年金の受給要件に記載されている「生計を維持されている」とは?

配信日: 2021.03.22

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年金の受給要件に記載されている「生計を維持されている」とは?
年金の受給要件を見ると、「生計を維持されている(維持されていた)」という言葉があります。この「生計を維持されている」とはどのような状態なのでしょうか。

中村将士

執筆者:中村将士(なかむら まさし)

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
 
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。

生計維持関係の認定要件

日本年金機構によると、「生計を維持されている」とは、原則として以下の要件を満たす場合をいいます。
 

(1)同居している(別居していても仕送りをしている、健康保険の扶養親族であるなどの事実がある)
(2)加給年金額等対象者について、「前年の収入が850万円未満である」または「所得が655万5000円未満である」こと

 
このことから、生計を維持されている関係(以下「生計維持関係」といいます)には、「生計同一に関する認定要件」と「収入に関する認定要件」があることが分かります。
 

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生計同一に関する認定要件

厚生労働省の「生計維持関係等の認定基準及び認定の取扱いについて〔国民年金法〕」(日本年金機構理事長あて厚生労働省年金局長通知)によると、「生計同一に関する認定要件」とは以下のとおりです。
 

(1)対象者が「配偶者または子」の場合

●住民票上、世帯が同じ
●住民票上、世帯は異なるが住所が同じ
●住民票上、住所は異なるが次のいずれかに該当する
(ア)日常生活を共にし、消費生活上、家計が1つであると認められる
(イ)単身赴任、就学または病気療養などのやむを得ない理由があると認められる

 

(2)対象者が「父母、孫、祖父母、兄弟姉妹またはそれ以外の3親等内の親族」の場合

●住民票上、世帯が同じ
●住民票上、世帯は異なるが住所が同じ
●住民票上、住所は異なるが次のいずれかに該当する
(ア)日常生活を共にし、消費生活上、家計が1つであると認められる
(イ)生活費、療養費などについて生計の基盤となる経済的な援助が行われていると認められる

 

収入に関する認定要件

厚生労働省の「生計維持関係等の認定基準及び認定の取扱いについて〔国民年金法〕」(日本年金機構理事長あて厚生労働省年金局長通知)によると、「収入に関する認定要件」とは、以下のとおりです。
 

(1)生計維持認定対象者(障害厚生年金、障害基礎年金、障害年金の生計維持認定対象者は除く)の場合

●前年の収入が年額850万円未満
●前年の所得が年額655万5000円未満
●一時所得がある場合は、その金額を除いて前年の収入が年額850万円未満、または前年の所得が年額655万5000円未満
●上記には該当しないものの、諸事情により、おおむね5年以内に収入が年額850万円未満、または所得が年額655万5000円未満になると認められる

 

(2)障害厚生年金、障害基礎年金の生計維持認定対象者

●前年の収入が年額850万円未満
●前年の所得が年額655万5000円未満
●一時所得がある場合は、その金額を除いて前年の収入が年額850万円未満、または前年の所得が年額655万5000円未満
●上記には該当しないものの、諸事情により、実際に収入が年額850万円未満、または所得が年額655万5000円未満になると認められる

 

まとめ

「生計を維持される」の要件を満たすには、「生計同一に関する認定要件」と「収入に関する認定要件」を満たす必要があります。
 
生計同一に関する認定要件とは、住民票上、世帯が同一である、住所が同一である、家計が1つであると認められるなどが挙げられます。
 
収入に関する認定要件とは、前年の収入が850万円未満である、前年の所得が655万5000円未満である、一時所得がある場合はそれを除いた金額で当てはめるなどが挙げられます。また、定年退職などの事情により、近い将来そうなることが認められる場合も含まれます。
 
「生計を維持される」とは主観的な表現ではありますが、客観的な基準があることが分かりました。ご自身が該当するかどうかを判断するのに、参考にしていただければ幸いです。
 
出典・参考
日本年金機構 「さ行 生計維持」
厚生労働省 「生計維持関係等の認定基準及び認定の取扱いについて〔国民年金法〕」
 
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー
 

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