定年した父の家を訪ねると、真夏なのにエアコンをつけず、汗だくで扇風機の前に座っていました。退職金も年金もあるはずなのに、老後は光熱費までここまで切り詰めなければならないのでしょうか?

配信日:
この記事は約 4 分で読めます。
定年した父の家を訪ねると、真夏なのにエアコンをつけず、汗だくで扇風機の前に座っていました。退職金も年金もあるはずなのに、老後は光熱費までここまで切り詰めなければならないのでしょうか?
定年後に収入が減ると、電気代を節約したいと考える人もいるでしょう。しかし、真夏に汗だくになりながらエアコンを我慢する節約はおすすめできません。特に高齢者は暑さを感じにくく、室内でも熱中症になることがあります。
 
環境省も、「電気代がもったいない」とエアコンを我慢せず、適切に使うよう呼びかけています。老後の家計では節約も大切ですが、健康を損なうほど光熱費を削るのではなく、生活全体の支出から見直しましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

高齢者が真夏にエアコンを我慢するのは危険

環境省は、熱中症は屋外だけでなく屋内でも発生するとして、電気代を気にしてエアコンを極力我慢することを避けるよう案内しています。
 
実際、消防庁によると、2025年5~9月に熱中症で救急搬送された人は全国で10万510人に上り、調査開始以降で最多となりました。このうち65歳以上が57.1%(5万7433人)を占め、発生場所では「住居」が約38%で最も多くなっています。
 
こうしたデータからも、特に高齢者は室内での熱中症に注意が必要です。「家の中だから大丈夫」「扇風機に当たっているから大丈夫」とは限りません。
 
扇風機は風を当てて体感温度を下げるのには役立ちますが、室温そのものを下げる機械ではありません。室内がかなり高温になっているなら、エアコンを使って涼しい環境にすることが重要です。
 
今回のように父が汗だくで座っていたなら、まず涼しい部屋へ移動してもらい、水分を取れる状態か確認しましょう。
 
めまい、立ちくらみ、生あくびなどがあれば熱中症の可能性があります。厚生労働省は、涼しい場所へ移動し、体を冷やして水分を補給するよう案内しています。
 
自力で水を飲めない、呼びかけに反応がないといった場合は、ためらわず119番へ連絡する必要があります。
 

光熱費だけを極端に削るより家計全体を確認する

父がエアコンを使わない理由が本当に「お金」なのかも確認してみましょう。
 
高齢者の中には、「昔はエアコンなしで過ごした」「電気を使うのはぜいたく」と考えている人もいます。一方、年金や退職金があっても、「これから何年生きるか分からないから使うのが怖い」と不安を感じている場合もあります。
 
総務省統計局の2025年家計調査では、65歳以上の単身無職世帯は、可処分所得が月平均11万8465円なのに対し、消費支出は14万8445円でした。65歳以上の夫婦のみの無職世帯でも、可処分所得22万1544円に対して消費支出は26万3979円となっています。
 
あくまで平均値ですが、退職金や年金があるというだけで、家計に十分な余裕があるとは判断できません。老後資金への不安があるなら、「退職金があるのだから使えばいい」と言うだけでなく、実際の収支を確認することが大切です。
 
まず、毎月の年金の手取り額と、食費、住居費、通信費、保険料などを一緒に確認してみましょう。仮に毎月の家計に十分な余裕があるのに、健康に必要な冷房だけを我慢しているのであれば、支出の優先順位を変えたほうがよいでしょう。
 
たとえば使っていない有料サービス、必要性が低くなった保険、通信プランなどを見直せば、生活の安全に必要な電気代を確保できる可能性があります。節約では、「何でも減らす」のではなく、削ってよい支出と削るべきではない支出を分けることが大切です。
 

エアコンを使いながら電気代を抑える方法もある

父が電気代を気にしているなら、「エアコンを使うか、我慢するか」の二択にする必要はありません。
 
厚生労働省は、屋内でエアコンなどを利用して温度を調節するほか、遮光カーテンやすだれを利用し、室温をこまめに確認するよう呼びかけています。日差しの強い窓を遮るだけでも、室内へ入る熱を減らせます。
 
エアコンと扇風機やサーキュレーターを組み合わせ、冷たい空気を部屋に循環させる方法もあります。また、フィルターがホコリで詰まっていないか確認し、適切に掃除することも大切です。
 
離れて暮らしているなら、家族が電話をしたときに「今日はエアコンをつけている?」と確認するだけでも見守りになります。環境省は「熱中症警戒アラート」のページでも、高齢者やこどもなど熱中症になりやすい人に対し、身近な人が見守りや声かけをするよう注意喚起しています。
 
本人の節約意識を否定するのではなく、「電気代を抑えながら安全に使う方法を一緒に考えよう」と伝えるほうが受け入れてもらいやすいでしょう。
 

まとめ

定年後に収入が減ったとしても、真夏に汗だくになるまでエアコンを我慢する必要はありません。
 
高齢者は暑さを感じにくく、室内でも熱中症になることがあります。環境省や厚生労働省も、暑さを我慢せずエアコンなどで室温を調節するよう呼びかけています。
 
まず父がなぜ冷房を使わないのかを聞き、老後資金への不安が原因なら、年金と生活費を一緒に整理してみましょう。節約が必要でも、冷暖房や食事、医療など健康に直結する費用を最初に削るのは避けたいところです。
 
遮光や扇風機の併用などで電気代を抑えながらエアコンを使う方法もあります。老後のお金は「できるだけ使わない」ことだけが目的ではありません。
 
安全に暮らすために必要なお金はきちんと使い、そのうえで不要な支出を見直すことが大切です。
 

出典

環境省 あなたの熱中症対策 本当に大丈夫ですか?
総務省消防庁 令和7年版 消防白書 Topics3 熱中症による救急搬送の状況及び予防啓発の取組
厚生労働省 熱中症予防のための情報・資料サイト 熱中症が疑われる人を見かけたら
総務省統計局 家計調査報告〔家計収支編〕2025年(令和7年)平均結果の概要
厚生労働省 熱中症予防のための情報・資料サイト 熱中症にならないために
環境省 熱中症予防情報サイト 熱中症警戒アラート
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu

LINE