遺族年金は妻や子だけがもらえる?夫や祖父母がもらうための制限は存在するの?
配信日: 2019.12.19
執筆者:北山茂治(きたやま しげはる)
高度年金・将来設計コンサルタント
1級ファイナンシャルプランニング技能士、特定社会保険労務士、健康マスターエキスパート
大学卒業後、大手生命保険会社に入社し、全国各地を転々としてきました。2000年に1級ファイナンシャルプランニング技能士資格取得後は、FP知識を活用した営業手法を教育指導してきました。そして勤続40年を区切りに、「北山FP社会保険労務士事務所」を開業しました。
人生100年時代に、「気力・体力・財力3拍子揃った、元気シニアをたくさん輩出する」
そのお手伝いをすることが私のライフワークです。
ライフプランセミナーをはじめ年金・医療・介護そして相続に関するセミナー講師をしてきました。
そして元気シニア輩出のためにはその基盤となる企業が元気であることが何より大切だと考え、従業員がはつらつと働ける会社を作っていくために、労働関係の相談、就業規則や賃金退職金制度の構築、助成金の申請など、企業がますます繁栄するお手伝いをさせていただいています。
遺族基礎年金は誰がもらえるのでしょうか
遺族基礎年金をもらえる人の例として、妻(母親)と子の場合を考えます。確かに平成26年4月1日より前はそのとおりでした、しかし、平成26年4月1日以降は、子のある夫(父親)ももらえるようになりました。
正確にいうと、子のある妻(夫)が遺族基礎年金をもらうことができるのですが、子のない妻(夫)はもらえません。子だけの場合ももらえますが、親が支給を受けているときは、支給停止となっています。
亡くなった夫(妻)が支給要件を満たしていると、次のようになります。
・亡くなった夫(妻)と生活をともにしていた子のある妻(夫)
ここでいう子とは18歳の誕生日以降最初の3月31日までの子か障害等級1級・2級の20歳未満の子のことです。
・18歳の誕生日以降最初の3月31日までの子
・障害等級1級・2級の20歳未満の子
子と生計をともにしていない場合や妻(夫)の年間の収入が850万円を超えている場合はもらえませんので注意が必要です(年間の収入が850万円とは、所得でいうと655.5万円となります)。また、保険料納付要件も満たしていないと遺族年金はもらえません。
<原則>死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までに被保険者期間がある時は、保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が3分の2以上あること。
<特例>原則を満たせない場合、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までの直近の1年間に保険料滞納期間がないこと。
今までもらえていて、もらえなくなる場合もあります。
・全ての子が年齢要件を超えた場合
・子が死亡した場合
・子が婚姻した場合
・子が妻(夫)以外の養子になった場合
・離縁によって、死亡した被保険者等であった者の子でなくなった場合
・子が生計をともにしなくなった場合
■遺族基礎年金を残せる夫(妻)とは
<受給要件>
・被保険者の死亡であること
・被保険者であった人で60歳以上65歳未満の人
・老齢基礎年金の受給権者の死亡
老齢基礎年金がもらえない人は、条件によっては、寡婦年金や死亡一時金がもらえる場合もあります。
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遺族厚生年金は誰がもらえるのでしょうか?
遺族厚生年金は、被保険者または被保険者であった人と死亡当時生計を維持していた配偶者・子・父母・孫・祖父母です。遺族基礎年金に比べ、もらえる人の範囲は拡大するのですが、年齢制限がありますので注意が必要です。
・配偶者のうち妻は年齢制限なし
・夫は55歳以上(支給は60歳以降)
・18歳の誕生日以降最初の3月31日までの子・孫
・障害等級1級・2級の20歳未満の子・孫
・父母・祖父母は55歳以上(支給は60歳以降)
■遺族厚生年金を残せる夫(妻)とは?
<受給要件>
・厚生年金加入中の死亡
・厚生年金加入中に初診日があり、退職後、初診日から5年以内にその傷病が原因で死亡
・障害等級1級または障害状態にある障害年金受給権者の死亡
・老齢厚生年金の受給権者または受給資格期間を満たしている人の死亡(受給資格期間が25年以上あること)
残された妻だけの特権として「中高齢寡婦加算」があります。これは、一定の要件を満たしている夫が死亡した時に、妻の年齢が40歳以上65歳未満ならもらえます。あるいは、夫が死亡した時に遺族基礎年金の受給権のある妻ならもらえます。
もらえるのは妻が40歳から65歳までですが、妻が40歳時に到達した当時遺族基礎年金をもらっている間は受給できません。
執筆者:北山茂治
高度年金・将来設計コンサルタント