更新日: 2020.07.06 その他年金

公的年金を増やせる「繰下げ受給」って?増額率はどれくらい?

執筆者 : 堀江佳久

公的年金を増やせる「繰下げ受給」って?増額率はどれくらい?
人生の3大支出の中で、最期に訪れるのが「老後資金」です。老後には、公的年金以外に2000万円が必要という報道があったり、新聞記事で公的年金改革について見るなど、年金関係の話題に接する機会は多いのではないでしょうか。
 
特に、50代になって、定年退職が目前に迫ってくると、老後のお金や健康などいろいろ心配になりますね。多くの50代の方は、「教育資金」「住宅資金」といった人生の3大支出の2つを経験されているでしょう。
 
なかには、やっと子育てや住宅ローンが終わったと思ったら、老後のお金を準備しなければならないと思う方がいたり、あるいは、まだ子育てや住宅ローンを返済している最中の方で、老後資金の準備まで手が回らないという方もいるかもしれません。
 
今回は、そういった老後資金の中で、最も重要な資金の1つである「公的年金」、すなわち老齢基礎年金と老齢厚生年金の繰下げ受給について確認してみたいと思います。

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堀江佳久

執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)

ファイナンシャル・プランナー

中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。

繰下げ受給の仕組みとは?

繰下げ受給とは、老齢年金を65歳で請求せずに66歳以降70歳までの間で申し出ることで、繰下げて請求することができる制度です。繰下げ受給の請求をした時点に応じて、最大で42%年金額が増額されます。
 
繰下げには、老齢基礎年金の繰下げと老齢厚生年金の繰下げができますが、ご自分の加入している公的年金が対象となります。また、老齢基礎年金の繰下げと老齢厚生年金の繰下げは、同時に行う必要はなく、それぞれ個別に手続きをすることが可能です。
 
なお、2020年5月29日に成立した「年金改革法案」によれば、2022年4月からは、受給開始年齢を60〜75歳に拡大されます。75歳まで繰下げると、最大84%まで増額することが可能になります。

1.老齢基礎年金の繰下げ受給

昭和16年4月2日以後に生まれた人(※)については、支給の繰下げを申し出た日の年齢に応じてではなく、月単位で年金額の増額が行われます。(※昭和16年4月2日以前に生まれた人は、繰下げ支給の請求をした時点の年齢に応じて年金額が増額されますが、すでに79歳を超えていらっしゃるので今回は紹介しません)
 
その増額率は、以下のとおりで一生変わりません。
 
増額率=(65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までの月数)×0.007
 
なお、年齢の計算は「年齢計算に関する法律」に基づいて行われ、「65歳に達した日」とは、65歳の誕生日の前日になります。
 
(例)4月1日生まれの方が65歳に達する(した)日は、誕生日の前日の3月31日となります。

2.老齢厚生年金の繰下げ受給

昭和17年4月2日以後に生まれの方は、原則、66歳に達した日以後に、支給の繰下げの申出ができます。ただし、65歳に達した日から66歳の誕生日の前日までの間に、障害厚生年金、遺族厚生年金などの年金を受ける権利を有したことがあるときは、申出はできません。
 
また、66歳に達した日以後に、障害厚生年金や遺族厚生年金などを受ける権利が発生した場合は、支給の繰下げの申出はできますが、この場合、他の年金が発生した月を基準として増額率が定められ、繰下げ加算額が計算されます。
 
増額された老齢厚生年金は、実際に支給の繰下げの申出をした翌月から支給されることになりますので、ご留意ください。
 
昭和17年4月1日以前生まれの方であって、平成19年4月1日以後に老齢厚生年金を受けることができることとなった方も、支給の繰下げの申出を行うことができます。(日本年金機構「老齢厚生年金の繰下げ受給」より引用)
 
繰下げ請求と増額率は、老齢基礎年金の繰下げ受給と同様です。(表1を参照ください)ただし、特別支給の老齢厚生年金は「繰下げ制度」はありません。受給権発生日以降に速やかに請求することが必要です。
 
なお、具体的な年金増額など詳しくは、日本年金機構のホームページで確認、あるいはお近くの年金事務所もしくは、街角の年金相談センターの相談窓口で確認してみましょう。
 
(参考・引用)日本年金機構「年金の繰下げ受給」
 
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー