最終更新日: 2019.01.10 公開日: 2018.05.26
老後

遠い未来のお話ではない!?定年を迎えるにあたって考えておくべきこと

執筆者 : 川上壮太

定年制度は法律として定められているものではありませんが、「60歳を下回る定年年齢を定めることはできない」ことは法制化されています。現在、定年年齢を60歳とする会社は79%、65歳以上とする会社は18%あります(2017年就労条件総合調査)。
 
一方で、年金支給開始年齢は徐々に引き上げられており、男性では1961年4月2日生まれ以降の人、女性では1966年4月2日生まれ以降の人は、65歳まで部分的な年金も受取れなくなります。
 
公的年金の受給開始年齢の引き上げに伴い、定年後も働き続ける人は増えています。定年後も継続して働く場合でも、定年時に退職金が支給されることが一般的です。
 
ここでは、定年時までに考えておかなくてはならない事項の1つとして、退職金の受取り方について検討したいと思います。
 
川上壮太

Text:

Text:川上壮太(かわかみ そうた)

CFP認定者、DCプランナー

京都大学工学部修士卒。精密機械メーカー勤務の後、FP事務所サニーサイド・ファイナンシャルプラニングを開設。日本FP協会電話相談員等を経験するとともに、多数のFP相談に対応してきた。生命保険募集人・証券外務員の資格を取得し、金融関係業務の実情にも詳しい。現在は神奈川県を中心に、主に子育て世代のライフプラン作りの相談に応じている。
http://www.sunnysidefp.jp/

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川上壮太

執筆者:

Text:川上壮太(かわかみ そうた)

CFP認定者、DCプランナー

京都大学工学部修士卒。精密機械メーカー勤務の後、FP事務所サニーサイド・ファイナンシャルプラニングを開設。日本FP協会電話相談員等を経験するとともに、多数のFP相談に対応してきた。生命保険募集人・証券外務員の資格を取得し、金融関係業務の実情にも詳しい。現在は神奈川県を中心に、主に子育て世代のライフプラン作りの相談に応じている。
http://www.sunnysidefp.jp/

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企業年金(退職金)を年金で受取るか、一時金で受取るか

厚生労働省の調査結果によると、30人以上の会社の大卒社員(45歳以上・勤続20年以上)の退職金の平均額は1941万円となっています。
 
このうち、全部を年金として受給する人は19%、一時金として受給する人は69%、両者併用の人は12%です(2013年 厚生労働省 就労条件総合調査/退職給付〈一時金・年金〉の支給実態より)。
 
この調査結果からは、一時金で受取った人が、受取った退職金をどう使ったかまでうかがい知ることはできません。住宅ローンの返済、リフォームなど、将来の負担を減らすために使われていれば良いのですが、預金として運用されないままになっていたり、不要不急の出費で減ってしまっているようなら、年金にして老後資金のために確保したほうがよいのではないかとも思えます。
 
しかし、年金で受取る場合の問題点として、公的年金・企業年金・そのほかの収入を合算した金額に対して、老後も税金がかかることがあげられます。
 
65歳以上の高齢者には、公的年金、企業年金などの年金に対して、最低でも120万円の公的年金控除が適用されますが、この控除を行ったあとでも、一定額を超えた所得がある場合には税金がかかってきます。
 
一方、退職一時金の場合には、退職所得控除を使うことで課税額を引き下げることができます。
 
退職所得控除を使うと、勤続年数に応じて入社後勤続年数が20年までの間は1年あたり40万円、21年目からは1年あたり70万円の控除が受けられます。勤続年数が長ければ、大きな控除が期待でき、退職一時金を非課税とできる可能性も十分あるのです。
 

退職一時金と年金受取りの場合の課税額の比較

退職一時金に対する課税額の計算例。
 
例えば、勤続30年なら、以下の額が退職一時金の控除額となります。
40万円×20(年)+70万円×(30−20)(年)=1500 万円(控除額) 
 
仮に1800万円の退職一時金を受け取る場合、
(1800万円−1500万円)×1/2=150万円
に対して、課税されることになります(税率15%とすると、22万5000円が課税額です)。
 
一方、退職一時金を年金で受取る場合、例えば20年確定年金では、1800万円を20で割って、年間90万円が年金額(運用益は考慮しない場合)になります。
 
ほかに、公的年金が年間260万円ある場合、確定年金の90万円を加えると、総額350万円が年金額となります。
 
この年金額に対して、公的年金控除(125万円)、基礎控除(38万円)、配偶者控除(38万円)、合わせて201万円の控除があるとすると、課税所得は350万円−201万円=149万円
 
所得税と住民税合わせて、税率15%とすると、毎年22万3500円の課税額となります。
 
90万円の確定年金がなければ、所得税と住民税合わせて毎年9万6000円の税額と計算されます。退職一時金を年金で受取った場合に、その差12万7500円の税金が増えたことになるわけです。
 
これは1回限りではなく20年間続きますから、総額では255万円もの負担増となります。一時金受取の場合の約22万円の税金を差し引いても、年金受取は一時金受取に対し約230万円税金が多い計算です。
 
以上の比較は、公的年金の額にも依存しますので、退職金を年金として受取ることが、どんな場合でも不利なわけではありません。
 
しかし、勤続年数がそれなりに長い場合には、退職一時金として受取るほうが有利なケースが多いといっていいでしょう。
 
さらに、年金受取りの場合には、住民税が増えるに従って健康保険料・介護保険料が上がる負担増も発生します。この社会保険料の増加が、税金の増加より大きな負担増となる場合もあるのです。
 

まとめ

今回は、退職金を一時金で受取る場合と年金で受取る場合について、比較・検討してきました。
 
いざ、退職金を受け取る間際になって、受取り方を決めるようにいわれても、簡単には判断できないことが多いと思います。会社から退職金額等について事前の情報が得られる場合には、早めに検討を始めることをお勧めします。
 
半分は退職一時金、残り半分は年金という選択ができる場合もあります。事前に、できるだけ多くの情報が得られるよう、会社の担当者などに確認してみるのも良いでしょう。
 
定年を迎えるにあたって考えておくべきことは、ほかにもいくつかありますので、順次紹介していきます。
 
Text:川上 壮太(かわかみ そうた)
サニーサイド・ファイナンシャルプラニング代表



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