現在無職ですが、失業給付や貯金はあります。公営住宅は収入が少ない人向けというイメージがありますが、無職でも申し込みできるのでしょうか?
本記事では、失業給付や貯金の扱いを交えながら、無職の人が知っておくべきポイントを解説します。
CFP(日本FP協会認定会員)
1級FP技能士(資産設計提案業務)
住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター
未来が見えるね研究所 代表
座右の銘:虚静恬淡
好きなもの:旅行、建築、カフェ、散歩、今ここ
人生100年時代、これまでの「学校で出て社会人になり家庭や家を持って定年そして老後」という単線的な考え方がなくなっていき、これからは多様な選択肢がある中で自分のやりたい人生を生涯通じてどう実現させていくかがますます大事になってきます。
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無職でも公営住宅に申し込めるの?
公営住宅(県営住宅、市営住宅など)とは、公営住宅法や各自治体の条例に基づき、収入が少なく住宅に困っている人のために、セーフティーネットとして比較的安い家賃で借りることのできる住宅です。都道府県や市区町村といった自治体によって運営されています。
例として、入居資格には以下のような条件があります。なお、具体的な申し込み条件は自治体の条例などによって異なる場合があります。
1. 申込者は成人であること。
2. 申込者が、市内に在住(又は在勤)6ヶ月以上であること。
3. 夫婦(婚約者及び内縁関係にある者を含む)または親子を主体とした家族であること。
4. 現在、住宅にお困りであること。
5. 申込者及び入居しようとする家族について、住民税の滞納及び市営住宅の使用に関する債務がないこと。
6. 市営住宅で円満な団地生活ができること、また、申込者及び入居しようとする家族が暴力団員でないこと。
7. 世帯の収入が、収入基準以内であること。
出典)横浜市「市営住宅の入居者資格」より筆者作成
条件のうちの一つに「収入基準」がありますが、まずは申し込みの可否を左右する収入基準の考え方を見ていきます。
収入に「下限」はない
公営住宅は、住宅に困っている低所得者層のために提供される賃貸住宅です。そのため、収入の上限はあっても下限はなく、無職・無収入でも申し込むことができます。自治体の案内でも、無収入の場合は収入を0円として計算してよいとされており、収入が少ないことが不利になることはありません。
判定には原則として「前年の所得」が使われる
収入基準の審査では、世帯における1年間の総所得金額を計算し、そこから、あてはまる控除額をすべて差し引いた残りの金額を12(ヶ月)で割った額(世帯の月収額)で判定します。つまり、現在が無職であっても、原則として前年の所得を基に判定されます。
また、年の途中で就職・転職をした場合は、満1ヶ月以上の実績から年間収入を推定する扱いが一般的です。
横浜市の市営住宅の場合の収入基準は、図表1のとおりです。ここでの裁量階層(裁量階層世帯)とは、公営住宅において、高齢者や障害者など特に居住の安定を図る必要がある世帯のことです。一般の世帯に比べて入居のための収入基準が緩和(引き上げ)されており、所得が少し高くても公営住宅への申し込みが可能になります。
図表1
| 対象世帯 | 世帯の月収額 |
|---|---|
| 一般世帯 | 15万8000円以下 |
| 裁量階層 | 21万4000円以下 |
出典)横浜市「市営住宅の入居者募集」より筆者作成
なお、公営住宅の収入審査では、前年の所得だけを見るのではなく、退職や転職などによる現在の収入状況を考慮する自治体があります。例えば、自治体によっては、退職して現在無職であることを離職票や退職証明書などで確認し、無収入として扱う場合があります。
そのため、「前年は会社員だったから申し込めない」と決めつける必要はありません。現在の状況を自治体に確認することが大切です。
失業給付や貯金は審査に影響するの?
無職の人が気にするのが、失業給付や貯金の存在です。ここでは、これらが入居審査でどう扱われるのかを整理します。
失業給付は所得に含まれない
雇用保険の基本手当、いわゆる失業給付は非課税所得であり、公営住宅の収入認定では所得額の計算に含めません。遺族年金・障害年金・生活保護の給付金・仕送りなども同様に除外されます。
そのため、失業給付を受給していても収入基準の判定には影響せず、むしろ非課税所得として収入にカウントされない点は、無職の申込者にとって安心できるポイントです。
貯金は原則として審査の対象外
公営住宅の入居審査で重視されるのは、継続的に家賃を支払える収入があるかどうかです。預貯金や退職金などの資産は、原則として収入に含めず、審査でも直接は問われません。
申し込み前に確認しておきたいこと
無職での申し込みを検討する際は、収入以外の条件も押さえておきましょう。
連帯保証人と家賃の支払い能力
近年は、連帯保証人を原則不要とする自治体が増えています。保証人が見つからない場合でも、家賃の支払いについて誠意と能力があると認められれば、保証人は必ずしも必要とされない場合があります。
また、生活保護を受給している人には、保証人免除の配慮がなされる自治体も見られます。なお、契約時に緊急連絡先の設定を求められるのが一般的です。
収入基準額や必要書類は自治体ごとに異なる
収入基準額や必要書類などは、自治体によって異なります。応募先の募集案内を必ず確認し、不明な点は住宅担当窓口に問い合わせましょう。単身者向けの募集では、年齢などの別の要件が設けられることもあります。
まとめ
無職であっても、公営住宅に申し込むことは可能です。公営住宅には収入の下限が設けられておらず、無収入でも応募でき、失業給付は非課税所得として収入認定には含まれません。また、貯金は原則として審査の対象外とされ、重視されるのは継続的な家賃の支払い能力です。
収入基準額や保証人の扱いなどは自治体ごとに異なるため、応募を検討する際は、まず自治体の募集案内を確認し、不安な点は窓口で相談するようにしましょう。
出典
横浜市 市営住宅の入居者募集
大阪府営住宅 藤井寺管理センター 収入基準(早見表)
国土交通省 公営住宅への入居に際しての保証人の取扱い等に関する調査結果について
執筆者 : 小山英斗
CFP(日本FP協会認定会員)
