隣人に“古くなった境界フェンス”の取り換えに「工事費用60万円の半分」を請求された! 共有物でも「交換は向こうの希望」なのに、わが家も“払う必要”があるんですか? 対処法と協議の手順
「そもそも半分払う義務が法的にあるのか」「自分の承諾なしに工事を進められ、後から費用を請求されるのではないか」と疑問や不安を抱く人もいるでしょう。
本記事では、境界フェンスの交換に関する民法のルールや、所有権に応じた費用負担の考え方、一方的な請求への対処法と協議の手順を解説します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
まずはフェンスの「所有権」を確認する
隣人からフェンス工事の費用を請求された際、最初に確認したいのは「そのフェンスは誰の所有物か」という点です。所有権を判断するうえでは、フェンスが敷地の境界線に対してどの位置に設置されているかが重要になります。
フェンスが隣人の敷地内に設置されていれば、一般的に隣人の単独所有となります。この場合、原則として隣人が自分の判断で修繕や交換を行うことになります。こちらが工事費用を負担する義務が、当然に生じるわけではありません。
反対に、自分の敷地内に設置されていれば、自分の単独所有となります。その場合、隣人からの申し出だけで撤去や交換に応じなければならないわけではありません。
問題となるのは、境界線上に設置されたフェンスです。民法第229条では「境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀は、相隣者の共有に属するものと推定する」と定められています。
まずは境界標や土地の資料、設置時の経緯などを確認し、フェンスの所有関係を整理しましょう。
共有フェンスの場合の原則と「費用の限度」
境界フェンスが共有物である場合、費用負担は、工事の目的や内容などを踏まえて判断する必要があります。
民法第225条・第226条には、一定の条件のもとで境界に囲障を設ける場合、設置や保存にかかる費用を隣接する土地の所有者が等しい割合で負担するという規定があります。また、民法第227条では、民法第225条第2項に規定よりも良い材料を使ったり、高さを増したりする場合、そのために増える費用は工事を行う側が負担すると定めています。
このため、共有フェンスだからといって、隣人から請求された金額の半額を無条件に支払わなければならないわけではありません。
ただし、どの仕様が標準的か、どこまでの費用を双方で負担するかは、フェンスの状況や工事の必要性、過去の取り決めなどによっても異なります。見積もりの金額だけで判断せず、工事内容と費用の内訳を確認したうえで協議しましょう。
勝手に工事を進められた場合、支払う義務はある?
こちらの承諾を得ないまま「もう業者を手配したから、後で30万円振り込んで」と工事を進められてしまうケースも考えられます。
共有財産であるフェンスを作り替える行為は、法律上「変更行為」にあたり、共有者全員の事前の同意が不可欠です。事前の合意がないまま隣人の独断で行われた工事費用について、こちらに法的な支払い義務は原則として生じません。
ただし、フェンスが倒壊する危険があり急きょ必要な修繕を行った場合などは、工事の内容や必要性に応じて費用負担が問題になることがあります。隣人から一方的に費用を請求された場合は、すぐに支払うのではなく、工事の内容や見積書、発注の経緯などを確認しましょう。
トラブルを防ぎ、納得のいく費用負担を決める協議手順
ご近所トラブルを避けながら不要な支出を防ぐためには、相手が業者へ正式に発注する前に話し合うことが重要です。
まずは境界標や土地の資料を確認し、フェンスが共有物なのか、どちらか一方の所有物なのかを整理します。共有であることが確認できたら、隣人から提示された60万円の見積もりの内訳を確認します。
そのうえで、自分でも別の業者に見積もりを依頼すれば、提示された金額が妥当かどうかを判断する材料になります。見積もりを比較したら、費用負担を具体的に話し合いましょう。
例えば、「標準的なフェンスなら総額20万円程度なのでその半額の10万円までならお支払いします」「60万円の高級なフェンスにしたいなら差額の40万円はそちらで負担してください」といったように具体的な数字を挙げて交渉します。
双方が納得する着地点が見つかったら、必ず書面で合意内容を残してから工事に取り掛かってもらいましょう。
所有権の確認と事前の合意が大切
隣人から境界フェンスの交換費用として半額を請求された場合、まずはフェンスの所有関係と、工事の必要性や内容の確認が大切です。隣人の単独所有であれば、こちらが当然に費用を負担する義務があるわけではありません。
共有フェンスの場合も、請求された金額の半額を無条件に負担しなければならないとは限りません。一方的な請求に同意せず、見積もりや工事内容を確認し、必要に応じて相見積もりを取ったうえで話し合うことが重要です。
倒壊リスクなどの特別な事情を除き、勝手に進められた工事の費用負担に急いで応じる必要はありません。費用負担に承諾する際には、トラブルを防ぐため事前に書面で合意を取り交わしてから費用を出しましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
