猛暑でエアコン代(電気代)が大変! 電力会社の変更は本当にお得なの?
配信日: 2020.09.10
加えて、コロナ禍での在宅ワークで、ますます家のエアコン代が急騰していたのではないでしょうか。電力自由化により電力会社を自由に選ぶことができる現在は、電力会社の変更は節約になるのでしょうか。何か不都合はないのでしょうか。
執筆者:岩永真理(いわなが まり)
一級ファイナンシャル・プランニング技能士
CFP®
ロングステイ・アドバイザー、住宅ローンアドバイザー、一般財団法人女性労働協会 認定講師。IFPコンフォート代表
横浜市出身、早稲田大学卒業。大手金融機関に入行後、ルクセンブルグ赴任等を含め10年超勤務。結婚後は夫の転勤に伴い、ロンドン・上海・ニューヨーク・シンガポールに通算15年以上在住。ロンドンでは、現地の小学生に日本文化を伝えるボランティア活動を展開。
CFP®として独立後は、個別相談・セミナー講師・執筆などを行う。
幅広い世代のライフプランに基づく資産運用、リタイアメントプラン、国際結婚のカップルの相談など多数。グローバルな視点からの柔軟な提案を心掛けている。
3キン(金融・年金・税金)の知識の有無が人生の岐路を左右すると考え、学校教育でこれらの知識が身につく社会になることを提唱している。
ホームページ:http://www.iwanaga-mari-fp.jp/
まずは比較サイトでチェック
ネット上では、電力会社比較サイトがいくつかあります。ほとんどの場合、居住地域と世帯人数を入れると、平均世帯と比べて、今の電気代がどのくらい安くなる可能性があるかを表示してくれます。例えば、東京都で世帯人数が4人の場合に、あるサイトでは50件以上のプランが出てきます。それだけの選択肢があるということです。
電力会社によって、停電などのリスクや復旧作業の良し悪しなどはあるのでしょうか。どの電力会社も送電方法は大手電力会社と同じですので、自然災害などで停電の場合に、復旧の管轄は大手電力会社になるようです。
従って、復旧作業も大手電力会社の管轄となりますので、実質的にどの電力会社でも大手電力会社を選んだのと同じように安定した電気供給を受けられます。
電気消費量の少ない家庭でも節約効果は期待できる可能性も
では、平均的な世帯として電力会社を変更することによって、どのくらいの価格差があるのでしょうか。
平均的な世帯の金額をいくらと見積もるかによっても価格差は変わりますが、例えば東京都の4人家族世帯の電気代平均額が年間14万4000円程度とした場合に、電力会社変更による電気代の節約可能額は、最大で年間2万円程度、削減率は約14%です。
同じく東京都のひとり暮らしの場合は、電気代平均額が年額7万円とすると、電力会社変更によって電気代を節約できる金額は、最大で年間1万1000円、削減率は約16%です。
ひとり暮らしなど電力消費量の少ない世帯だと、電力会社変更の効果はあまり見込めなかったことも過去にはありましたが、参入する電力会社の増加とともに、選択肢が増えることで料金プランも絶えず変化し改善されています。時々比較サイトでチェックしてみるとよいでしょう。
ただし、オール電化の家庭は、オール電化専用プランなどがない電力会社が多いため、慎重に検討する必要があります。また、平均的な世帯と金額が大きく異なる家計にとっては、比較サイトが提示しているほど安くならない可能性があることは注意すべきでしょう。
あくまでも自分の家庭の実績と比較シミュレーションをしてから決定
各比較サイトともに、あくまでも平均的な世帯の利用料金との比較になりますので、部屋の広さや電気の使い方によって、必ずしもこの限りではないことも考えられます。従って、シミュレーションの際には、去年実際に使用した電気代を入力してチェックしてみることが重要です。
その年によってばらつきはありますが、実際の直近の使用額でシミュレーションを行えば、電力会社変更後に大幅に予想に反する可能性も少なくなります。また、節約効果が予想より低かった場合でも、前年と違う要素を特定しやすく、その原因を容易に解明できるでしょう。
注意点としては、電力会社によっては検針票など紙媒体の請求書や領収書がないことがあります。オンラインでチェックがしづらい高齢者などは注意が必要です。また、支払方法も限定的な場合があります。クレジットカード払いや銀行引き落としに限られて、コンビニ払いができないこともあります。
まとめ
今回は電気代を中心に見ましたが、ガス代を見直す、あるいはガス代とセットにして考える方法もあります。
電気とガスをトータルで考えるならば、まずは昨年の電気とガスの領収書をそれぞれ集計して1年の合計を出してから、シミュレーションをしてみましょう。面倒ではありますが、この手間を怠ると電力会社の変更が本当に自分にとって割安になるのか正しい判定ができなくなってしまいます。
その上で、明らかに金額的に安くなる場合は、思い切って供給会社を切り替えてみるのも節約方法の1つです。その際には、一定の期間内に解約すると解約金がかかる場合がありますので、加入時には必ず確認しておくとよいでしょう。不意の移動(引っ越し)などで供給会社を再度変更しなければならない可能性がある人は要注意です。
執筆者:岩永真理
一級ファイナンシャル・プランニング技能士