仕事を辞めずに在宅介護を続けるのは無理? 施設拒否の70代母のために介護サービスをフル活用した場合、毎月の自己負担額はいくらですか?
今回は、公的な介護保険サービスの詳細を確認し、サービスを利用した場合にかかる費用負担をチェックしていきましょう。介護の問題を考えるうえで、注意すべきポイントもご紹介します。
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。
富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
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公的な介護保険サービスを確認
まずは、日本の公的な介護保険について確認していきましょう。日本では、40歳以上の人は介護保険の保険料の支払いが義務付けられています。そして、原則として、65歳以上で要介護認定または要支援認定を受ければ、保険を活用しながら介護サービスを受けることが可能です。
介護保険サービスを利用すると、原則としてサービス費用の1割を利用者が負担します。なお、所得が一定以上ある場合は、負担割合が2割または3割となります。例えば、訪問介護で1万円がかかった場合、1割負担の人が支払う自己負担額は1000円となります。
なお、低所得者や自己負担月額が高くなった人には、負担を抑えるための制度が用意されています。
介護保険サービスの自己負担額を計算
では、タイトルのように、在宅介護をしている方が、公的な介護保険やサービスを利用する場合、具体的に自己負担額がいくらになるのかをチェックしていきましょう。
介護保険では、要支援・要介護度別に、利用できるサービスの支給限度額が決められています。例えば、最も軽い区分の「要支援1」の場合、毎月の利用限度額は5万320円までとなっています。
一方、最も重い区分の「要介護5」の場合は、月36万2170円までとなっています。1割負担の人が限度額いっぱいまでサービスを利用した場合、自己負担額は要支援1で5032円、要介護5で3万6217円です。利用額が限度額を上回った場合には、その超過分について介護保険が適用されず、利用者が全額を負担することになります。
具体的な自己負担額を計算してみましょう。例えば、「要支援1」の方が、在宅介護で1ヶ月7万320円のサービスを利用した場合、利用限度額は5万320円で、自己負担額1割の場合は5万320円×10%で5032円です。そして、限度額を超えた2万円分は全額自己負担となります。合わせると、この方の自己負担額は2万5032円となります。
本人の状態と貯蓄額、介護する人の負担を考える
タイトルの方の場合、被介護者は在宅介護を希望されていますが、本人の希望だけで決められる問題ではありません。本人の身体の状態や、使えるお金、そして、介護をする人の負担を考えて、在宅介護を続けることができるのか、介護者が仕事を辞める必要があるのか、さらに施設への入居を再検討するのか、決める必要があります。
もしも、お母さまの要介護度が低く、貯蓄が十分にある場合、在宅介護にして、在宅サービスや保険を利用しながら生活してもらえば、介護者の方が仕事を辞めなくても生活が成り立つでしょう。一方で、要介護度が高く付きっ切りで介護が必要な場合は、介護保険やサービスだけでは不十分なケースもあるかもしれません。
ただし、子どもが親の介護のために、自分の仕事を辞めてしまうのは、注意が必要です。仕事を辞めると、介護者の収入が途絶えてしまうため、介護者自身が高齢者となったときに、老後資金が不足してしまう事態が起こるかもしれません。
また、介護は長期にわたる可能性もあります。心身共に疲れることも多いので、仕事を続けて、適度に息抜きをしながら介護に向き合ったほうが良いケースもあります。被介護者であるお母さまの意見も大切ですが、介護をする人が、無理のない範囲で続けていくことが大切です。
今回ご紹介した通り、日本の公的な介護保険やサービスの自己負担額を知っておくと、いざ介護が始まったときに、家計の計算をするうえで役立ちます。そして、介護を考えるうえでは、介護される本人の状態や、費用、介護をする人たちの状況を総合的に考慮し、どのような生活にするのがベストなのかを検討してみましょう。
出典
厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索 サービスにかかる利用料
執筆者 : 下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
