更新日: 2021.02.12 定年・退職

改正高年齢者雇用安定法が施行。年金の受給を繰り下げるとどうなる?

執筆者 : 杉浦詔子

改正高年齢者雇用安定法が施行。年金の受給を繰り下げるとどうなる?
年齢にかかわりなく働くことができるよう、2021年(令和3年)4月に改正高年齢者雇用安定法が施行されます。平成25年の改正と令和3年の改正内容の違いや老齢年金の受給開始年齢が繰り下げられることも知っておきましょう。
杉浦詔子

執筆者:杉浦詔子(すぎうらのりこ)

ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント

「働く人たちを応援するファイナンシャルプランナー/カウンセラー」として、働くことを考えている方からリタイアされた方を含めた働く人たちとその家族のためのファイナンシャルプランニングやカウンセリングを行っております。
 
2005年にCFP(R)資格を取得し、家計相談やセミナーなどのFP活動を開始しました。2012年に「みはまライフプランニング」を設立、2013年よりファイナンシャルカウンセラーとして活動しています。
 

平成25年4月の高年齢者雇用安定法の改正概要

「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)の改正は、老齢年金受給開始年齢までは意欲と能力に応じて働き続けられる環境の整備を目的として平成25年4月1日に施行されました。
 
平成25年は以下のいずれかを義務化する改正をしました。

(1)60歳未満の定年禁止

定年を60歳未満と定めていた場合、改正により60歳以上に変更することになりました。

 

(2)65歳までの雇用確保措置

定年の65歳までの引き上げや定年制の廃止ができず、定年を60歳以上65歳未満に定めた場合は、定年後も65歳まで希望者全員が働けるように再雇用制度や勤務延長制度などの継続雇用制度の導入が必要となりました。

 

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令和3年4月の高年齢者雇用安定法の改正概要

平成25年に施行された65歳までの雇用確保に加えて、令和3年4月1日の改正では、65歳から70歳までの就業機会を確保するために、できる限り努力をしなければならないという努力義務となっています。
 
令和3年の改正では以下5点のいずれかの措置を講ずる努力義務が新設されました。

(1)70歳までの定年を引き上げ
(2)定年制を廃止
(3)再雇用制度や勤務延長制度などで、70歳まで継続雇用できる制度の導入
(4)70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
(5)70歳まで継続的に社会貢献事業に従事できる制度の導入

※(4)(5)は過半数労働組合等の同意を得て導入

令和3年4月の改正は、働く意欲がある高年齢者が活躍できる環境の整備が目的ですが、努力義務であるため、65歳になったときに勤務先に「健康で能力もあるので、70歳まで働かせてほしい」と希望しても、制度が導入されていないと、65歳以降も働き続けられないことがあります。
 
70歳まで働きたいという希望がある場合には、勤務先に改正高年齢者雇用安定法に対してどのような対応を予定しているか、あらかじめ聞いておきましょう。
 

年金を繰り下げたときの受給額

現在の公的な老齢年金の受給開始年齢は、男性は昭和36年4月2日生まれ以降、女性は昭和41年4月2日生まれ以降の方については65歳からとなっています。
 
老齢年金の受給は、希望すれば60歳から65歳未満に受給を開始する繰上受給と、65歳以降70歳までに受給を開始する繰下受給を選択することができます。
 
高年齢者雇用安定法の改正により、70歳まで働き続けることができ、生活できる収入が得られる場合には、年金受給の繰り下げを検討することになります。
 
年金の受給開始年齢を1ヶ月遅らせるごとに受け取れる年金額は0.7%増えますので、受給開始年齢を60ヶ月遅らせ、70歳からの年金受給とすることで、年金額は42%増となります。
 
つまり、65歳で受給開始すると年額77万円の年金が受け取れると仮定すると、70歳に繰り下げることで年金の受取額は年額109万円となります。
 

<年金繰下受給時の増額率> 

 増額率=(65歳に達した月から繰下申出月の前月までの月数)×0.007

 
65歳以降も働き続けるか働かずに過ごすかは、個々人の考え方により異なる選択となると思います。個々人の多様な特性やニーズを踏まえて、70歳まで働き続けたいと望む方の選択肢を増やすには、多くの企業で令和3年の改正高年齢者雇用安定法が導入されることが望ましいでしょう。
 
出典
厚生労働省 高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~
日本年金機構 老齢基礎年金の繰下げ受給
 
執筆者:杉浦詔子
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント