地方移住を考えている人に、富山県をおすすめする理由って?
配信日: 2019.09.26
今回は私の故郷である富山県を例に挙げてみたいと思います。
執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)
株式会社fpANSWER代表取締役
専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。
移住支援金とは?
まず「移住支援金」を利用するための要件を大まかに見ていきましょう。富山県に「移住」さえすれば「誰でも」というわけにはいかず、以下のような「移住元(=移住前)」の要件があります。
移住直前に、連続して5年以上、東京23区に在住していたか、東京圏(例えば東京の場合、檜原や奥多摩、伊豆諸島などの「条件不利地域」されるエリアを除く)に在住し、かつ、東京23区に通勤していた方(ただし、雇用者としての通勤の場合にあっては、雇用保険の被保険者であること)。
続いて肝心の移住支援金の金額ですが、ご家族がいらっしゃる方は最大100万円、単身の方は同じく60万円です。
移住者創業チャレンジ応援事業とは?
富山県では、東京から移住してきた方や創業したばかりの中小企業を対象に事業計画を募集しています。
要件を大まかに見ていきましょう。先述の「移住支援金」の要件にプラス「移住後及び申請後1年以内に富山県内で事業を行う中小企業者(創業予定はもちろん、NPO法人等もOK)」です。また対象となるビジネスには、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。
☆事業性
『展開するビジネスの収益によって自立的な事業の継続ができること』
これはどのようなビジネスであっても、どこで展開しようとも、当たり前と言えば当たり前ですね。
☆社会性
『展開するビジネスによって地域の課題解決に貢献すること』
例えば富山県の場合、「住まいは富山県で、職場は金沢」という方が、今でも多いと思います。なので、例えば、富山県内に「ワーキングスペース」などを設けて「住まいも職場も富山」という具合にする、とかですね。
☆必要性
『地域に必要とされるビジネスがあるが、その必要なビジネスがいまだ十分でないこと』
例えば富山県の場合なら、冬の雪かきを代行してくれるサービスなどが考えられるかもしれません。
要件を満たすだけではなく、審査をクリアしなくてはなりません。
続いて「起業支援金」の金額ですが、助成率は2分の1で、上限の金額は200万円となっています。また支援金の対象となる経費にも定めがあり、東京23区ではなくても問題ありませんが、富山県では欠かすことのできない「自動車」の取得費は対象外です。
またおそらく東京23区のそれに比べれば格段に安そうな「不動産」の取得費も対象外なのですが、同じく格段に広くて安そうな家賃等の賃借料は対象になります。人件費は代表者や役員を除き、新規雇用者に限り20%以内が対象です。
ということで、上限の範囲で、その全額が対象になるのが機械・設備費、器具・工具・備品費、構築物費、店舗改装費、原材料費・仕入れ高、外注加工費、委託費、知的所有権出願経費、専門家謝金、広告宣伝費などです。
しかし、いずれも(家賃等の賃借料も含め)消費税の額は差し引かれます。しかも起業支援金をもらってから5年間は、決算状況を富山県に報告するとともに、純利益が生じた場合には、受け取った起業支援金の全部もしくは一部を富山県にお返ししなくてはなりません。
それでも、どうせやるのなら「全額お返し」できるほどの成功を収めたいものですよね。
本稿では筆者の出身地である富山県を例として挙げました
出身地を尋ねられ、「富山」と答えると、以前は「住みやすいところですよね」と言われましたが、最近では「食べる物がおいしいですね」と言われることが増えました。「水と空気がおいしい」からだと、筆者は思います。
富山県に移住するというのは、東京23区に住み、東京23区に勤める、その疲れを癒やすにとどまらない問題解決を得ることができるような気がします。
[参考]
内閣官房・内閣府総合サイト 「みんなで育てる地域のチカラ 地方創生」
富山県「移住支援金制度について」
富山くらし・しごと支援センター「とやまUターンガイド」
公益財団法人 富山県新世紀産業機構「移住者創業チャレンジ応援事業 利用者【追加】募集」
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役