会社の定年が「60歳→65歳」に延長されました。私は予定どおり60歳で辞めたいのですが、妻から「退職金で損するのでは?」と言われて不安に…。5年早く辞めると金額は変わるのでしょうか?
その際、気になることのひとつが退職金でしょう。定年が65歳に延長された場合、従来どおり60歳で退職すると、定年退職ではなく自己都合退職として扱われ、退職金の金額に影響する可能性があります。
本記事では、定年延長によって退職金の扱いがどのように変わるのか、退職時期による違いや確認しておきたいポイントについて解説します。
行政書士
◆お問い合わせはこちら
https://www.secure-cloud.jp/sf/1611279407LKVRaLQD/
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
65歳定年の会社を60歳で辞めれば定年退職ではない
実は退職金について法律で一律の決まりがあるわけではありません。退職金制度は各企業が独自に就業規則や退職金規程などを設け、そこで対象者や計算方法、支給時期など詳細を定めています。
そして、それに従い退職金の支給の有無や具体的な額が決定していくことになります。
そのため、会社が定年年齢を60歳から65歳へ正式に変更した後に、本人の希望で60歳に退職すれば、定年退職ではなく自己都合退職として扱われることになります。
多くの会社において、自己都合退職では定年退職と比較して退職金の支給額が低く設定されているため、注意が必要です。
退職事由が定年か自己都合かで大きく差が付く
厚生労働省が公表している「令和5年就労条件総合調査」を見ると、退職理由によって平均退職給付額には差があります。
勤続20年以上かつ45歳以上の退職者について、大学・大学院卒の管理・事務・技術職では、定年退職の平均退職給付額は1896万円でした。一方、自己都合退職は1441万円で、その差は455万円です。
高校卒の管理・事務・技術職でも、定年退職は1682万円、自己都合退職は1280万円、高校卒の現業職ではそれぞれ1183万円、921万円となっています。
ただし、これらは同じ人が60歳で辞めた場合と65歳まで働いた場合を比較した数字ではありません。60歳で辞めれば必ず455万円損する、などというような意味ではない点には注意が必要です。
場合によっては早期退職による増額も
とはいえ、条件次第では早期優遇によって退職金が本来より増えることもあります。
同調査によると、早期優遇による退職金は、大学・大学院卒では2266万円、高校卒の管理・事務・技術職では2432万円、高校卒の現業職では2146万円となり、いずれも定年退職の平均額を上回っています。
これは、早期退職制度などで定年を待たず早期退職した人に対して退職金を上乗せしている会社があるからです。そのため、退職金の額だけ見れば、会社の規程次第では早期退職した方が高くなるということもあります。
しかし、早期退職するとその分、給料やボーナスをもらえる機会も減少します。生涯賃金で見ると、定年まで勤めあげた場合と比べてマイナスとなることも十分あり得るという点に注意してください。
まとめ
会社の定年が60歳から65歳に延びた後、自身の希望で従前の定年年齢である60歳に辞める場合、退職金は減るのが基本となります。とはいえ、会社によっては早期退職で退職金が増加することもあります。
もし、定年について悩んでいるのであれば、60歳で辞めるかどうかを決める前に、会社の退職金規程などを確認し、退職する年齢によって扱いがどのように異なるかを比較して、生涯賃金の差まで見据えたうえで判断していくことをおすすめいたします。
出典
厚生労働省 令和5年就労条件総合調査概況 4 退職給付(一時金・年金)の支給実態
執筆者 : 柘植輝
行政書士
