更新日: 2019.09.30 介護

97才の父を自宅で介護。体験者が教える、いざという時に役立つ介護保険の知識

97才の父を自宅で介護。体験者が教える、いざという時に役立つ介護保険の知識
筆者は現在、97歳で要介護4の父を自宅で介護しています。
 
その経験を踏まえて、どうしたら介護サービスを受けられるか、介護保険の申請の仕方や仕組み、受けられる介護サービスの限度額などを説明します。
村川賢

執筆者:村川賢(むらかわ まさる)

一級ファイナンシャル・プラニング技能士、CFP、相続診断士、証券外務員(2種)

早稲田大学大学院を卒業して精密機器メーカーに勤務。50歳を過ぎて勤務先のセカンドライフ研修を受講。これをきっかけにお金の知識が身についてない自分に気付き、在職中にファイナンシャルプランナーの資格を取得。30年間勤務した会社を早期退職してFPとして独立。「お金の知識が重要であることを多くの人に伝え、お金で損をしない少しでも得する知識を広めよう」という使命感から、実務家のファイナンシャルプランナーとして活動中。現在は年間数十件を越す大手企業の労働組合員向けセミナー、およびライフプランを中心とした個別相談で多くのクライアントに貢献している。

介護が必要となったとき

自分の親御さんなどで介護が必要となったときは、まず、市区町村の相談窓口に行くか、近くの地域包括支援センターに行って、介護保険の申請をします。
 
必要事項を書いて書類を提出すると、都合の良い日時を取り交わしてから認定調査員が自宅を訪問します。自宅では認定調査員が介護の必要な人に所定の質問をして、認知症の確認や手足の動作確認などをします。また、家族に普段の生活状況などを訊ねます。
 
さらに、普段かかりつけの主治医に意見書を書いてもらい、それらを総合的に判断して要介護度の認定結果を出します。認定結果が出るのに1ヶ月から1.5ヶ月くらいかかります。
 
認定結果が出ると、その地域の介護支援事業所からケアマネージャーが指名されます。ケアマネージャーは、介護をする人とどのような介護サービスを受けるか相談して、ケアプラン(介護計画書)を作成します。
 
それから、ケアマネージャーがケアプランに沿って各介護事業所の担当者を介護者の自宅に招集して、担当者会議を開きます。そこで各介護サービス事業所と契約を結び、介護サービスを受けることができるようになります。
以上、一連の流れを簡単な図に示します。
 

介護について調べるには

近くの介護事業所や地域包括支援センターがどこにあるか、介護サービスとはどのようなものか等は、厚生労働省の「介護サービス情報公開システム」(※1)で検索すると、調べられます。
このサイトでは、受けられる介護サービスの概算料金も試算できるようになっています。

介護保険の仕組みと受けられる介護サービスの支給限度額

介護保険の適用対象者は、大きく二つに分けられています。65歳以上で要支援または要介護認定された人を第1号被保険者、40歳以上65歳未満で特定疾病により要支援または要介護認定された人を第2号被保険者と言います。
 
要支援と要介護は、介護状態により7段階に分かれており、その区分に応じて受けられる介護サービスの支給限度額が決められています。
 

年金などの収入により変わる負担額

介護サービスの種類には、自宅に訪問する訪問介護(ホームヘルプ)、施設に通う通所介護(デイサービス)、短期間の宿泊を行なう短期入所生活介護(ショートステイ)などいろいろとありますが、それぞれ要介護度に応じて料金が決まっています。
詳しくは「介護サービス情報公表システム」を検索して調べてください。
 
これらの介護サービスを受けるのに自己負担がかかりますが、介護を受ける人の年金やその他の合計所得金額に応じて介護サービス費用の1割~3割を負担します。また食事代などの介護サービス以外の費用は全額自己負担になります。
 

 
詳しくは厚生労働省の資料(※2)を参照してください。
 
一つの例として、要介護度4の父の場合、週に4回デイサービスに通っていますが、ひと月の自己負担額(2割負担)は約4万2000円~約4万8000円です。また3泊4日のショートステイでは、約2万5000円を自己負担しています。

おわりに

先日、厚生労働省は昨年度の平均寿命を発表しましたが(※3)、男性が81.25歳、女性が87.32歳で過去最高を更新しています。
 
しかしながら、健康で生活できる健康寿命(2016年調べ)は男性で72.14歳、女性で74.79歳となっていて、平均寿命ほど伸びてはいません(※4)。
 
この平均寿命と健康寿命との差が主に介護の必要な期間となります。80歳を超えても元気な老人はたくさんいますが、いざ介護が必要となったときに、どうすれば介護サービスが受けられるか知っておくことは大切です。
 
執筆者:村川賢
一級ファイナンシャル・プラニング技能士、CFP、相続診断士、証券外務員(2種)
 
 
出典
(※1)厚生労働省 「介護サービス情報公表システム」
(※2)厚生労働省「平成30年8月から現役並みの所得のある方は、介護サービスを利用した時の負担割合が 3割になります」
(※3)厚生労働省 平成30年簡易生命表の概況
(※4)生命保険文化センター 健康寿命とはどのようなもの?

  


 

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