80代の母は年金「月8万円」。兄から「介護サービスは1割負担だから、ほとんどお金はかからない」と聞きましたが、本当でしょうか? 実際の自己負担はいくら?
しかし、実際には介護保険の対象外となる費用もあります。また、在宅介護と施設介護でも必要なお金は変わります。
今回は、年金収入が月8万円、年間96万円程度の80代の母親を想定して、介護にどのくらいのお金がかかるのか解説します。
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年金月8万円なら介護サービスは原則「1割負担」
65歳以上の人が介護保険サービスを利用した場合、所得に応じてサービス費の1~3割を自己負担します。
年金収入が月8万円、年間96万円程度で、ほかに大きな所得がなければ、基本的には1割負担になると考えられます。正確な負担割合は、市区町村から交付される「介護保険負担割合証」で確認できます。
例えば、介護保険が適用されるサービスを月10万円分利用した場合、1割負担なら原則1万円の支払いです。
ただし、在宅介護では要介護度ごとに、介護保険を利用できるサービスの上限が決められています。上限を超えてサービスを利用した分は原則全額自己負担です。そのため、「介護サービスなら何を利用しても1割」と考えず、ケアマネジャーと相談しながら必要なサービスを選ぶことが大切です。
1割負担でも食費や居住費などは別にかかる
注意したいのは、「1割負担」になるのは介護保険が適用されるサービス費だという点です。
例えば、デイサービスを利用すると、サービス費とは別に食費などがかかります。こうした費用は原則として全額自己負担です。施設へ入所する場合も、介護サービス費に加えて食費や居住費、日常生活費などが必要です。そのため、「1割負担だから1万円程度用意すれば十分」とは限りません。
また、紙おむつ代は利用するサービスによって扱いが異なります。特別養護老人ホームなどでは施設サービス費に含まれますが、在宅介護では基本的に自分で購入します。
介護に必要な金額を考える際は、1割負担となるサービス費だけでなく、食費や日用品などの実費も含めて確認しましょう。
年金月8万円なら軽減制度で負担を抑えられる可能性がある
介護サービス費が高額になったときは、「高額介護サービス費」によって負担を抑えられる場合があります。1ヶ月に支払った介護サービス費が所得に応じた上限を超えると、超過分が支給される制度です。
2026年時点では、世帯全員が住民税非課税の場合、原則として世帯の上限は月2万4600円です。そのうち、公的年金等収入とその他の合計所得金額が年80万9000円以下などの条件を満たす人には、個人月1万5000円の上限もあります。
今回のケースにおいて、母親は年金月8万円なら年96万円になるため、年80万9000円以下には該当しません。したがって、世帯全員が住民税非課税なら、月2万4600円の世帯上限を目安に考えます。
施設入所の場合は、低所得者の食費・居住費を軽くする「特定入所者介護サービス費(補足給付)」もあります。
2026年8月以降、年金収入等が年82万6500円超120万円以下で、世帯全員が住民税非課税、預貯金などの条件も満たす場合は第3段階(1)となります。年金96万円だけなら収入面ではこの範囲です。
厚生労働省の資料によれば、第3段階(1)で特別養護老人ホームの多床室を利用する場合、食費は月2.1万円、居住費は月1.3万円が目安です。これに介護サービス費や日常生活費などが加わるため、条件によっては月6万~8万円程度に収まるケースも考えられます。
ただし、要介護度や施設、医療費などによって金額は変わります。入所前に施設から見積もりを取り、利用できる軽減制度も確認しましょう。
「1割だからほとんどお金はかからない」とは考えず実費まで確認しよう
年金月8万円程度でほかに大きな所得がない80代の人なら、介護サービス費は原則1割負担と考えられます。
ただし、食費や居住費、日用品費などまですべて1割になるわけではありません。そのため、「1割負担だからほとんどお金はかからない」と考えるのは避けたほうがよいでしょう。
一方、所得が低い人には高額介護サービス費や補足給付などがあります。こうした制度を利用できれば、負担を抑えられる可能性があります。
まずは母親の「介護保険負担割合証」を確認しましょう。そのうえで、在宅介護ならケアマネジャー、施設入所なら施設や市区町村の窓口に相談し、実費を含めて月々いくら必要になるのか確認することが大切です。
出典
厚生労働省 介護保険の解説 サービスにかかる利用料
厚生労働省 介護保険最新情報 Vol.1481 補足給付(低所得者の食費・居住費の負担軽減)の仕組み(令和8年8月~)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
