妻が実家から相続した「1000万円」を、住宅ローンの返済に充てることに。家は私の名義ですが、妻のお金でローンを返しても問題ないのでしょうか?
ですが、そこには大きな落とし穴があります。今回は、夫名義の家の住宅ローンについて、妻が相続した1000万円を返済に使う場合を例に考えていきます。
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
妻が相続したお金は、基本的に妻個人の財産となる
まず前提として、妻が実家から相続した1000万円は、夫婦共有のお金ではありません。基本的には妻個人の財産です。なぜなら、夫婦で共同して生活していても、相続で得た財産は、その人固有の財産と考えられるからです。
一方、住宅が夫名義で、住宅ローンも夫が単独で契約している場合、基本的には夫が返済義務を負うことになります。そこへ妻の1000万円を充てるとどうなるでしょうか。
このようなケースで妻が夫にお金を渡し、その資金を住宅ローンの返済に充てると、妻から夫へ財産を贈与したものとして、贈与税の対象になる可能性があります。
そのまま1000万円返済すると贈与税が発生する可能性がある
では、贈与として扱われてしまうと、どういったことが起こるのでしょうか。結論として、そのまま妻が相続した1000万円を使って夫名義の住宅ローンを返済してしまえば、贈与税が発生する可能性があります。
なぜなら、贈与税は年間で総額110万円を超えた部分に対してかかるからです。例えば、1年間で1000万円全額を使って住宅ローンを返済したとすると、110万円を差し引いた890万円に贈与税がかかるということです。
その際の税額は、890万円に40%を乗じ、その金額から125万円を引いたものとなるため、贈与税額は231万円になり非常に高額です。
しかし、年間110万円までの基礎控除は毎年適用されます。そのため、毎年110万円以下の額で妻が夫にお金を渡して返済に充てるという方法であれば、贈与税を節税しながら結果的に1000万円の相続したお金で返済することができます。
ただし、1000万円を複数年に分け、毎年の贈与額を110万円以下にすれば、必ず贈与税がかからないとは限りません。あらかじめ一定額を複数年にわたって贈与することが決まっている場合などは、贈与の方法によって税務上の取り扱いが異なる可能性があるため注意が必要です。
妻に家の持分を持たせる方法もあるが注意が必要
妻が1000万円を出すなら、その分に見合う家の持分を妻名義にする方法も考えられます。資金を出した人と名義の割合を合わせることで、単なる贈与ではなく、売買によって妻が家の一部を取得したと説明し、贈与税がかからないようすることができるからです。
ただし、すでに夫名義の家について、後から持分を移す場合は登録免許税などがかかります。また、住宅ローンが残っている家の名義を変えるには、金融機関の承諾が必要になる場合もあります。
このように、追加費用や手間がかかったり、権利関係が複雑になったりすることを考えると、妻に持ち分を持たせて贈与税がかからないようにするという方法は、あまり現実的ではないでしょう。
まとめ
妻が実家から相続した1000万円を夫名義の住宅ローン返済にそのまま使うと、夫が妻から贈与を受けたとみなされる可能性があります。1000万円を一括で贈与されたとなれば、200万円を超える贈与税が発生することもあります。
夫婦を取り巻くお金の課税関係については、非常に複雑なことも多いです。税金関係で気になることがあれば、税務署や税理士などに早めに相談しておくことをおすすめいたします。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
執筆者 : 柘植輝
行政書士
