定年後も同じ会社で働いていますが、会社から「来年度から賞与はなくして時給を上げる」と言われました。年収が同じでも、年金や社会保険料の負担は変わるのでしょうか?

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定年後も同じ会社で働いていますが、会社から「来年度から賞与はなくして時給を上げる」と言われました。年収が同じでも、年金や社会保険料の負担は変わるのでしょうか?
定年後の再雇用では、給与体系が現役時代から変わることがあります。なかでも「賞与をなくし、その分を毎月の給与に上乗せする」と言われると、年収が同じなら手取りや年金への影響も同じなのでは、と考える人もいるでしょう。
 
しかし、社会保険では毎月の給与と賞与を別々の仕組みで扱うため、支給方法が変われば保険料の計算時期や在職老齢年金への反映のされ方が変わる可能性があります。今回は、年収が同じでも給与と賞与の配分が変わると何が変わり得るのかを確認します。
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賞与がなくなっても、社会保険料が単純に安くなるとは限らない

厚生年金保険料は、毎月の給与については「標準報酬月額」、賞与については「標準賞与額」を使って計算されます。どちらにも同じ厚生年金保険料率が適用され、保険料は原則として会社と本人が折半します。健康保険料も基本的に、毎月の給与と賞与それぞれを基礎に計算されます。
 
したがって、これまで賞与として受け取っていた金額を毎月の給与に振り替えたからといって、年収が同じなら必ず保険料が下がる、あるいは上がると一概には言えません。
 
ただし、標準報酬月額には等級があり、実際の給与額をそのまま1円単位で使うわけではありません。給与の上げ幅によって標準報酬月額の等級が変われば、毎月天引きされる保険料が変わることがあります。
 

「いつ保険料が増えるか」も給与改定の方法で変わる

固定的賃金が大きく変わり、一定の条件を満たした場合は、定時決定を待たずに標準報酬月額が改定される「随時改定」の対象になることがあります。時給が上がれば、毎月の給与額だけでなく標準報酬月額の見直しにつながる可能性があります。
 
一方、賞与には賞与支給の都度、標準賞与額に基づく保険料がかかります。つまり、同じ年収でも「月給300万円+賞与60万円」と「月給360万円・賞与なし」のように受け取り方が変われば、保険料を負担するタイミングは変わります。家計を見る際は年間総額だけでなく、毎月の手取りがどう変わるかも確認しておきたいところです。
 

年金を受け取りながら働く人は「在職老齢年金」にも注意

老齢厚生年金を受け取りながら厚生年金に加入して働いている場合、賃金と年金額の組み合わせによっては、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となる「在職老齢年金」の対象になることがあります。2026年度は、基本月額と総報酬月額相当額の合計が65万円を超える場合に支給停止額が計算されます。
 
ここでいう総報酬月額相当額には、その月の標準報酬月額だけでなく、直近1年間の標準賞与額を12で割った額も含まれます。そのため「来年度から賞与がなくなる」としても、変更直後から過去の賞与の影響がすべて消えるわけではありません。過去1年間に支給された賞与は、一定期間、在職老齢年金の計算に残ります。
 

年収が同じでも「手取りが毎月同じ」とは限らない

例えば、これまで月給20万円に加えて年2回、各30万円の賞与を受け取り、年収300万円だったとします。翌年度から賞与をなくし、その60万円を12カ月に振り分ければ、単純計算では月給が25万円となり、年収自体は300万円で変わりません。
 
しかし、月給が20万円から25万円に上がれば標準報酬月額の等級が変わる可能性があります。一方で賞与にかかっていた保険料はなくなります。結果として年間の本人負担額が大きく変わらないこともありますが、毎月の天引き額は増え、賞与月の天引きがなくなるなど、手取りの出方は変化します。
 
また、給与体系の変更は税金の源泉徴収や会社独自の手当、退職金の算定基礎などに影響する場合もあります。社会保険だけで判断せず、会社から示された新しい賃金条件全体を確認しましょう。
 

まとめ

賞与をなくして時給を上げても年収が同じであれば、社会保険料が必ず増える、あるいは減るとは限りません。ただし、毎月の給与は標準報酬月額、賞与は標準賞与額という別の仕組みで計算されるため、保険料を負担する時期や標準報酬月額の等級が変わる可能性があります。
 
さらに、年金を受給しながら働いている場合は、在職老齢年金の計算に直近1年間の賞与も含まれます。会社から給与体系の変更を示されたら、年収総額だけでなく、変更後の月給、標準報酬月額、毎月の社会保険料、在職老齢年金への影響まで確認するとよいでしょう。
 

出典

日本年金機構 厚生年金保険の保険料
日本年金機構 在職老齢年金
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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