更新日: 2021.01.14 暮らし

2020年に変わった敷金ルールのおさらい!

執筆者 : 柘植輝

2020年に変わった敷金ルールのおさらい!
2020年4月、実に120年ぶりともいわれる大改正が民法で実施されました。それによりこれまであやふやだった敷金の存在が民法に組み込まれて明文化され、不動産賃貸に大きな影響を及ぼしました。明文化された敷金の規定について解説します。
 
柘植輝

執筆者:

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
◆お問い合わせはこちら
https://www.secure-cloud.jp/sf/1611279407LKVRaLQD/

2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

柘植輝

執筆者:

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

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敷金とは

これまで敷金というものに明確な法的定義がなく、地域によっては保証金と呼ばれていたり、いわゆる礼金との境目があいまいであった部分もありました。そこで、民法は敷金について次のように定義しました。
 

「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。」(民法622条の2第1項)

 
つまり、保証金や差入金、一時金や預り金など敷金以外の名称で呼んでいたとしても、家賃の支払いが滞ったり、退去時未払いのお金があれば差し引くというものであれば敷金と扱われるのです。
 

敷金はいつ返ってくる?

差し入れられていた敷金は下記に定める事由が生じた場合、賃貸人から賃借人に返さなければならないとされています(民法622条の2第1項)。
 

・賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。
・賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。

 
簡単にいうと、賃貸借契約が終わって借り主が退去したときに敷金は返されるのです。
 

敷金は必ずしも全額返ってくるわけではない

敷金を返還する際、未払いの賃金やその他賃貸借契約から発生する借り主の支払いが残っていれば、貸主はその敷金を債務の支払いに充てることができるとされています(民法622条の2第2項)。
 
つまり、家賃が未払いのまま退去するとその未払い分が敷金から差し引かれ、残額があれば敷金が返ってくるということなのです。
 
なお、未払い債務への敷金の充当は貸主の権利であり、借り主の側から主張することはできないようになっています。「家賃を支払えないから、敷金から引いといてくれ!」ということはできないのです。
 

新しい敷金の規定はいつから適用されるの?

法律の改正は改正日より前に結ばれていた契約や行為について、影響を及ぼさないのが原則です。つまり、改正後の民法の規定が適用されるのは2020年4月以降に新たに結ばれた契約を対象とするのです。そのため、2020年4月以前に結ばれていた契約については原則旧民法が適用されます。
 
しかし、2020年4月より前に結ばれていた契約であっても、2020年4月以降に当事者で合意して契約を更新した際は新たに契約が結ばれたものとして改正後の敷金の規定が適用されます。
 

借り主の原状回復義務ってどこまで認められているの?

敷金に関連する問題に原状回復義務の問題があります。原状回復義務とは、賃借物を原状(元の状態)に回復(戻す)して返還しなければならないという借り主の義務で、この原状回復がどこまでを指すのかが度々問題になります。
 
改正民法では、「通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。」としています(民法621条)。そのため、誰が使っても同じように劣化する壁紙の色あせなどを戻す費用は借り主が負担する必要はないということになります。
 
ただ、この規定は特約によって排除することもできるため、賃貸借契約の内容によっては通常使用の変化や損耗についても借り主の負担となることもあります。とはいえ、借り主が事業者ではない一般消費者である場合において、あまりにも一方的に借り主が不利となる状況であるときはその特約が適用されず、民法の規定が適用されることもあります。
 
なお、原状回復義務について疑問に思ったら国民生活センターなどへ早めに相談すると解決に役立つことがあります。
 

2020年4月から敷金が民法上にて明確化された

2020年4月より民法上で敷金の規定が明確化されました。これにより今までよりも借り主の保護が図られ、不動産賃貸における紛争減少が期待されます。
 
敷金について少しでもおかしいと思ったときは、最寄りの国民生活センターなどへ相談すると良いでしょう。
 
執筆者:柘植輝
行政書士