定年で「年金15万円」の夫に“住民税・国保”で「年120万円」の請求が! 役所は「前年度が年収800万円でしたので」と言いますが、年金暮らしに“100万円超の請求”は酷くないですか? 現役時代にできる準備とは
住民税は前年所得をもとに課税されるため、国保に加入した場合も前年所得が保険料に大きく影響します。ただし、健康保険には任意継続や家族の扶養という選択肢もあります。
本記事では、退職後の住民税・国保の支払い方や高額になりやすい理由、退職前にできる準備を解説します。
FP1級、CFP、DCプランナー2級
定年退職後の国保や住民税の支払い方
退職後に届く住民税や国保は、必ずしも一括で支払う必要はありません。
住民税を自分で納める普通徴収では、一般的に年4回に分けて納付します。例えば静岡市では、6月・8月・10月・翌年1月が納期です。国保の納付回数は自治体によって異なり、複数回に分けて納める仕組みが一般的です。
納期限までに支払うことが難しい場合は、放置せず自治体へ相談しましょう。自治体によっては、一定の要件を満たせば徴収猶予や減免を受けられる場合があります。ただし、定年退職したとの理由だけで自動的に減免されるわけではありません。
なぜ退職後に年100万円超の納付書が届くの?
大きな理由は、現在の年金収入ではなく、前年の所得が計算に使われるためです。
例えば、年収800万円だった翌年に退職すれば、住民税は原則として前年の所得をもとに計算されます。国保も所得割について前年所得が反映されるため、高所得だった人ほど退職初年度の負担が大きくなる可能性があります。
国保の保険料率や計算方法は、自治体によって異なります。2026年度の賦課限度額は、医療分・後期高齢者支援金分・介護分・子ども・子育て支援金分を合わせ、対象となる場合は最大113万円です。
ただし、誰でも上限額を負担するわけではありません。年齢や所得、世帯の加入人数などによって実際の保険料は異なります。完全にリタイアして所得が大きく減れば、翌年度以降は住民税や国保の負担も下がるのが一般的です。
現役時代に準備できることはある?
退職前には、翌年度に支払う住民税や健康保険料の見込額を確認し、生活費とは別に資金を確保しておくと安心です。
また、退職時期によって住民税の徴収方法が異なります。1月から4月に退職する場合は、原則として5月までの未徴収額を最後の給与や退職手当などから一括徴収します。
6月から12月の退職では、残額は通常、普通徴収へ切り替わりますが、本人が希望すれば一括徴収できる場合があります。
退職後の健康保険についても、次の3つを比較しましょう。
・任意継続
・国民健康保険
・家族の健康保険の扶養
退職前にそれぞれの保険料と加入条件を確認しておけば、退職直後の負担を抑えられる場合があります。
任意継続と国保比較
前年の所得が高い人では、国保より任意継続のほうが保険料を抑えられる場合があります。
協会けんぽの任意継続は、退職後は原則2年間加入できます。会社負担がなくなるため、保険料は在職中の本人負担額のおおむね2倍になりますが、2026年度の保険料計算に使う標準報酬月額の上限は32万円です。そのため、高給与だった人では国保より有利になることがあります。
一方、国保には扶養という考え方がなく、加入人数などに応じて保険料が増える仕組みです。任意継続を利用する場合は、資格喪失日から20日以内に申請する必要があります。
また、60歳以上の人が家族の健康保険の被扶養者になるには、原則として年間収入180万円未満などの要件があります。公的年金も収入に含まれるため、年金が月15万円なら年間180万円となり、この収入基準は満たしません。
まとめ
退職後も、住民税や国保には前年所得が反映されるため、現役時代の年収が高かった人は、退職初年度の負担が大きくなることがあります。
納付が難しければ早めに自治体へ相談し、退職前には住民税の見込額と、任意継続・国保・家族の扶養のどれが有利か確認しておきましょう。
退職後の生活費だけでなく、翌年度の税金・保険料まで見込んで現金を確保しておくことが、退職直後の家計を安定させるポイントです。
執筆者 : 高柳政道
FP1級、CFP、DCプランナー2級
