定年後の父が、毎朝コンビニでコーヒーを買うことさえ「ぜいたくだ」とやめてしまいました。現役時代に老後資金を準備してきたのに、退職後は小さな楽しみまで我慢する必要があるのでしょうか?
仮に1杯160円のコンビニコーヒーを毎日1杯買うと、月30日で4800円、年間では5万8400円になります。この金額を高いと考えるか、毎朝の楽しみとして無理なく出せると考えるかは、父の年金・貯蓄・生活費によって変わります。「ぜいたくかどうか」ではなく、老後家計の中で使える金額を先に決めることが大切です。
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毎朝160円のコーヒーなら年間では約5万8000円になる
コンビニコーヒー1杯だけを見ると、大きな出費には感じないでしょう。
仮に1杯160円のコーヒーを毎朝買うと、30日で4800円、365日では5万8400円になります。年間で考えると、「意外とかかる」と感じる人もいるでしょう。
ただし、5万8400円という数字だけを見て、「老後には高すぎる」と判断するのも適切ではありません。
たとえば年金などの手取りから生活費を払っても毎月数万円残り、十分な予備資金もある家庭なら、月4800円を楽しみに使っても家計への影響は小さいでしょう。反対に、年金だけでは毎月赤字で、医療費や住宅修繕への備えもほとんどないなら、コーヒーを含めて支出全体を見直す必要があります。
総務省の2025年家計調査では、65歳以上の夫婦のみの無職世帯で、可処分所得は月22万1544円、消費支出は26万3979円でした。平均では消費支出が可処分所得を上回っていますが、これはあくまで全国平均です。
同調査では、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の消費支出のうち、「教養娯楽」が10.1%を占めています。老後の支出は食費や光熱費などの生活必需品だけではなく、楽しみのための支出も含めて考えることになります。
父自身の家計が黒字なのか赤字なのかを確認せず、「高齢者だから節約」と考える必要はありません。
老後資金は「減らさないため」だけにあるわけではない
退職後は、預金残高が減っていくこと自体に不安を感じる人がいます。
現役時代は毎月給料が入ってきたのに、定年後は年金中心になるため、「一度使ったお金は戻ってこない」と感じやすいからです。その結果、十分な貯蓄があるのに、コーヒーや外食、趣味などを一切やめてしまう人もいるでしょう。
J-FLEC(金融経済教育推進機構)は、本来お金を貯めることは手段であり目的ではなく、いつ、いくら、何のために貯めるのかを考え、具体的なライフプランを立てることが大切だとしています。
老後資金も同じです。生活を守る資金を確保したうえで、残ったお金を本人が楽しめることに使うのは自然なことです。毎朝のコーヒーが父にとって「散歩に出るきっかけ」「一日の始まりを感じる習慣」になっていたなら、金額だけでは測れない価値もあります。
我慢するより「楽しみに使える月額」を決める
老後の支出を管理するなら、「コーヒーは禁止」と個別に削るより、自由に使ってよい予算を決める方法があります。
その際は、毎月の食費や光熱費だけでなく、医療費、家電の買い替え、住まいの修繕など、毎月は発生しない支出への備えを先に確保しておきましょう。そのうえで残る金額から、無理なく楽しみに使える予算を決めます。
たとえば年金と生活費を確認した結果、趣味や外食などに月2万円使っても将来資金に問題がないとします。その2万円の中から、コーヒーに4800円使うなら、残り1万5200円をほかの楽しみに使えます。
これなら、コーヒーを飲むたびに「160円も使ってしまった」と罪悪感を持つ必要がありません。
一方、毎月の家計が厳しいなら、完全にやめなくても回数を減らす方法があります。毎日から週3回にすれば、160円×月13回として2080円です。自宅で飲む日とコンビニで飲む日を分ければ、楽しみを残しながら支出を抑えられます。
大切なのは「小さなぜいたくを全部やめれば安心」と考えるのではなく、住宅費、保険、通信費なども含めて家計全体を見ることです。
月5000円の楽しみを削りながら、ほとんど使っていない月額サービスへ毎月数千円払っているのであれば、見直す順番が逆かもしれません。
まとめ
定年後だからといって、毎朝のコンビニコーヒーまで必ずやめる必要はありません。
仮に1杯160円のコンビニコーヒーを毎日1杯買うと、月約4800円、年間では約5万8400円になります。決してゼロに近い金額ではありませんが、家計に余裕があれば予算化できる場合もあります。
まず父の年金、毎月の生活費、貯蓄、今後必要になる大きな支出を確認しましょう。そのうえで「自由に楽しみに使えるお金」を月額で決めると、必要以上に我慢しなくて済みます。
老後資金は残高を減らさないためだけのお金ではなく、退職後の生活を安心して楽しむために準備してきたお金でもあります。将来への備えを確保できているなら、小さな楽しみを適度に残すことも、無理なく続けられる老後の家計管理といえるでしょう。
出典
総務省統計局 家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2025年(令和7年)平均結果の概要
J-FLEC 金融経済教育推進機構 生活設計は引き算で生活設計を考えよう!
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
