50代で離婚を考えていますが、夫婦のままなら生活費を折半でき、年金も分けずに済みます。老後のお金を考えると、離婚しないほうが得でしょうか?

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50代で離婚を考えていますが、夫婦のままなら生活費を折半でき、年金も分けずに済みます。老後のお金を考えると、離婚しないほうが得でしょうか?
質問者のご夫婦は、生活費は折半(半分ずつ負担)、年金は受給したとしてもご自身の分をそれぞれがもらうようです。これだけの情報では、離婚することによる(金銭的な)「損得」の判断はできません。
 
本記事では、離婚することにより考えられる主な金銭的影響について確認していきます。
高橋庸夫

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

一方的な離婚要求

50代で離婚をお考えとのことですが、原則、一方的に離婚を切り出したとしても、相手方が、応じないのであれば、離婚はすぐには成立しません。離婚する際は、まず夫婦で話し合い(協議離婚)、双方が合意できるかどうかを確認するのが一般的です。
 
話し合いで合意に至らなかった場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立て、調停委員を交えて解決を目指すことになります。ただし、相手側に不貞行為、正当な理由のない長期的な別居、DV・ハラスメント、収入があっても生活費を負担しないなどの法定離婚事由があると認められれば、相手方が拒否したとしても離婚が認められる場合があります。
 
また、慰謝料についても、一方的に離婚を切り出されたという理由だけで請求することは困難です。ただし、相手の不貞行為などが原因で離婚に至り、精神的苦痛を受けた場合には、慰謝料を請求できる可能性があります。単なる性格の不一致だけでは、慰謝料は認められませんので注意が必要です。
 
逆に、一方的に離婚を切り出した場合に、無断で別居や正当な理由のない同居拒否、家事・育児の放棄、健康なのに働かないなどの行為があり、それが「悪意の遺棄」(不法行為)として認められると、慰謝料の請求を受ける可能性もあり得ます。
 

離婚による主な金銭的影響

離婚による主な金銭的影響には、次のようなものがあります。
 

(1)財産分与

婚姻生活中に夫婦で協力して築いた財産を、夫婦の貢献度に応じて分配する民法に定められた制度です。その割合は、財産の形成・維持への貢献度に応じて決まりますが、原則として「2分の1」ずつとされ、離婚から5年以内に請求する必要があります。
 

(2)相続

相続の際に、常に配偶者は法定相続人となり、相続権を有しますが、離婚することで万が一、元配偶者が亡くなったとしても、法定相続人にはなることができません。また、もし離婚後に遺贈を受けることになっても、配偶者の税制面での優遇などを受けることはできません。
 

(3)社会保険

婚姻期間中に第3号被保険者であった場合、離婚することで、原則、第1号被保険者となり、国民健康保険料などの社会保険料を負担することになります。また、国民年金保険料も第1号被保険者としての負担が生じます。
 

(4)年金分割

離婚の際の年金分割は、3号分割と合意分割の2つがあります。ただし、年金分割の対象は、「厚生年金の標準報酬」であり、分割された記録は、それぞれの将来の老齢厚生年金額に反映されます。そのため、国民年金の基礎年金部分や私的年金(企業年金・個人年金など)は、別の扱いになります。
 
【3号分割】
第3号被保険者(会社員・公務員の配偶者)だった期間について、夫婦間の合意がなくても、一方から単独で請求できます。原則、対象期間の標準報酬を2分の1ずつに分割します。
 
【合意分割】
夫婦間の話し合い(または調停・審判)で案分割合を最大50%までで決定します。
 

(5)遺族年金

離婚することにより、遺族年金の対象者にはなれなくなります。
 

まとめ

離婚を決める際に重要なのは、離婚する理由が何であるのかをしっかりと把握することだと思われます。また、夫婦双方の話し合いがうまく進まず、もめごとになりそうな場合や不明な点がある場合には、やはり、弁護士などの専門家の力を借りることも必要となるでしょう。
 
今回の事例の場合、夫婦で生活費を折半できるレベルのようですので、おそらく夫婦共働きの家庭かと推測されます。夫婦がそれぞれの仕事によって得られる給与等で離婚後に生活できる状況であれば、思い切って離婚することもひとつの選択肢かもしれません。
 
それぞれの家庭の状況によりますが、仮に、50代を迎え、子育ても一段落し、金銭的な面のみならず、残された人生における精神的な安定やこれまではとまどっていた自分自身がやりたかったことを最後に満喫したいとの気持ちが優先される状況であれば、立派な離婚の理由になるでしょう。
 

出典

最高裁判所 夫婦関係調整調停(離婚)
最高裁判所 財産分与請求調停
国税庁 No.4132 相続人の範囲と法定相続分
国税庁 No.4158 配偶者の税額の軽減
日本年金機構 離婚時の年金分割
日本年金機構 遺族年金(受給要件・対象者・年金額)
 
執筆者 : 高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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