更新日: 2020.06.22 子育て
社会人として働き始めた子ども。実家での生活を続けるなら生活費を入れるべき?
お給料をもらうようになったら、子どもは家に生活費を入れたほうがよいのか、入れるならいくらにすればよいのか、と迷うご家庭もまた多いではないでしょうか。
執筆者:蟹山淳子(かにやま・じゅんこ)
CFP(R)認定者
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
蟹山FPオフィス代表
大学卒業後、銀行勤務を経て専業主婦となり、二世帯住宅で夫の両親と同居、2人の子どもを育てる。1997年夫と死別、シングルマザーとなる。以後、自身の資産管理、義父の認知症介護、相続など、自分でプランを立てながら対応。2004年CFP取得。2011年慶應義塾大学経済学部(通信過程)卒業。2015年、日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員。2016年日本FP協会、広報センタースタッフ。子どもの受験は幼稚園から大学まですべて経験。3回の介護と3回の相続を経験。その他、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー等の資格も保有。
生活費を入れている子の割合はどのくらい?
大卒初任給は平均で約20万円ですから、手取りでは約16~17万円。専門学校卒や高卒ではもっと少ないですから、決して余裕がある状態ではないでしょう。その中からに家に生活費を入れているのか、よそはどうなのかが気になるところです。
「SUUMOジャーナル」の調査によれば、20代、30代で実家暮らしの独身男女のうち、約7割が毎月生活費を入れているということです。
毎月ではないけれど生活費を入れる人、生活費を入れないけれど公共料金を負担している人などもいるので、まったく生活費を入れない人は3割未満です。また、家に入れる生活費の平均金額は月に約3万7000円でした。
子の立場で考えると
東京でアパートを借りてひとり暮らしをするとしたら、家賃が5万円、食費・光熱費・通信費などで5万円くらいは覚悟しなければなりません。実家で生活し続ければ、家賃や光熱費がかからないメリットがあります。思ったよりお給料が少なくて余裕がないとしても、家に生活費を入れるのは自然なことでしょう。
ただし、子の事情もさまざま。奨学金を借りて学費を納めていたというケースもあるでしょう。例えば、日本学生支援機構の奨学金を月に10万円ずつ4年間借りたら、月に2万円+利息を20年間返さなければなりません。そのような場合は生活費を入れるより、その分早く返済したほうがよいという考え方もあります。
自分のお金をどう使うか考え、収入の範囲で生活費、貯蓄、自由に使えるお金などの予算を決めて使っていくのが、これからのマネープランを考える第一歩です。できる範囲で生活費を負担しましょう。
少なくとも、スマホの料金を学生の頃のまま、うっかり親の口座から引き落とし続けていた、などということがないように気をつけましょう。
親の立場で考えると
子が一人前の社会人となったら、生活費の一部を負担するのは当然のことではないでしょうか。でも、まだお給料も少ないのに生活費を受け取るのはかわいそうだ、と考える親もいるかもしれません。
大学や専門学校の学費は年に100万円以上かかることが多いですから、子が卒業した後は家計に余裕ができたように感じることもあると思います。でも、会社員の場合、子が大学を卒業してから定年退職するまでが老後資金の貯め時です。月に3万円といえども、大切な老後資金となります。
それでも、もし「わが家は余裕があるから老後資金の心配はない」ということであれば、受け取った生活費を別に貯めておき、子どもがひとり暮らしを始めるとき、結婚するとき、住宅購入するときなどに援助する資金として活用することをお勧めします。
子が負担する金額は親子の話し合いで
いくらにすればよいかはそれぞれの家族よって違うと思いますが、1つの目安として、毎月振り込まれるお給料の1~2割を考えてみてはいかがでしょう。16万円なら2~3万円、25万円なら3~5万円です。
この金額を目安として、結婚や留学など集中的に貯蓄をしなければならない事情があるか、奨学金などの返済があるか、食事の準備や洗濯をすべて親に任せているのか、それぞれの事情を考えながら、親子で話し合って決めることをお勧めします。
そのような話し合いが、結婚した後に夫婦で生活費をどう負担するか、貯蓄の目標をどうするかなど、新たな家族のマネープランを話し合うときに役立つかもしれません。
執筆者:蟹山淳子
CFP(R)認定者