58歳の夫が「12月からiDeCoに月6万円入れたい」と言います。定年まであと2年ですが、今から増額しても老後資金づくりに効果はあるのでしょうか?
2026年12月からiDeCoの拠出限度額が引き上げられるため、定年が近い人でも、掛金を増やせば老後資金を上積みできるうえ、所得税や住民税の負担を軽くできる可能性があります。
ただし、勤務先の企業年金によっては月6万円を拠出できません。また、iDeCoは受給可能な年齢になるまで原則として自由に引き出せないため、定年前だからこそ手元のお金とのバランスも重要です。
今回の記事では、58歳から月6万円に増額するケースを例に、その効果と注意点を解説します。
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目次
2026年12月から会社員のiDeCoは月6万2000円まで拠出できる
2026年12月1日から、会社員などの第2号加入者は、iDeCoと企業年金を合わせて月6万2000円まで拠出できるようになります。勤務先に企業年金がない会社員なら、iDeCoだけで月6万2000円まで拠出できるため、月6万円への増額も可能です。
一方、企業型確定拠出年金(企業型DC)や確定給付企業年金(DB)などがある場合、iDeCoの上限は「月6万2000円-企業年金などの掛金相当額」です。
例えば、企業年金などの掛金相当額が月2万円なら、iDeCoの上限は月4万2000円となり、月6万円は拠出できません。そのため、増額する前に勤務先の企業年金の有無や掛金相当額を確認しておきましょう。
58歳から月6万円に増額しても2年間で144万円を積み立てられる
「定年まであと2年」と考えると短く感じますが、月6万円を2年間積み立てれば、掛金だけで144万円になります。
さらに、iDeCoには節税効果があります。掛金は全額が「小規模企業共済等掛金控除」という所得控除の対象です。簡単にいうと、掛金を所得から差し引いて税金を計算できるため、所得税や住民税の負担を軽くできます。
例えば、所得税率10%、住民税率10%の人が月6万円、年間72万円を拠出すると仮定します。単純計算では年間約14万4000円、2年間なら約28万8000円の税負担軽減が期待できます。
実際の金額は所得や適用される税率などによって異なりますが、定年前に一定の給与収入がある人は、所得控除のメリットを得られる可能性があります。
また、2026年12月からは、一定の条件を満たせば70歳未満までiDeCoに加入できるようになります。60歳以降も働く予定なら、定年後も積み立てを続けられるか確認してみるとよいでしょう。
定年間近でiDeCoを増額するときは生活資金と受け取り時期に注意する
節税効果が期待できても、手元のお金をiDeCoに回しすぎないことが大切です。iDeCoは老後資金をつくる制度で、原則として受給可能な年齢になるまで自由に引き出せません。
定年前後には、生活費だけでなく、住宅の修繕や自動車の買い替えなどでまとまったお金が必要になる場合があります。月6万円を拠出しても十分な預貯金を残せるか、事前に確認しましょう。
受け取り時期にも注意が必要です。iDeCoを60歳から受け取るには、原則として60歳時点で通算加入者等期間が10年以上必要です。10年に満たない場合、期間に応じて受給可能年齢が61~65歳に繰り下がります。
今回のケースのようにすでにiDeCoへ加入している人でも、これまでの加入期間によって受け取り開始時期は異なります。増額を考える際に、自分の通算加入者等期間も確認しておくと安心でしょう。
58歳からの増額でも節税効果を考えれば検討する価値はある
定年まであと2年でも、月6万円を積み立てれば掛金は合計144万円です。さらに掛金は全額所得控除の対象となるため、一定の所得があれば税負担の軽減も期待できます。
そのため、「58歳だからiDeCoを増やしても遅い」とは一概にいえません。定年前で給与収入がある時期だからこそ、所得控除を活用できる場合があります。
ただし、勤務先に企業年金があれば月6万円を拠出できないケースがあります。また、老後の生活に使う予定のお金までiDeCoに回すのは避けたほうがよいでしょう。
まずは勤務先の企業年金と自分の拠出上限を確認し、定年後に必要な預貯金を確保できるか考えることが大切です。家計に余裕があるなら、58歳からの増額も、老後資金を上積みする選択肢のひとつになるでしょう。
出典
厚生労働省 iDeCo拠出限度額の引き上げ
厚生労働省 iDeCoの概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
