夫は年収「800万円」ですが、うち「200万円」は残業代。「年収800万円なら大丈夫」と住宅ローン「5000万円」を検討していますが、残業代が減っても無理なく返済できるのでしょうか?

配信日:
この記事は約 4 分で読めます。
夫は年収「800万円」ですが、うち「200万円」は残業代。「年収800万円なら大丈夫」と住宅ローン「5000万円」を検討していますが、残業代が減っても無理なく返済できるのでしょうか?
住宅ローンを検討する際は、「金融機関から借りられる金額」と「無理なく返済を続けられる金額」を分けて考えることが大切です。特に残業代を含めて年収を見積もっている場合、勤務状況や会社の業績、働き方の変化などによって収入が減少する可能性もあります。
 
現在の年収だけを前提に借入額を決めるのではなく、基本給を軸に、将来的な収入の変化も考慮して返済計画を立てることが重要です。本記事では、残業代が減少した場合の家計への影響を確認しながら、基本給をベースに住宅ローンを考える際のポイントを分かりやすく解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

年収800万円で5000万円の住宅ローンは適正? 年収倍率6.25倍から考える返済計画

年収800万円の世帯が5000万円の住宅ローンを組む場合、年収に対する借入額の割合を示す年収倍率は約6.25倍となります。独立行政法人住宅金融支援機構によると、フラット35を利用してマイホームを購入した人の平均年収倍率は、マンションでは7.5倍、注文住宅では6.9倍程度です。
 
この数値だけを見ると、年収800万円で5000万円の借り入れを行う計画は、全国平均の範囲内に収まっているように思えます。
 
また、金融機関の審査基準である返済負担率の上限(35%)を適用すると、年収800万円であれば年間280万円までの返済が可能です。返済期間35年で試算した場合、固定金利2.3%で6717万円、変動金利0.7%では8677万円もの金額が理論上の借入可能額となります。
 
しかし、ここで注意しなければならないのは、「金融機関から借りられる金額」と「家計に負担なく返済できる金額」は大きく異なるという点です。特に年収800万円のうち200万円が残業代で構成されている場合、基本給のみをベースとした本来の返済能力を慎重に見極める必要があります。
 

残業代200万円がなくなり年収600万円になった場合、年収倍率は8.3倍に上昇

もし会社の業績変化や働き方の見直しなどによって残業代200万円が減額され、年収が600万円に減少してしまった場合、家計の返済負担は重くなります。
 
年収600万円の人が購入するマイホームの年収倍率は約7倍がひとつの目安とされています。年収600万円で5000万円のローンを抱えることになると、年収倍率は約8.33倍にまで跳ね上がり、目安とされる基準を大幅に超過してしまいます。
 
具体的な返済額で試算してみましょう。例えば金利1.9%で35年返済、5000万円の住宅ローンを借り入れた場合、月々の返済額は約16万3000円になります。
 
一方で、年収600万円の場合の手取り額を年間で約450万円とすると、月額換算では約37万5000円です。
 
この手取り月額から毎月16万3000円のローン返済を支払うと、返済負担率は手取り額に対して約43%に達してしまいます。手取り月額約37万5000円からローン返済額を引くと、手元に残る生活費は約21万2000円です。
 
この金額から食費や光熱費、教育費などの日々の支出を賄う必要があるため、世帯構成や生活状況によっては家計に余裕がなくなる可能性があります。
 

固定資産税や管理費などの維持費も発生! 無理のない返済負担率は?

マイホームを所有すると、住宅ローンの返済以外にもさまざまな固定費やランニングコストがかかります。
 
マイホーム購入後は毎年支払う固定資産税や都市計画税、火災保険料や地震保険料といった費用が継続的に発生します。さらに、マンションを購入した場合は、住宅ローンの返済に加えて、管理費や修繕積立金などの支払いも毎月の負担に加わります。
 
一戸建ての場合も、将来の外壁塗装や屋根の修繕に備えて、計画的に費用を積み立てておくことが望ましいでしょう。
 
仮に残業代がゼロになり年収600万円に下がった状態で、ローン返済月額16万3000円に加えて、マンションの維持費が月額3万円ほどかかると想定すると、住居関連費だけで毎月約19万円の支出となります。
 
手取り月額37万5000円に対して半分以上の金額が住居費に充てられるため、生活費として残るのは18万円程度です。
 
一般的に家計に無理のない返済負担率は、額面年収の25%程度までとされています。年収600万円の場合、返済負担率25%に相当する年間返済額は150万円、月々の返済額は約12万5000円です。
 

残業代の変動リスクに留意して基本給ベースで安全な住宅ローン計画を

今回の事例のように年収800万円のうち200万円が残業代で占められている場合、現在の最高年収である「年収800万円」だけを根拠にして5000万円の住宅ローンを組むのは大きなリスクを伴います。
 
残業代は会社の業績や個人の勤務状況などによって変動しやすいため、住宅ローンを検討する際は、残業代を除いた基本年収を基準に試算を行うことが大切です。
 
もしどうしても5000万円クラスの物件を購入したい場合には、事前に頭金を多く準備して借入額そのものを減らすか、夫婦での収入合算やペアローンを活用して世帯全体の安定した収入基盤を作るなどの工夫が求められます。
 
住宅ローンは30年以上の長期間にわたって無理なく返済を続けていく必要があるため、残業代の変動リスクを十分に見込んだ安全な資金計画を立てるようにしましょう。
 

出典

独立行政法人住宅金融支援機構 2025年度 フラット35利用者調査
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu

LINE