65歳を過ぎても働き続けていた父。「年金額は退職するまで増えない」と思っていましたが、毎年少しずつ増える制度があると知りました。在職中でも年金額が見直される「在職定時改定」とは何でしょうか?
しかし現在は、65歳以上70歳未満で厚生年金に入りながら働いている人について、働いた分を毎年少しずつ年金額に加える仕組みがあります。これを「在職定時改定」といいます。
簡単にいうと、「会社を辞めるまで待たなくても、65歳以降に働いた分を毎年年金に反映してくれる仕組み」です。
では、いつ年金が増えるのでしょうか。どれくらい増えるのでしょうか。順番に見ていきましょう。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
「在職定時改定」は、働きながらでも年金を毎年見直してくれる仕組み
在職定時改定の対象になるのは、主に次のような人です。65歳以上70歳未満で、会社で厚生年金に入りながら働き、すでに老齢厚生年金を受け取っている人です。この人たちは、毎年9月1日の時点で、それまでに新しく働いた期間を年金額に加えてもらえます。
基本的には、前年9月からその年の8月までに働いた分が計算され、10月分の年金から新しい金額になります。年金は通常、2カ月分をまとめて振り込まれます。そのため、10月分と11月分は12月に受け取ることになります。
つまり、毎年働いた分が少しずつ年金に加えられ、その増えた金額を12月ごろから実際に受け取るイメージです。
以前は、65歳を過ぎて働き続けている場合、会社を辞めるか70歳になるまで、その間に働いた分が年金額に反映されないことがありました。現在は在職定時改定があるため、会社を辞めるまで待つ必要はありません。
どのくらい年金が増えるかは、人によって違う
では、1年間働くと年金はいくら増えるのでしょうか。これは全員同じではありません。厚生年金は、どのくらいの期間働いたかだけでなく、毎月どれくらいの給料をもらっていたかなどによって金額が変わるからです。
例えば、65歳を過ぎてからも1年間会社員として働けば、その1年間分が翌年の年金額に加えられます。
基本的には、給料が高い人や長く働いた人ほど、増える年金額も大きくなります。
例えば、65歳以降の給料の計算上の金額が月30万円くらいで、1年間働いた場合、年金はおおよそ年2万円弱増えることがあります。
年2万円増えるとすると、1カ月あたりでは約1600円です。「それだけ?」と思うかもしれませんが、毎年働けば、その分が少しずつ積み重なっていきます。
ただし、実際にいくら増えるかは人によって違います。正確な金額を知りたい場合は、「ねんきんネット」や年金事務所で確認するのがよいでしょう。
年金そのものが増えても、全部もらえるとは限らない
ここで少し注意が必要です。在職定時改定によって年金額が増えても、実際にもらえる年金がそのまま増えるとは限りません。
65歳を過ぎても会社で働いていて、給料を多くもらっている人には「在職老齢年金」という別の仕組みがあるからです。これは簡単にいうと、「給料と厚生年金を合わせて多く受け取っている人は、厚生年金の一部を一時的に減らします」という仕組みです。
2026年度は、給料などと老齢厚生年金を合わせて月65万円を超えると、老齢厚生年金の一部が支給停止になる場合があります。そのため、在職定時改定で年金額そのものが増えても、給料が高い人では、増えた分をすべて受け取れないこともあります。
ただし、「老齢基礎年金」はこの仕組みで減らされません。減る可能性があるのは、主に「老齢厚生年金」の部分です。
70歳になると、厚生年金の保険料は原則として払わなくなる
厚生年金に入れるのは、原則として70歳になるまでです。
そのため、70歳になると、基本的には厚生年金の保険料を払わなくなります。そして、70歳以降に働いた期間は、通常は「年金を増やすための厚生年金の加入期間」にはなりません。
例えば、65歳から70歳まで5年間働いた場合、その間に払った厚生年金の保険料は、在職定時改定などによって少しずつ年金額に反映されます。
そして70歳になったときには、それまでまだ反映されていなかった期間についても年金額が見直されます。
つまり、
「65歳を過ぎて働いても、会社を辞めるまで年金は増えない」
という考え方は、現在では正しくありません。
65歳以上70歳未満で厚生年金に入りながら働いている人なら、会社を辞める前でも毎年年金額が見直されます。
まとめ
「在職定時改定」は、65歳を過ぎても会社で働いている人のための仕組みです。65歳以上70歳未満で厚生年金に入りながら働いている場合、65歳以降に働いた分を、会社を辞めるまで待たずに毎年年金額へ加えてもらえます。
簡単にいえば、
「働きながら払った厚生年金を、毎年少しずつ年金額に反映してくれる制度」
と考えると分かりやすいでしょう。
ただし、給料が高い場合は「在職老齢年金」という別の仕組みによって、老齢厚生年金の一部が一時的に減ることがあります。そのため、65歳以降も働く場合は、「働いた分だけ年金が増える」という点だけでなく、「実際に受け取れる年金はいくらなのか」もあわせて確認することが大切です。
出典
日本年金機構 60歳以降も引き続き勤めます。勤めていても年金は受けられますか。
日本年金機構 厚生年金保険の保険料
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
