更新日: 2020.07.24 その他暮らし
感染症や自然災害などから家族を守るために知っておこう!「FCP(家族継続計画)」
危機といえば、2011年の東日本大震災では、企業は事業を継続することが困難な状態に陥りました。
その経験を踏まえ、危機が発生した際に、企業が事業継続・早期再開させるために何をするべきかといった、BCP(Business Continuity Plan 事業継続計画)を策定し、企業内で意識共有することが徐々に広まってきました。
今回スムーズにテレワークに移行できた企業は、BCPに成功した例といえるでしょう。
そこで今回は、家庭内でも危機に備えられるように、BCPの家庭版である「FCP (Family Continuity Plan 家族継続計画)」をご紹介したいと思います。聞き慣れない言葉ではありますが、この機会にぜひ生活の中に取り入れていきましょう。
執筆者:うらのまさこ(うらの まさこ)
不動産業界出身のFP
人生100年時代のライフプランとお金の専門家。家計見直しから資産形成・資産運用まで、お客様のライフプラン実現をサポートいたします。国民年金基金PRで定期的にFM愛知等にも出演中。日本FP協会認定CFP(R)、1級FP技能士、宅地建物取引士。
家族継続の危機とは
家族継続の危機とは、何を指すのでしょうか?BCPの定義をFCP的に読み替えてみましょう。
(1)地震、津波、台風、ゲリラ豪雨、竜巻、落雷、噴火等といった自然災害
(2)今回の新型コロナウイルスや新型インフルエンザ、伝染病、食中毒等の疫病・伝染病
(3)コンピューターウイルス、スキミング、情報漏えい等の情報セキュリティ問題
(4)火災、爆発、停電、機器の操作ミス等の事故
(5)経済や職場等の環境変化による家計悪化
(6)取引先の営業停止等による買い物不安、第三者への賠償、家族の評判・風評被害その他
この数ヶ月でも、マスクや消毒液、一部の食品が入手しにくくなったり、その結果高額で購入せざるを得なかったり、といったことがあったかもしれません。また、急な生活環境の変化で、家族が協力し合うことの大切さを実感されたかもしれません。
FCPの目的は、家族の命を守ることが優先であることはもちろん、あらゆる危機が起こりうることをイメージして、もし危機が起こったときにはいかに被害を小さくできるか、またいかに早く通常の生活に戻すことができるか、あらかじめ対策をしておくことです。
家族継続にはどんな対策が必要?
「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」の4点から見ていきましょう。
まずは「ヒト」。家族の命を守ることでいえば、寝室に倒れて危ない家具・家電を置かない、家具は壁に固定する、崖や道路に近い部屋を寝室にしない、疫病・伝染病に対して正しい知識を得て予防する、子どもや高齢者にとって危険になるような生活環境を作らない、といったことが考えられます。
自然災害に備える上で、お住まいの自治体は、ハザードマップの配布やウェブサイトでの公開を行っているはずです。
家族でチェックして、どんな被害が想定されそうか、集合場所はどこにするか、連絡方法はどうするか(例えば災害伝言ダイヤルの使い方の確認)など話し合い、必要な防災グッズを購入していくといいですね。防災訓練を通じて近所付き合いを密にしておくのもよいでしょう。
「モノ」は、住宅であれば耐震化する、持ち物であれば防災グッズの用意、また食料品・日用品・医療品などの備蓄の重要性は今回で痛感したことでしょう。
今後も外出回数を減らしても生活できる体制を維持しておきたいものです。参照欄に記載のウェブサイトでは、必要品リストもご紹介していますので、一度目を通してみてください。
今の時代、先立つものは「カネ」になります。月生活費の少なくとも3ヶ月分程度はすぐに現金化できるようにしておきましょう。ATMが作動しないような災害の場合、金融機関の普通預金にあるお金もおろせない事態になりかねません。
キャッシュレス時代に逆行していますが、手元にも少し置いておくと安心かもしれません。
また、他人の財物・命に被害を及ぼすような行為をしてしまった場合、損害賠償責任が発生しますので、個人賠償責任保険の加入について検討の余地もあるかもしれません。
もちろん、住まいや車、生計維持にかかわる火災保険・地震保険、自動車保険、死亡や収入、病気・ケガなどを保障する保険も、必要最小限はしっかり加入しておきましょう。
最後に「情報」です。SNSは情報のスピーディーさでは群を抜いていますが、信頼性には不安があります。複数の情報に触れて情報の精度を高めることも必要です。
他に、PCやスマートフォンなど常に最新のセキュリティを講じておくこと、大切なデータはクラウドや外部機器などに保存しておくこと、適切なパスワードの管理、不明なメールに反応しないこと。万一通信ができなくなることも想定して、アナログでも対応できるようにしておくと安心です。
(参考)
消防庁「防災マニュアル — 震災対策啓発資料 — 防災お役立ちツール」
首相官邸「防災特集」
厚生労働省「個人、家庭及び地域における新型インフルエンザ対策ガイドライン」
執筆者:うらのまさこ
不動産業界出身のFP