住宅ローンを「35年」で組んだ友人は45歳。定年後も返済が続くそうです。完済予定が定年を超える人ってどれくらいいるの? 定年後も払い続けられるものなのでしょうか?
今回は、45歳から35年ローンを組んだ場合、退職後も返済を続けられるかという不安について考えていきます。
夢実現プランナー
2級ファイナンシャルプランニング技能士/2級DCプランナー/住宅ローンアドバイザーなどの資格を保有し、相談される方が安心して過ごせるプランニングを行うための総括的な提案を行う
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住宅ローンの返済期間はどのくらい? 定年後まで返済する人は珍しくない?
住宅ローンの返済期間は、長期化しています。
国土交通省の「令和7年度 住宅市場動向調査」によると、2024年度に住宅を取得した世帯について借入金の平均返済期間は、注文住宅の建築資金で34.4年、土地購入資金で35.7年、分譲戸建住宅で34.2年、新築の分譲集合住宅で32.4年でした。いずれも、30年を超えています。
また、住宅金融支援機構の「2025年度フラット35利用者調査」では、2025年4月から2026年3月までにフラット35の承認を受けた3万5553件を見ると、利用者の平均年齢は43.3歳で、40代で長期の住宅ローンを利用する人も少なくありません。
ただし、借り入れ当初から60歳や65歳の定年後まで返済が続く予定の人は多くいますが、その割合や、実際に定年退職後も返済を続けている人の割合は把握できませんでした。
今回のケースでは、45歳で35年ローンを組むと80歳で完済となります。ただし、大切なのは80歳という数字に不安を感じることより、定年時にいくら残っているのかを把握することや、定年以降に払っていくとしても、安心して払っていける計画を立てておくことではないでしょうか。
定年後も住宅ローンを払い続けるなら、退職金も活用できる
定年後の住宅ローンを考えるときは、毎月の返済額だけを見るのではなく、「退職後の収入-生活費-住宅ローン返済額」というキャッシュフローで考えます。
総務省の「2025年家計調査(家計収支編)」によると、65歳以上で夫婦のみの無職世帯の実収入は月25万4395円、可処分所得は22万1544円、消費支出は26万3979円でした。平均値では、可処分所得だけでは消費支出を賄えていません。
ここに住宅ローンの返済が加わるなら、年金収入だけでなく、退職金や預貯金の取り崩しも含めて考える必要があります。
例えば、65歳の定年時に住宅ローンが800万円残り、退職金が1500万円だったとします。この場合、800万円を全額繰り上げ返済する方法もありますが、退職金から500万円だけ返済額軽減型の繰り上げ返済をして、残りの300万円を返済しながら、退職金の残り1000万円を老後資金として確保する方法も考えられます。
もちろん、住宅ローンの金利が低く、年金収入から返済を続けられるなら、退職金を手元に残して返済を続ける選択肢もあります。
つまり、定年時に住宅ローンが残っていた場合でも、「一括返済するか、何もしないか」の二択ではありません。退職金の一部を繰り上げ返済に充てて毎月の返済負担を軽くし、残りを老後資金として確保するという方法もあります。
定年後の返済に備えて、今から確認したい3つのこと
まず、定年時点の住宅ローン残高を確認します。45歳で35年ローンなら、65歳時点では返済期間が残り15年です。借入時に作成される返済予定表を見れば、定年時にいくら残るのかを確認できます。
ただし、35年固定金利では返済額などは借入時から変わりませんが、期間固定型や変動金利の場合は、時々の金利によって、返済額や残債が変化しますので注意が必要です。定年の前に借り入れをしている金融機関に返済予定表を作ってもらうといいでしょう。
次に、定年後の収入と支出を確認します。公的年金などの収入から生活費を差し引き、そこから住宅ローンを返済しても毎月の家計が維持できるかを確認します。
最後に、退職金や預貯金をどう使うかを考えます。住宅ローンの繰り上げ返済は、金利負担を減らせる一方、手元資金も減ります。老後には生活費だけでなく、医療費や介護費、住宅の修繕費なども考えておく必要があります。
そのため、退職金をすべて住宅ローンの返済に充てるのではなく、「いくら返済すれば毎月の負担を軽くできるか」「老後資金としていくら残しておくか」を考えることが大切です。
まとめ
45歳で35年の住宅ローンなら、完済予定は80歳になります。しかし、定年後まで返済期間が残ることだけで、住宅ローンを危険と考える必要はありません。
重要なのは、定年時の住宅ローン残高と、退職後の収入・生活費を確認したうえで、退職金や預貯金をどう組み合わせるかです。
退職金で住宅ローンを一括返済する方法だけでなく、その一部を繰り上げ返済に充てて残高を減らし、残りを老後資金として確保する方法もあります。
「80歳まで返済」という数字だけで不安になるのではなく、定年時にいくら残り、退職金をどう活用するのかまで確認しておけば、住宅ローンと老後資金を両立するための具体的な対策が見えてきます。
出典
国土交通省住宅局 令和7年度 住宅市場動向調査 報告書
住宅金融支援機構 国際・調査部 調査グループ 2025年度 フラット35利用者調査
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要
執筆者 : 吉野裕一
夢実現プランナー
