生涯賃金は学歴より○○で決まる！?

ほとんどの方は、高校卒よりも大学卒のほうが、生涯賃金が高い、と思っているのではないでしょうか。だから、多額の借金まで背負って大学に進学するのだと思います。確かに、同じ規模の会社であれば大学卒のほうが高校卒よりも生涯賃金が高いのですが、就職する会社の規模によっては、高卒のほうが大学卒よりも生涯賃金が高い場合があります。

学歴別の生涯賃金の比較

 
学校卒業後フルタイムの正社員を続けた場合の 60 歳までの生涯賃金（退職金を含めない）を見てみましょう。
男性は、高校卒 2 億 1 千万円、高専・短大卒 2 億 1 千万円、大学・大学院卒 2 億 7 千万円となっています。

女性は、高校卒 1 億 5 千万 円、高専・短大卒 1 億 7 千万円、大学・大学院卒 2 億 2 千万円となっています。

このように、大学卒の生涯賃金のほうが、高校卒よりも6,000万円～7,000万円高くなっています。大学卒業後、正社員として就職できれば、借金してまで大学に進学する意味があります。
 

企業規模別の生涯賃金の比較

 
上記と同じ前提で、企業規模別の生涯賃金を見てみましょう。
高校卒男性は、企業規模1000人以上では2億６千万円、100人以上999人以下では2億円、10人以上99人以下では1億７千万円となっています。

高校卒女性は、企業規模1000人以上では1億8千万円、100人以上999人以下では1億5千万円、10人以上99人以下では1億3千万円となっています。

大学・大学院卒男性は、企業規模1000人以上では3億1千万円、100人以上999人以下では2億5千万円、10人以上99人以下では2億円となっています。

大学・大学院卒女性は、企業規模1000人以上では2億6千万円、100人以上999人以下では2億1千万円、10人以上99人以下では1億7千万円となっています。
 
このように、企業規模が大きくなるほど生涯賃金が大きくなります。

※出所：独立行政法人労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2016」）
 

生涯賃金は学歴より就職先で決まる

 
企業規模1000人以上に就職する高校卒男性の生涯賃金は2億6千万円です。大学卒でも企業規模が100人未満であれば２億円です。つまり、学歴よりも大企業に就職することが重要だということがわかります。。
高校卒で大企業に就職できるチャンスのある生徒は、大学で学びたいことや、やりたいことが特になければ、就職したほうが良いと思います。
 
一方、大学で学びたいことや、やりたいことがあれば大学進学をお勧めします。大学に進学することにより、広く人脈を築くことができますし、就職先の選択肢も広がります。また、大学に行かなければなれない職業もあります。
 
Text：新美昌也（にいみ　まさや）
ファイナンシャル・プランナー。ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。
http://fp-trc.com/