78歳の父は「年金8万円・貯金200万円」ですが“生活保護”の申請を却下されました。本人は「たぶん持ち家があるから」と言いますが、高齢で働けないのにおかしくないですか? 申請時の「資産の扱い」とは

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78歳の父は「年金8万円・貯金200万円」ですが“生活保護”の申請を却下されました。本人は「たぶん持ち家があるから」と言いますが、高齢で働けないのにおかしくないですか? 申請時の「資産の扱い」とは
生活保護制度は、資産や能力を使い切ってもなお困窮する人を支えるセーフティーネットです。
 
しかし、78歳で年金は月8万円ほど、貯金は200万円ほどしかなく、住み慣れた持ち家が残っているだけという心もとない暮らしでも、申請が却下されることがあります。 持ち家などの資産があるというだけで高齢者が支援を受けられないとすれば、不安に感じる人もいるのではないでしょうか。
 
本記事では、生活保護の申請時に資産がどう扱われるのか、原則を分かりやすく解説します。持ち家がある場合に案内される制度、そして預貯金の基準についても説明するので参考にしてみてください。
竹下ひとみ

FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種

銀行にて12年勤務し、法人および富裕層向けのコンサルティング営業に従事。特に相続対策や遊休地の有効活用に関する提案を多数手がけ、資産管理・税務・不動産戦略に精通。銀行で培った知識と経験を活かし、収益最大化やリスク管理を考慮した土地活用のアドバイスを得意とする。

現在は、2社の経理を担当しながら、これまでの経験をもとに複数の金融メディアでお金に関する情報を発信。実践的かつ分かりやすい情報提供を心がけている。

生活保護は「資産を全て使ってから」が原則

生活保護法では、利用できる資産や能力は、全て生活のために活用するという原則があります。これは補足性の原理と呼ばれています。
 
この原則にもとづき、預貯金があれば生活費として使うことが求められるのです。生命保険は解約し、自動車や、普段使っていない土地や家屋は売却して、生活費に充てなければなりません。
 
ただし、今住んでいる家については例外があります。厚生労働省の基準では、売ったときの価値が、住み続けることで得られる価値を大きく上回っていなければ、そのまま持ち続けることが認められています。
 
つまり、持ち家があるという理由だけで、生活保護の対象から外れるわけではありません。
 

65歳以上で持ち家があると、先に案内される制度がある

それでも、持ち家があることが却下の理由になったように感じる場合もあるでしょう。実は、持ち家があるケースだと、要保護世帯向け不動産担保型生活資金という公的な貸付制度が関わってくることがあります。
 
前提として、この制度は65歳以上の人が対象です。一定の評価額がある居住用の不動産を単独で所有している場合、その家を担保にして生活費を借りることができます。
 
借りたお金は、本人が亡くなったときや契約が終わったときに、家を売却して返済に充てられます。対象となる不動産評価額の目安は自治体ごとに異なりますが、神奈川県社会福祉協議会の場合は、おおむね500万円以上とされています。
 
家を手放すよう迫られているわけではなく、まずその価値を生活費として生かす仕組みだと考えると分かりやすいのではないでしょうか。なお、評価額が基準に届かない住宅であれば、この貸付制度の対象にはなりません。
 
その場合は、通常の生活保護の仕組みの中で、保有が認められるかどうかが判断されます。
 

200万円の貯金は、生活保護の基準を大きく超えている

持ち家のほかに、預貯金にも明確な基準があります。生活保護を申請するときには、預貯金の額も確認されます。その世帯の最低生活費の1ヶ月分を上回る預貯金があると、生活保護を開始することは認められません。
 
ここでいう最低生活費とは、年齢や地域などにもとづいて厚生労働省が定める、暮らしに必要な最低限の費用のことです。
 
仮に最低生活費を月8万円とすると、200万円という貯金は25ヶ月分に相当する計算になります。最低生活費の金額は地域によって変わりますが、いずれにしても数ヶ月分ではなく、1年以上の生活費に相当する金額です。
 
なお、年金月8万円という収入は、最低生活費を下回っていれば、その差額を生活保護が補う対象となります。今回の却下の決め手になったのは、収入よりも、預貯金の水準だったと考えられます。
 

まとめ

生活保護の申請が却下された理由は、持ち家があることそのものよりも、貯金を含めた資産全体を先に生活費として使うことを求める制度の仕組みにあったと考えられます。
 
持ち家は、住み続けながら保有できる場合もあり、必要になるのはその価値を生かす別の手段の検討です。まずは貯金を取り崩しながら暮らし、基準に近づいた段階で自治体の窓口へ相談してみると良いでしょう。
 

出典

厚生労働省 生活保護制度
e-Gov法令検索 生活保護法
 
執筆者 : 竹下ひとみ
FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種

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