年金を“60歳受給”で「17万→12万円」に減って損のはずが「非課税で暮らせて得」という友人…月5万円減るのにナゼ?「非課税メリット」vs「年金24%減」のリアルな損得

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年金を“60歳受給”で「17万→12万円」に減って損のはずが「非課税で暮らせて得」という友人…月5万円減るのにナゼ?「非課税メリット」vs「年金24%減」のリアルな損得
「60歳から年金をもらって、住民税非課税で暮らすつもりだ」と独身の友人が言ったら、多くの人は「本来の受給額から月数万円も減額されるのに、わざわざ損をするなんてもったいない」と感じるのではないでしょうか。
 
友人は意図的に年金収入を減らすことで、「住民税非課税世帯」の恩恵を受けるという戦略を立てているようです。
 
本記事では、年金を繰り上げて非課税ラインを狙う場合の具体的な計算式や隠れたメリット、そして減額された年金による老後生活の損得勘定を解説します。
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年金の繰上げ減額と「非課税ライン」の計算式

まずは、友人が狙っている「住民税非課税世帯になるための年金収入ライン」を確認します。単身者の場合、65歳以上で年金収入のみであれば、年間155万円(月額約12万9000円)以下が非課税となる一般的な目安です。
 
ここでは、65歳時点での本来の年金受給予定額が「月16万9000円(年間202万8000円)」だったとします。現在の制度では、1962(昭和37)年4月2日以降生まれの人が年金を1ヶ月早く受け取るごとに0.4%減額されます。60歳まで5年間(60ヶ月)繰り上げた場合の減額率は「24%」です。
 
本来の年金額(月16万9000円)に繰上げ減額率(24%減、つまり76%)を反映すると、繰上げ受給額は「本来の年金額(月16万9000円)×76%=月額12万8440円」となり、年間受給額は、12万8440円×12ヶ月=154万1280円です。
 
このように、本来なら月17万円近く受け取れるはずの年金を24%減額することで、65歳以降の年金収入が「年155万円以下」になる、非課税ラインに収める計算が成り立ちます。
 

住民税非課税世帯になることの隠れたメリット

年金を減らしてまで住民税非課税世帯になることには、税金がかからなくなること以外にも、4つのメリットが考えられます。


1. 国民健康保険料や介護保険料が軽減され、年間数万円から十数万円程度の負担減につながる
2. 「高額療養費制度」で、所得区分に応じて自己負担限度額が低くなる
3. 介護サービスを利用した際の自己負担額や施設サービスなどにかかる費用が、所得区分に応じて軽減される
4. 自治体などが実施する臨時給付金や、数万円単位の支援金などの対象になる可能性がある

特に、医療費や介護費に対する負担軽減は、高齢期の家計を守るセーフティネットとなります。「非課税で暮らす」という背景には、こうした社会保険料の削減や、将来の医療・介護リスクへの備えが含まれているのかもしれません。
 

「非課税メリット」vs「年金24%減」のリアルな損得

では、年金を減らして非課税のメリットを受けることは、トータルで見て得なのでしょうか。金額ベースで比較してみます。
 
先ほどの月額16万9000円を例にすると、本来の年額202万8000円から繰り上げ後の年額154万1280円を差し引いた場合、年間48万6720円の減少となります。
 
一方、住民税非課税世帯になることで軽減される税金や保険料の額は、自治体や本人の所得状況などによって異なります。ここでは、年間15万円程度と仮定してみましょう。
 
この場合、「年金受給額が年間約49万円減る一方で、年間約15万円の支出を削減する」という状態になります。健康で医療や介護をあまり利用しない期間は、年金の減額分が軽減メリットを上回る可能性があります。
 
また、長生きするほど、受け取れなかった年金の差額は積み上がっていきます。単純に受給額だけを比較すると、非課税による負担軽減だけでは年金の減額分を補いきれないケースも考えられます。
 

減額された「月12万9000円」で老後は生き抜けるか?

総務省の「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)」によると、65歳以上の単身無職世帯の生活費は、消費支出と非消費支出を合わせて月に約16万円です。
 
繰上げ受給による年金額が月12万9000円で、毎月の生活費が16万円必要だとすれば、毎月3万1000円の赤字となります。年間では約37万2000円の不足です。
 
この毎月3万円強の赤字を貯蓄から補てんし続ける場合、60歳から90歳までの30年間では、単純計算で約1080万円の取り崩しが必要になります。税金や保険料の軽減だけでなく、長期的な生活費の不足分まで考慮しなくてはならないでしょう。
 

非課税にとらわれずキャッシュフローを重視した戦略を

60歳から年金の繰上げ受給を開始し、意図的に非課税ラインを狙う戦略には、社会保険料の軽減や医療費の自己負担減といったメリットがある一方で、生涯にわたって年金が24%減額されるというデメリットもあります。
 
特に、毎月の年金受給額が生活費を下回る場合、長生きするほど貯蓄が枯渇するリスクが高くなるでしょう。「税金を払いたくない」という目先の考えだけで繰上げ受給を選択するのではなく、自身が90歳、100歳まで生きた場合に手元の資産が持つかどうかを確認することが大切です。
 

出典

総務省 家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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