年金+月2万円のバイト収入で生活していますが、電気代や食費が高くなり毎月赤字です……。知人から「年金が少ない人は給付金をもらえる」と聞いたのですが、私も対象でしょうか?
今回は、年金生活者支援給付金制度について詳しく解説します。
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
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年金生活者支援給付金制度の概要
年金生活者支援給付金は、公的年金などの収入とその他の所得額が所得基準額以下の年金生活者に対して、その生活を支援する目的で年金に上乗せして支給されます(※1)。
生活者支援給付金には、老齢年金受給者を対象とした「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金」、障害年金受給者を対象とした「障害年金生活者支援給付金」、遺族年金受給者を対象とした「遺族年金生活者支援給付金」の3種類があります。
老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金
1.支給要件
以下の支給要件をすべて満たす方が支給対象となります。
(1)65歳以上で老齢基礎年金を受給している
(2)請求する方の世帯全員の市町村民税が非課税である
(3)前年の年金収入金額(注1)とその他の所得の合計が、図表1の額以下である
図表1
| 生年月日 | 給付金の種別 | |
|---|---|---|
| 老齢年金生活者支援給付金 | 補足的老齢年金生活者支援給付金 | |
| 昭和31年4月2日以降生まれ | 80万9000円以下 | 80万9000円を超え90万9000円以下 |
| 昭和31年4月1日以前生まれ | 80万6700円以下 | 80万6700円を超え90万6700円以下 |
(※1を基に筆者作成)
注1:障害年金や遺族年金などの非課税収入は含まれません。
2.老齢年金生活者支援給付金の額
保険料納付済期間および保険料免除期間に応じて算出される以下の(1)と(2)の合計額(月額)が支給されます。
(1)保険料納付済期間に基づく額=5620円×保険料納付済期間÷480月
(2)保険料免除期間に基づく額 =所定金額(注2)×保険料免除期間÷480月
注2:保険料免除期間の計算に用いる所定金額は毎年度老齢基礎年金の改定に応じて変動します。令和8年度の金額は、保険料免除割合に応じて図表2の額となります。
図表2
| 生年月日 | 所定金額 | |
|---|---|---|
| 保険料全額免除・3/4免除・半額免除 | 保険料1/4免除 | |
| 昭和31年4月2日以降生まれ | 1万1768円 | 5884円 |
| 昭和31年4月1日以前生まれ | 1万1734円 | 5867円 |
(※1を基に筆者作成)
3. 補足的老齢年金生活者支援給付金の額
保険料納付済期間に基づく額に生年月日に応じた調整支給率を乗じた額(月額)が支給されます。
5620円×保険料納付済期間÷480月×調整支給率(注3)
注3:調整率は生年月日に応じて図表3のとおりとなっています。
図表3
| 生年月日 | 調整支給率 |
|---|---|
| 昭和31年4月2日以降生まれ | (90万9000円-前年の年金収入金額とその他の所得の合計)÷10万円 |
| 昭和31年4月1日以前生まれ | (90万6700円-前年の年金収入金額とその他の所得の合計)÷10万円 |
(※1を基に筆者作成)
障害年金生活者支援給付金
1.支給要件
以下の支給要件をすべて満たす方が支給対象となります。
(1)障害基礎年金を受給している
(2)前年の所得額(注1)が「479万4000円+扶養親族の数×38万円(注4)」以下である
注4:70歳以上の同一生計配偶者および老人扶養親族は48万円、19歳以上23歳未満の特定扶養親族および16歳以上19歳未満の扶養親族は63万円となります。
2.給付額
障害等級に応じて図表4の額となります。
図表4
| 障害等級 | 障害年金生活者支援給付額 |
|---|---|
| 障害等級1級の方 | 月額7025円 |
| 障害等級2級の方 | 月額5620円 |
(※1を基に筆者作成)
遺族年金生活者支援給付金
1. 支給要件
以下の支給要件をすべて満たす方が支給対象となります。
(1)遺族基礎年金を受給している
(2)前年の所得額(注1)が「479万4000円+扶養親族の数×38万円(注4)」以下である
2. 給付額
月額5620円が支給されます。
給付の流れ
年金生活者支援給付金を受け取るためには、「年金生活者支援給付金請求書」の提出が必要です。給付決定後の流れは、以下のとおりです(※2)。
(1)「年金生活者支援給付金請求書」を年金事務所に提出
(2)支給要件に該当した場合、日本年金機構から送付される支給決定通知書を受領
(3)初回支払い月の上旬に日本年金機構から送付される振込通知書を受領
(4)年金と同じ口座で年金生活者支援給付金を受け取り(原則、偶数月に前月までの2ヶ月分を振り込み)
年金生活者支援給付金の支給例
月2万円のアルバイト収入と老齢基礎年金で生活している65歳(昭和36年5月生まれ)の元自営業の男性を例に老齢年金生活者支援給付金の額を計算してみましょう(※1、3、4を基に筆者作成)。
(1)国民年金保険料の納付状況
保険料納付済期間:240月
保険料全額免除期間:240月
(2)年金収入金額
老齢基礎年金額=84万7300円×(240月+240月×4/8)÷480月=63万5475円
(3)その他の所得
アルバイト収入:2万円/月
給与所得額=2万円×12月-74万円(給与所得控除額)=0円
(4)支給要件の確認
63万5475円+00円=63万5475円<80万9000円
老齢年金生活者支援給付金の支給対象
(5)年金生活者支援給付金額
(5620円×240月÷480月)+(1万1768円×240月÷480月)=8694円(月額)
まとめ
年金生活者支援給付金は、年金収入やその他の所得が少ない人に対して、生活を支援するために年金に上乗せして支給されます。
老齢年金受給者に対する支援金の額は保険料納付済期間などによって調整されますが、障害年金受給者に対する支援金額は障害等級に応じて定額、遺族年金受給者に対する支援金額は定額となっています。
出典
(※1)日本年金機構 年金生活者支援給付金
(※2)日本年金機構 年金生活者支援給付金請求手続きのご案内
(※3)日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
(※4)国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1410 給与所得控除
執筆者 : 辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
