突然の電話。「銀行協会の職員が伺う」と言われたら、どう思いますか?
配信日: 2020.07.11
昨年の秋口の事例なので、今となっては、この手口については少し落ち着いたのかもしれません。
とはいえ、別パターンで銀行協会職員を語る事例はまだまだ起きているようですし、実際に身内にそのような電話がかかってきた経験があるので、そのいきさつについて紹介してみたいと思います。
執筆者:堀内教夫(ほりうち のりお)
変な電話がかかってきて、銀行協会職員が伺うといったけど来なかった
最初は、妻が実家の母からそのような話を聞いたというものでした。通常、銀行協会の職員が一般家庭に来るということなど考えられないので、そもそもおかしな話だと思いました。
とはいえ、あまりにも情報が少なく、それだけでは何かに巻き込まれているという判断もできなかったので、どういう経緯なのかもう少し情報を聞き出してみることにしました。
そこで、よくよく話を聞いてみると、義母が受けた電話の第一声は、「池袋の某百貨店のクレジットカードが不正利用されそうになり、不審な動きを職員が見つけたため、捕まえた。ついては……」というところから始まるものでした。
義母の話からは、銀行協会職員が伺うというところまでのつながりは分からないのですが、どうも途中で、預金口座やキャッシュカードについて、先方から執拗に確認を求められていたこと、家族構成ほかさまざまな情報を聞かれるままに話しているらしい、ということまでは分かったので、これは少し変だなと思い、義父へ注意するよう伝えました。
ただ意外なことに、この段階では、いつもしっかりしている義父ですら、銀行協会職員がたまたま今日は来なかっただけで、いずれ来るものと考えているようでした。
一般社団法人全国銀行協会のホームページを見てみた
百貨店のクレジットカード不正利用、預金口座、銀行協会という3つのキーワードのある金融事件に関わるニュースが頭の片隅にあった程度で詳細は分かりませんが、ニュースネタになったくらいですから、同様の事例は結構たくさんあるのではないかと推測できます。
そこで、銀行協会から何か警告を発しているのではないかと考えて、銀行協会のホームページを見てみました。
すると、金融犯罪の手口として、まさに百貨店のクレジットカード不正利用に関わる連絡から始まる手口が紹介されていました。どうやら、言葉巧みに預金口座のキャッシュカードをだましとろうともくろんでいたようです。
この手口を知って、ようやく先方がこなかった理由も分かりました。キャッシュカードの確認を求められた義母は、たまたま(運よく?)、その日はうまくそれを見つけられず、電話口で散々待たせたあげく、見つけられないと伝えていたそうです。取るものがなければ、誰も来ませんよね。
意外と役に立ったホームページ
この時に初めて、銀行協会ホームページの金融犯罪の項目を参照したのですが、いろいろな事例が紹介されていて非常に参考になりました。
今回この記事を書くにあたり、あらためて同ホームページの該当部分を参照しましたが、「new」と表示されている項目がいくつかあり、最近の手口も紹介されており、とても参考になります。こんな話聞いたこともないという人は、一度目を通しておくとよいと思います。手口を知っていると全体像をつかみやすくなります。
さて、自分自身は納得できたのですが、義父はなかなか腑に落ちないようでしたので、該当ページを印刷し、タブレット端末でいくつかの動画(典型的な手口を紹介する動画もいくつか載せられています)を見せて、理解してもらいました。
この後、対策として、義母が直接電話にでることをやめ、基本的には留守番電話で対応するようにしました。この効果は抜群で、現在まで何事もなく、無事に過ごしています。
以上、私的な経験を述べましたが、皆さまの御参考になれば幸いです。
執筆者:堀内教夫