定年した夫が、毎朝スーツを着て「仕事に行ってくる」と家を出るようになりました。実は近所の喫茶店で「500円のモーニング」を食べながら昼まで時間を潰しているそうですが、年金生活なのに毎月1万円以上を“居場所代”に使い続けても大丈夫なのでしょうか?
ただし、その支出が単なる朝食代ではなく、退職後の生活リズムや外出するきっかけになっているなら、すべてを無駄と考える必要もありません。問題は“居場所代”を使うことではなく、老後家計の中で無理なく続けられる金額かどうかです。
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500円でも毎日続ければ年間18万円を超える
モーニング1回500円なら、現役時代の昼食代などと比べて安く感じるかもしれません。しかし、毎朝利用すると金額は積み上がります。
平日だけ月20回なら1万円、30日なら1万5000円です。1年間毎日利用すると、500円×365日で18万2500円になります。年金生活で年間18万円という金額は、軽く考えないほうがよいでしょう。
総務省の2025年家計調査では、65歳以上の夫婦のみの無職世帯で、可処分所得は月22万1544円、消費支出は26万3979円でした。平均では毎月約4万2000円、支出が可処分所得を上回っています。
仮に自分たちの家庭でも年金だけでは生活費が不足しているなら、月1万~1万5000円のモーニング代は、貯蓄の取り崩しを早める要因になります。反対に年金内で生活費を十分に賄え、貯蓄にも余裕があるなら、月1万円程度を本人の自由費として設定することも考えられます。
まず「500円は高いか安いか」ではなく、夫婦の毎月の収支を確認することが必要です。
喫茶店代には朝食以外の役割がある場合もある
今回気になるのは、夫がスーツを着て「仕事に行ってくる」と言って家を出ている点です。単純にモーニングを食べたいだけでなく、長年続けてきた通勤のリズムを保ちたい、朝から出かける場所が欲しい、といった理由があるのかもしれません。
定年すると、仕事に使っていた時間が一気に空きます。そのため、急に一日中自宅で過ごす生活へ変えるより、毎朝決まった場所へ出かけることが本人にとって過ごしやすい場合もあります。
J-FLEC(金融経済教育推進機構)は、リタイア後のライフプランに関するコラムで、収支を考えるだけでなく、「生きがいを見つける」ことも大切な要素として挙げています。
同コラムでは、退職後は現役時代と違って多くの時間が生まれるため、やりたいことを明確にしておくことがメンタルの健康にもつながるとしています。
つまり、喫茶店へ支払う500円は、食パンやコーヒーだけの値段とは限りません。外へ出るきっかけ、新聞を読む時間、一人で落ち着ける場所などを含めた支出と考えることもできます。
ただし、本人が家族に詳しく話していないようなら、無理に問い詰めるのではなく、退職後の過ごし方や気持ちをさりげなく聞いてみるのもよいでしょう。
「そんな無駄遣いはやめて」と責めるより、「毎朝出かけるのが気分転換になっているの?」などと声をかけるほうが、本人も気持ちを話しやすいかもしれません。
毎日利用するかではなく自由に使える予算から判断する
家計への負担を減らしたいなら、喫茶店通いそのものを禁止する必要はありません。
たとえば夫婦で、それぞれ自由に使えるお金を月1万円ずつ設定する方法があります。夫がその1万円をモーニングへ使いたいなら、平日20回程度利用できます。
一方、毎月1万5000円では予算を超えるなら、「土日は自宅で朝食」「週3~4日にする」といった調整ができます。週3回なら、1か月13回として6500円程度です。年間では500円×週3回×52週で7万8000円となり、毎日利用する18万2500円と比べると10万円以上抑えられます。
また、昼まで長時間滞在することが目的なら、図書館、公民館、散歩、地域のサークルなど、費用があまりかからない居場所と組み合わせる方法もあります。
重要なのは、500円を「食費」とだけ考えず、「居場所代」としての意味も含めて考えることです。夫にとって価値がある時間なら、ある程度のお金を使う意味はあります。
一方、何となく毎日行く習慣になり、本人も特に楽しんでいないのであれば、別の過ごし方を探す余地があります。老後の支出では、「削れるもの」と「生活の満足度につながるもの」を分けて考えると調整しやすくなります。
まとめ
500円のモーニングでも、平日だけで月約1万円、毎日なら約月1万5000円、年間では18万2500円になります。年金生活では無視できない金額なので、家計に余裕がないなら利用頻度を見直す意味はあります。
ただし、夫にとって喫茶店が退職後の生活リズムを保つ場所や、自宅とは別に落ち着ける居場所になっているなら、「家で食べればもっと安く済む」という理由だけで全額を無駄とはいえません。
まず夫婦の年金と生活費を確認し、毎月自由に使える金額を決めましょう。その予算の中で収まるなら、モーニングを老後の楽しみとして残すこともできます。予算を超えるなら、利用日を減らしたり無料の居場所と組み合わせたりできます。
退職後は、お金だけでなく時間の使い方も大きく変わります。家計を守りつつ、夫が自分なりの生活リズムを作れる方法を一緒に考えることが大切です。
出典
総務省統計局 家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2025年(令和7年)平均結果の概要
J-FLEC 金融経済教育推進機構 リタイア後のライフプラン戦略
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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