就職する子どもに伝えておきたい! 失業した際のセーフティーネットとは?
配信日: 2021.02.28
いえいえ、それらと同じくらい大切なことに、失業した際のセーフティーネットの存在があります。今回は、就職を控えた子どもに伝えておきたい、万が一、失業した場合に利用できるセーフティーネットについて紹介します。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
雇用保険
失業時に真っ先に利用したいセーフティーネットが、雇用保険制度です。
離職の日以前2年間のうち12ヶ月以上、雇用保険に加入していれば、一定の要件の下で90日から360日の間は離職日直前6ヶ月の賃金日額の50%から80%に相当する基本手当を受け取ることができます。
一定の要件を満たして職業訓練を受講した場合は、さらに受給期間を延ばすことができます。また、基本手当の受給日数を3分の1以上残して早期就職するなど、要件を満たすことで再就職手当を受け取れるのも雇用保険の特徴です。
詳細については最寄りのハローワークへお問い合わせください。
職業訓練受講給付金
雇用保険を受給できないときでもご安心ください。雇用保険に代わり、職業訓練受講給付金という求職者支援制度が利用できます。
職業訓練受講給付金は雇用保険を受給できない方に対し、速やかに安定した職に就けるよう職業訓練を無料で実施するとともに、訓練中は月10万円の職業訓練受講給付金のほか、訓練施設までの交通費などを給付する制度です。
あまり知られていませんが、雇用保険を受けられなくても職業訓練によって資格の取得や実務経験を積みつつ、その間の生活費が給付されるという点で非常に優秀なセーフティーネットとなります。また、訓練中や訓練の満了後には就職の紹介を受けることも可能です。
対象となる要件など詳細については最寄りのハローワークへお問い合わせください。
未払賃金立替払制度
勤務先が倒産して失業してしまい、賃金が支払われないようなケースでは、未払賃金立替払制度が利用できます。この制度は、退職日の6ヶ月前から立替払請求日の前日までの未払い賃金や退職手当の8割が支払われます(上限あり)。
なお、勤務先が実際に倒産していなくても事業活動が停止し、再開の見込みがないような状況であれば、事実上の倒産として立替払の対象となります。適用条件や請求方法など詳細については、最寄りの労働基準監督署へお問い合わせください。
住宅確保給付金
住宅確保給付金とは、失業や休業による収入減少で住宅を失う恐れのある方に対し、市区町村ごとに定める額を上限に家賃を原則3ヶ月分給付するというものです。詳細については、お住まいの市区町村役場にお問い合わせください。
生活福祉資金の特例貸付
社会福祉協議会では、新型コロナウイルスの影響による休業や失業で収入が減少したり、途絶えてしまった方に向けて緊急小口資金(最大20万円)や総合支援資金(最大60万円)といった貸付制度を実施しています。これまで紹介した給付制度と異なり貸し付けであるものの、状況次第で再貸付や償還の免除も予定されています。
就職する子どもには失業時のセーフティーネットもしっかり伝えるべき
国や自治体は失業時に備えた多くのセーフティーネットを用意しています。しかし、セーフティーネットは自分から申請をしなければ利用できず、知らないままでは不利となることばかりです。
これから就職して新社会人となる子どもには、税金や社会人の在り方だけではなく、万が一のセーフティーネットとその利用の仕方についても十分に伝えておくべきでしょう。
出典
独立行政法人 労働者健康安全機構 未払賃金の立替払事業
執筆者:柘植輝
行政書士