更新日: 2020.10.29 子育て
子育て家庭が必ず悩むお小遣い事情~いつから? いくら? 実践編(後編)
執筆者:當舎緑(とうしゃ みどり)
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。
阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。著書は、「3級FP過去問題集」(金融ブックス)。「子どもにかけるお金の本」(主婦の友社)「もらい忘れ年金の受け取り方」(近代セールス社)など。女2人男1人の3児の母でもある。
小さい子どもへのお小遣いのあげ方
FPとして、お小遣いを始めるのが一番いい年齢は、保育園(幼稚園)の年中さんから年長さんあたりかと思っています。理由としては、字や計算の練習を始める時期ということです。数字が書ければ、親が手伝って、お小遣い帳を付けることが可能になります。
もちろん計算機を使って構いません。お小遣い帳はわざわざ新しいものを買わなくても、ダウンロードできるものもたくさんありますし、子どもの好きなキャラクターもののノートに線を引くとやる気を起こせるかもしれません。
金融広報中央委員会の「知るポルト」というサイト(※)でもお小遣い帳の使い方が書かれていますので、参考になさってください。お小遣い帳が準備できれば、いくらもらっていくら使ったのか、それをきちんと把握することを目標にしましょう。
私も親子で経験がありますが、おつりが合わなかったり、何に使ったのか忘れてしまったり、イライラとしてけんかが始まり、お小遣い帳の記入が中断したことも1回や2回ではありません。大事なのは、使ったらなくなること、入ってきたお金の範囲内で使う感覚、これを小さいうちに理解することです。
ある程度、成長した子どもへのお小遣いの注意点とは
前編でもお話ししましたが、子どもの行動範囲が広くなるとそれに伴う費用が膨らみます。例えば、習い事など、遠征や試合など交通費や食費が必要になる場合もあるでしょう。その場合に、注意していただきたいのは、その都度わたすことをしないこと。
例えば、週末ごとの遠征の度に、1000円や2000円などずつわたしていくと、親からすると、今日の出費は「旅費交通費」なのか「食費」なのか、それとも「交際費」なのか、判断ができません。できれば、その都度ではなく、1カ月ごとに子どもに必要な金額を計算して渡し、途中で追加支払いをしないのがいいでしょう。
もし、1カ月分わたすとすると、子どもにとっては大きい金額になります。1カ月になる前に使い切ってしまう可能性があるのであれば、1週間分、2週間分などわたして、少しずつ1カ月に近づけていってあげてください。
ただ、一度失敗しても、すぐに短くはしないであげてください。大きい金額を「使い切る」かもしれないし、「使い切らない」かもしれませんから。心配でも、様子を見ながら進めていくのがポイントです。親が先回りして子どもの失敗を予測するのではなく、次回失敗したらこうしようと思いながら、気長にやり方を変えながら進めていきましょう。
手遅れかもと悩んでいる保護者の方へ
すでに、子どもの無駄遣いは多いし、今更お小遣いにできない、こんな保護者の方もいるかもしれません。そんな時には、その子ができる範囲での貯蓄をすすめてみましょう。
実は若い方によく聞かれるのは、「貯蓄するには何がおすすめですか? FXとかいろいろと興味はあるのですが」という質問です。FPからしても、リスクなくしてリターンはありません。「うまい話には、必ず裏がある」ということを忘れてはいけません。
ついつい、友人のもうけた話を聞くとうらやましい気持ちもわかりますが、一生上昇し続けるおいしい金融商品なんてありません。昨年、老後2000万円問題が起こり、老後2000万円が貯蓄できていないと老後が安泰ではないという誤解されるようなニュースがあちらこちらで聞かれました。
老後のために2000万円が必要かどうかは、その人のライフプランによります。もし、2000万円貯めたければ、貯蓄は若ければ若いほど、長期間、時間を味方にすれば、無理なく2000万円を貯蓄することは可能です。
今更お小遣い制を変えられない、大きくなってからの子どもには、普段のニュースを聞きながら、お金との付き合いを考えさせることをしてみてください。
今年は、詐欺などのニュースも起こりましたが、どういうことが詐欺にあたるのか、どんな理由でだまされてはいけないのか、なぜこんなことが起こったのか、事件の経緯を、ちゃんと家庭で話し合うことができていれば、防げた事件ではないかと思っています。
お年玉も工夫を
冬は子どもへの贈り物が一番多くなる時期です。クリスマスプレゼントにお年玉、特に少子化の今、親だけでなく、祖父母や親の兄弟など、子どもに贈り物をする財布は、父母の分のtwo(ツ―)ではなく、six(シックス)という言い方すらされます。
お年玉でも、受け取るとすぐに親にわたすという人もいるようですが、こんな時期だからこそ、いくら使っていくら貯める、普段頑張っているお子さんに、本当にほしいもの、買ってあげてもいいものを親子で考えてみてはいかがでしょう。
黙ってプレゼントにするのではなく、予算をしっかりと親子で相談して、限られた予算内での買い物を自分でさせてあげるということを始めてもいいのではないでしょうか。
(※)金融広報中央委員会「知るポルト」
執筆者:當舎緑
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)