70代の父が「まだまだ現役で働きたい」と言っています。経営者には会社員のような“定年”はないのでしょうか? 長く働くために必要なこととは
実際には、70代や80代になっても経営を続け、新しい製品の開発などに挑戦している経営者もいます。
本記事では、経営者に会社員のような「定年」があるのかを確認するとともに、86歳になった現在も製品開発を続けている経営者の事例を参考に、長く現役で働くために考えておきたいことを紹介します。
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経営者には会社員のような「定年」はある?
会社員の場合、勤務先が定める定年制度によって退職することがあります。高年齢者雇用安定法では、企業が従業員の定年を定める場合、その年齢は60歳以上とする必要があります。
また、定年を65歳未満としている企業には、「65歳まで定年を引き上げる」「65歳までの継続雇用制度を導入する」「定年制を廃止する」のいずれかによって、65歳までの雇用を確保することが義務付けられています。さらに、70歳までの就業機会を確保することも努力義務とされています。
一方、こうした定年制度は基本的に「雇用される労働者」を対象としたものです。会社の社長などの経営者について、従業員と同じように「○歳になったら必ず引退しなければならない」と一律に定められているわけではありません。
実際、帝国データバンクの「全国「社長年齢」分析調査(2025年)」によると、2025年時点の社長の平均年齢は60.8歳でした。70代の社長は19.5%、80代以上は5.6%を占めています。
70代や80代になっても経営を続けること自体は、決して珍しいケースとはいえないでしょう。
86歳の今も「新しい製品」を開発する経営者も
実際に80代になっても、新しいことに挑戦している経営者がいます。
大同生命保険株式会社が運営する経営者向けオンラインコミュニティ「どうだい?」では、86歳の経営者・栗山恵吉さんの取り組みが紹介されています。
栗山さんは、50年以上にわたって環境問題に関わる製品開発に取り組んでおり、2007年には大阪で会社を設立しました。現在も、農業用水不足のニュースなどをきっかけに、海水を淡水化する装置の試作を進めています。
「高齢になっても働く」というと、これまでと同じ仕事を続ける姿を想像するかもしれません。しかし、栗山さんのように80代になっても新しい製品を生み出そうとする経営者もいます。
経営者には一律の定年がないからこそ、本人の意欲や健康状態、仕事内容などを踏まえながら、自分に合った形で現役を続けることが可能といえるでしょう。
長く現役を続けるには「一人ですべてを抱えない」ことも大切
また、長く仕事を続けるうえでは、必要に応じて周囲の力を借りることも選択肢の一つです。
栗山さんは年齢を踏まえ、これまで開発してきた製品やアイデアを「特許という形で資産にしたい」と考えるようになりました。
そこで、「どうだい?」への投稿をきっかけに、東京で特許事務所を経営する弁理士の山口真二郎さんと知り合います。その後、特許出願だけでなく、企業に製品を説明するためのイラスト付き資料の作成などでもサポートを受けるようになりました。
実際に、企業への提案のなかには、秘密保持契約を交わす段階まで話が進んでいるケースもあるとのことです。経営者だからといって、会社に関するすべての業務を自分で担わなければならないわけではありません。
長く現役を続けたいのであれば、自分だからこそできる仕事に力を注ぎ、専門的な知識が必要な分野では専門家に相談するなど、周囲の力を借りることも一つの方法でしょう。
長く働くからこそ「自分が築いたものをどう残すか」も考えよう
「定年がないのであれば、働ける限り経営を続ければよい」と考える人もいるかもしれません。しかし、長く現役を続けることと、将来に向けた準備をすることは別の問題です。
帝国データバンクの調査では、2025年に社長が交代した企業における前社長の平均年齢は68.5歳でした。社長の平均年齢が上昇するなか、将来的な事業承継についても考えておく必要があるでしょう。
例えば、後継者を決めるだけでなく、これまで培ってきた技術やノウハウ、取引先との関係などをどのように引き継ぐのか考えておく必要があります。
栗山さんが自身の製品やアイデアを「特許という形で資産にしたい」と考えたことも、自分が築いてきたものを将来へ残す方法の一つといえるでしょう。
現役を続けながら、将来の事業承継についても早めに検討し、事業や自身が培ってきたものをどのように次の世代へ引き継ぐのか整理しておくことが大切です。
経営者は「何歳まで働くか」だけでなく「どう働くか」も考えよう
経営者の場合、会社員のように一律の定年が定められているわけではありません。実際、70代や80代になっても経営を続けている人は存在し、86歳になっても新しい製品の開発に挑戦している栗山さんのような経営者もいます。
ただし、長く現役を続けたいのであれば、「何歳まで働くか」だけではなく、「どのように働き続けるか」を考えることも大切です。
必要に応じて専門家や周囲の力を借りながら、自分だからこそできる仕事に取り組む。同時に、後継者や事業承継について考え、技術や知的財産など自分が築いてきたものをどのように残すか準備しておくことも重要です。
本人の意欲や健康状態、事業の状況なども踏まえながら、現役を続けることと将来への準備を並行して考えてみてはいかがでしょうか。
出典
厚生労働省 高年齢者の雇用
株式会社帝国データバンク 全国「社長年齢」分析調査(2025年)
大同生命保険株式会社 どうだい? 経営者同士のつながりが弁理士との出会いへ|ビジネスマッチングで特許取得へ踏み出した86歳発明家の話
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
