庁 消費者ホットライン
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
