3月で大学を卒業します。卒業後は「奨学金」を返していくのですが、どのようなスケジュールで返還が始まるのでしょうか？

奨学金を借りて無事に大学を卒業すると、奨学金の返還が始まります。「返還はいつどのようにスタートするの？」「収入の範囲で無理なく返済できるだろうか」といった疑問がある人もいるでしょう。
 
そこで本記事では、奨学金の返還がスタートするタイミングやスタートまでの流れ、返還期間の決まり方、返還が難しくなったときの救済措置についてまとめました。

奨学金の返還がスタートするまでの流れ

独立行政法人日本学生支援機構が運営する奨学金の返還がスタートするのは、貸与が終了する月の翌月から数えて7ヶ月目です。例えば、3月に貸与終了する人の返還は、10月から始まります。貸与終了から返還スタートまでの流れは次のとおりです（3月満期貸与終了の場合）。
 

• 1. 貸与終了の6ヶ月前（10月ごろ）：学校で返還説明会が開かれる
• 2. 口座振替（リレー口座）の加入手続きを行う
• 3. 3月：貸与終了（3月）
• 4. 8月：機構から届く口座振替（リレー口座）加入通知で振替口座情報等を確認
• 5. 10月：返還開始

 
3月満期で貸与が終了する場合、返還説明会が開かれます。説明会では貸与奨学金返還確認票と返還のてびき（ダイジェスト版）が配られるため、てびきで手続きの内容を確認しておきましょう。
 
なお、3月以外に貸与終了する場合は説明会が開かれないため、貸与奨学金返還確認票と返還のてびき（ダイジェスト版）を学校から受け取っておく必要があります。
 
口座振替の加入手続きはスカラネット・パーソナルを介してオンラインで行うか、口座振替（リレー口座）加入申込書【窓口用】で手続きができます。窓口で手続きする場合は返還のてびきを確認して、窓口用の申込書を請求しましょう。

 

奨学金の返還方式によって返還期間は異なる

前述のとおり、奨学金の返還がスタートするタイミングは貸与終了翌月から7ヶ月後に統一されていますが、返還完了までの期間は返還方式で異なります。
 

・第一種奨学金（所得連動返還方式）：前年の所得に応じて年間の割賦額が決まる方式
・第一種奨学金（定額返還方式）／第二種奨学金（元利金等方式）：割賦方法に応じて返還回数が決まる方式

 
第一種奨学金（所得連動返還方式）の場合は、前年の所得に応じて割賦額が変わり、返還回数も変動します。第一種奨学金（定額返還方式）では、貸与総額を「奨学金返還年数算出表」の割賦金の基礎額で割って返還年数が算定されます。
 
定額返還方式を選択した場合、状況に応じて所得連動返還方式への変更が可能です。変更すると、返還期間も変わることに注意しましょう。
 
第二種奨学金の返還は、元金と利息を合わせて毎月一定額を返還する元利金等方式です。貸与総額と割賦方法に応じて、返還期間が決まります。
 
なお、奨学金貸与終了後は、どのタイミングでも繰上返還ができます。繰上返還をすると返還期間が短縮されるため、手元資金に余裕がある場合は検討するとよいでしょう。

 

返還が困難な場合は救済制度を申請しよう

返還がスタートしたあと、経済的な事情などでスケジュールどおりの返還が難しくなった場合は、次のような救済制度を利用できる可能性があります。
 

・減額返還制度：経済困難や傷病、災害などで返還が困難になった場合に、毎月の返還額を2分の1～3分の2に減額し、返還期間を延長する制度
・返還期限猶予：経済困難や傷病、災害などで返還が困難になった場合に、返済期限を猶予する制度

 
ただし、いずれも審査があるため、必ず適用されるとはかぎりません。いざというときのために、申請の方法や利用条件を確認しておくとよいでしょう。

 

奨学金の返還開始前後のスケジュールを把握しておこう

奨学金の返還がスタートするのは、原則として貸与終了の翌月から数えて7ヶ月目です。返還スタート前でも、申し込みすれば早めに繰上返還することもできます。返還スタート後の返還期間は、返還方式や貸与総額などの条件によって異なります。返還期間の見込みや返還が困難になった場合の救済制度について、あらかじめ確認しておきましょう。
 

出典

独立行政法人 日本学生支援機構 返還を始める皆さんへ
独立行政法人 日本学生支援機構 返還期間と割賦金
独立行政法人 日本学生支援機構 奨学金の返還について
独立行政法人 日本学生支援機構 2025年3月卒業者の繰上返還について
 
執筆者：FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー